世の中には「意外な人が兄弟・姉妹」ということがある。慎太郎と裕次郎。すずとアリス。萌音と萌歌……クルマの世界でも「意外な兄弟」がいる。ここでは、別メーカーだが実は同門同士という日産 エクストレイルと三菱 アウトランダーを比較する。
※本稿は2024年2月のものです
文/国沢光宏、写真/NISSAN、MITSUBISHI
初出:『ベストカー』2024年3月10日号
燃料費はPHEVが安い……アウトランダーは悪路走破性もバツグン!! エクストレイルはパワフルも割高か
■ここが同門対決のポイント
2021年に現行型が登場した三菱 アウトランダー
・メーカーは違えど、アライアンスによって基本プラットフォームが共同開発された2車
・車体も内装もそれぞれのメーカーのオリジナル
・パワートレーンも各メーカー独自のものを採用
■基本プラットフォームは共通の2台
2022年登場の日産 エクストレイル
ご存知のとおりこの2車種は兄弟車となる。日産が開発したプラットフォームで、シルエットを見るとまったく同じだとわかります。
基本計画時点でエクストレイルにもPHEVは存在したことだろうし、逆にアウトランダーにe-POWERということだって考えられたハズだ。
しかしフタを開けてみたら、相当違う個性を持つクルマになった。しかもこの2車、PHEVにはけっこうな補助金が出るため、価格差はほとんどない。迷う人もいるだろう。
結論から書くと自宅に充電インフラがあるなら電池だけで70kmくらい走れるアウトランダーが優位。1回の走行距離が70kmに達しない普通の使い方だと、エネルギーコストは電気のほうが圧倒的に安価。私なら瞬時も迷うことなくアウトランダーを選ぶ。
一方、自宅に充電環境がなければエクストレイルしかなくなる。エクストレイルなら燃費のいいハイブリッドです。ガソリン補給だけすればいくらでも走れます。
SUVで重要になってくる4WD性能だけれど、どちらも後輪にモーター使う、いわゆる「e4WD」。ただ使っている後輪モーターはアウトランダーのほうがパワフル。電池容量が大きく、ランエボのような前後の駆動力配分も可能。
実際、アウトランダーで雪道やグラベル路を走ると、前輪でなく後輪から駆動力を掛けていくような制御ができるのだった。エクストレイルの4WDも決して悪くないけれど、アウトランダーには届いていない。
■「ここがいい」「ここがイマイチ」
●エクストレイル
エクストレイルのよさはデザインだと思う。都会派のハリアーとアウトドア派のRAV4を足して二で割ったようなポジションになる。加給エンジンを使うハイブリッド車ということもあり、なかなかパワフル。サーキットで走ればアウトランダーより速い。
難点はPHEVと同じくらいの価格設定。イメージより50万円は高いです。
●アウトランダーPHEV
やはり日常的な使い方なら電気自動車として使えるのが大きい。1万km走るのにエクストレイルのガソリンは11万円。アウトランダーを割高な昼間の電気料金で走らせたって6万円ほど。補助金が大きいのも魅力だ。東京だと国からの補助金を合わせ100万円も出る! 残念ながらイマイチの部分は指摘できない。
●エクストレイル(G e-4ORCE)主要諸元
・全長×全幅×全高:4660×1840×1720mm
・ホイールベース:2705mm
・車量重量:1880kg
・エンジン:直3ターボ+モーター
・排気量:1497cc
・エンジン最高出力:144ps/4400-5000rpm
・エンジン最大トルク:25.5kgm/2400-4000rpm
・モーター出力:前204ps/後136ps
・WLTCモード燃費:18.4km/L
・価格:474万8700円
●アウトランダーPHEV(G・5人)主要諸元
・全長×全幅×全高:4710×1860×1745mm
・ホイールベース:2705mm
・車量重量:2050kg
・エンジン:直4+モーター
・排気量:2359cc
・エンジン最高出力:133ps/5000rpm
・エンジン最大トルク:19.9kgm/4300rpm
・モーター出力:前116ps/後136ps
・WLTCモード燃費:16.2km/L
・価格:549万8800円
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みんなのコメント
そんなカニバリ起こすようなことしないだろ。
今更三菱に12年の実績のPHEVを捨てる道はないし、e-POWERをラインナップに加えたら廉価グレードになってしまう。
それは日産としては許容できないだろう。
それよりアウトランダーにVCターボを与えて欲しいんだけど。