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試乗 テスラ・モデル3 ツインモーター 450ps、260km/hの4ドアEV

掲載 更新
試乗 テスラ・モデル3 ツインモーター 450ps、260km/hの4ドアEV

もくじ

どんなクルマ?
ー 6桁のバックオーダーを抱えるモデル3
どんな感じ?
ー 最高出力450ps、最高速度260km/hの4ドアEV
ー 正確でコントロール性に優れた足腰
ー クルマの性格を映し出したインテリア
「買い」か?
ー 興味を掻き立てられる優秀さ
スペック
ー テスラ・モデル3パフォーマンスのスペック

2019年版 スーパーサルーン10選 ドイツ3強優位は変わらず

どんなクルマ?

6桁のバックオーダーを抱えるモデル3

AUTOCARの読者なら、すでにウェブサイトやテレビなどでイーロン・マスクの手がけるEVの概要はご存知なはず。BMW3シリーズと同等のサイズを持つモデル3の場合、すでに6桁の受注を獲得しており、テスラを街角で見かける日もそう遠くはない場面になってきた。長年のクルマ好きからすれば、テスラ・モデル3が一体どんなクルマなのか、どんなアイデンティティを備えているのか、強い疑問を抱くかもしれない。

われわれはこれまでモデル3の量産前モデルを海外で充分に試乗してきた。クルマの総合的な強さ、トルクや加速感、スムーズさに静寂性などは特筆に値する。またEVならではの、少し特殊なドライビング技術が求められることも理解している。太いトルクを利用して滑らかに走り、無駄にタイヤへエネルギーを伝えず、コースティング時やブレーキング時には、エネルギーの回生が行われることを意識した運転だ。

そして英国の道でモデル3を試乗する機会がやってきた。いよいよ定番ともいえる疑問に回答が出る。表面が波打ち、舗装が部分的に剥がれ、ツギハギの多い路面とどのように対峙できるのか。小石が露出しかけた路面での騒音はいかほどだろうか。細くうねった郊外の道を積極的に走らせるのに、充分なステアリングの正確性やフィードバックは得られているだろうか。

ざっくりいえば、英国でも増殖できるほどに、不足のない快適性を備えているかどうか。いつもの手厳しい道へ連れ出して、答え合わせをしてみよう。

どんな感じ?

最高出力450ps、最高速度260km/hの4ドアEV

英国でのモデル3のラインナップは、3万8900ポンド(564万円)のスタンダードレンジ・プラスから。シングルモーターで415kmの航続距離を持つ。ロングレンジ・グレードは2モーターとなり、価格は4万7900ポンド(694万円)からとなる。

今回われわれに与えられたクルマはモデル3パフォーマンスと呼ばれるグレードで、スポーティな味付けのサスペンションが備わっている。バッテリーの容量は75kWh(日産リーフの大容量グレード、e+では62kWh)で、前後に1基づつのツインモーター・レイアウトとなる。最高出力は450psで、最大トルクは64.9kg-m。もちろん4輪駆動となる。

以前に一度試乗しているグレードではあるが、ガスタービン・エンジンのように滑らかに強力に加速するものの、逆にノイズはほとんど感取されない。0-100km/h加速に要する時間は3.4秒で、最高速度は260km/hと、間違いなく白眉の性能を備えている。

今回試乗したのは、ロンドンの外周を取り囲む環状M25号線。路面の状態は異なるが、日本でいうなら外環のような高速道路で、快適性のテストとしてしばしば用いているルート。モデル3で走り始めるやいなや、スポーティでありながらとても快適だということがわかった。

正確でコントロール性に優れた足腰

フラットでコシがあり、コントロール性が高い。ホイールベースが長いこともあり、プライマリーライド、車体全体の動きがとても良く躾けられている。減衰力の面ではややツメが甘いようで、路面状況がひどい区間では振動もあり、ノイズもそれなりに大きいものの、最悪と呼べるようなものではない。

バッテリーがシャシー底部に敷かれるようにマウントされているから、着座位置は平均的なサルーンよりも50mmほど高い。そのため、コーナーを攻め込んでいくとボディロールを明確に体感できてしまう。しかし今回試乗した完全に乾燥した路面に限っては、タイヤのグリップが極めて良く、コーナリング自体は自然な挙動で終止する。

加えてコーナリング時にパワーを掛けていっても、路面で踏ん張るタイヤとサスペンションとの動きがしっかり分別されている点も良い。安価なEVでは真似できない足腰の動きだといる。サスペンションの設計も素晴らしいようで、ジオメトリーが適正なため、ステアリングホイールは常に一定の感触を手のひらに伝えてくる。

ステアリングはかなり無機的なフィーリングではあるものの、正確性は高い。かなりのペースで急き立てたとしても、クルマは常に安定して走っているように感じるだろう。

クルマの性格を映し出したインテリア

初期モデルの欠点でもあったのがブレーキのフィーリング。しかし今回のクルマの場合、制動力も充分に力強くなり、ペダルの操作に対して直感的に効くように改善されたようだ。

ドライビングモードには3段階の設定があり、コンフォートモードではステアリングの操舵感が最も軽くなる。だがコンフォートモードが一番繊細な操作が可能になる様子。どのモードを選んでも、運転しにくく感じることはないけれど。

フロントウインドウの左右に伸びるAピラーは木の幹のように太い。ダッシュボードのデザインはシンプルで、爽快なクルマのアイデンティティや、運転のシンプルさを表現しているように感じられる。グローブボックスの開閉するスピードや、ダッシュボード中央に鎮座する巨大なタッチモニターの操作感ですら、統一感を得ていることには、感銘を受けるだろう。

「買い」か?

興味を掻き立てられる優秀さ

今回の試乗は1時間ほどだった。正直、これまでわれわれが経験してきたクルマとは異なる種類であり、短時間にすべてを把握することは難しい作業ではある。だが、思わず強く興味を掻き立てられるような、極めて優秀なクルマであることは間違いなさそうだ。

英国の褒められないような路面であっても、モデル3パフォーマンスは期待に充分に応えてくれる走りを披露してくれた。まるでこの地にテーラーメイドされたかのように。標準の柔らかいサスペンションを備えたロングレンジ仕様なら、さらに素晴らしい体験を与えてくれるだろう。

テスラ・モデル3パフォーマンスのスペック

■価格 5万6900ポンド(825万円)
■全長×全幅×全高 4694✕1850✕1443mm
■最高速度 260km/h
0-100km/h加速 3.4秒
■航続距離 531km (WLTP)
■CO2排出量 0g/km (WLTP)
■乾燥重量 1847kg
■パワートレイン ACモーター2基
■バッテリー 75kWhリチウムイオン
■最高出力 450ps
■最大トルク 64.9kg-m
■ギアボックス ダイレクトドライブ

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