2006年7月、レクサス日本開業から1年にして、GS/IS/SCがそれぞれ一部改良を受けた。なぜわずか1年で改良を受けたのか、その変化はどんな内容だったのか。当時の試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年11月号より、タイトル写真はレクサスGS350)
登場からわずか1年で行われた意味深い改良
早いもので、レクサスの日本開業から1年。この秋(2006年)には、いよいよ真打ちLSが登場するわけだが、それを間近に控えた7月に、レクサスの既存3モデル、GS、IS、SCが、それぞれ一部改良を受けた。そこで登場1年を経ていかに熟成されたのか、掘り下げてみたい。
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そう言ってはみたものの、実はいずれも変更点はごくわずかだ。まずGSでアナウンスされているのは、全車にドアロック連動ドアミラー自動格納機能が備わったこと、GS450h専用色だったプレミアムライトブルーが全車で選べるようになったこと、ナビの情報を元にダンパーを減衰力を自動調整するNAVI・AI-AVSがGS430にも装備されたこと、GS350でも18インチのタイヤ&ホイールが選択可能になったこと、ざっと以上である。
しかし実際に走らせてみると、その印象は明らかに記憶の中のGSとは異なっていた。もっとも改善著しく感じられたのは、GS430のランフラットタイヤ装着車である。簡単に言えば、乗り心地では明らかにしなやかさが向上。それでいて、ステアリングにはしっかりとした手応え感があるという具合に、全般的なレベルアップを果たしていたのだ。
従来のランフラット仕様は、銘柄によって乗り心地にゴツゴツ感が伴ったり、あるいは乗り心地は悪くないがコーナーで腰砕け感を伴ったりと、さほど褒められたものではなかった。それが、この激変ぶりである。
本当はサスペンションの仕様に変更があったのではないか。そう勘繰ると、GSの三吉茂俊チーフエンジニアは、笑ってそれを否定した。「どこも変えてないですよ。違うとすれば、タイヤだけです」
実は試乗車に装着されていたランフラットタイヤは、GS450hで初採用された進化型だという。それが今回の一部改良で、GS430にも装着されるようになったのだ。
GS450hに関しては、まだ乗り心地やライントレース性など、厳しい評価をしなければならない箇所はいくつかある。しかし、それより車重が190kgも軽いGS430にとっては、そのスペックが大きな余裕をもたらすことに繋がったのである。
一方、ランフラットではない18インチも、実は今回、新しい銘柄が投入されている。確かにこちらも限界が高いわけではないが確実で、落ちの穏やかなグリップ感、カドのない乗り心地で印象は悪くなかったのだが、個人的にはもう少し手応えに骨太感が欲しいとも感じた。そういう意味も込めてトータルで見ると、大入力時の突き上げ感は依然残るものの、選ぶべきはランフラット仕様ではないか。価格は2万1000円高でしかないのだ。安心を選ぶ意味でもオススメと言える。
VSCオフ機能の追加は、アナウンスされていない変更点である。スイッチを1回押すとトラクションコントロールがオフになるのは従来通りだが、自動復帰の速度は15km/hから50km/hへ引き上げられた。さらに3秒間長押しすると、ABS以外の機能がオフになる。新雪路での発進などを考慮したとのことだが、もちろんスポーツドライビング時にも有効。成熟した乗り手が選ぶべきプレミアムブランドなら、こうした選択はユーザーに委ねるべしという決断は評価されるべきものだろう。
一方のSCの変更点は、ETCユニット並びに前方衝突時に下肢をサポートするニーエアバッグを標準装備としたことの2点である。車体構造に変更のない一部改良で、ニーエアバッグのような装備を標準とした点については大いに賞賛したいところ。一方、スマートエントリー&スタートシステムの採用については、やはり難しいという。せめてプッシュボタンスタートになれば、最新のレクサスっぽくなるのだが・・・。
乗り味については、GSと同じくタイヤの進化で快適性が大きく向上している。トランクスペースの小さなSCでランフラットは必須なだけに、これはあるいはGS以上に大きなポイントと言えるかもしれない。
LSが目指す世界との整合性を感じさせる変化
改良されたISを含む3台のレクサス、特にGSに乗っている最中、僕は7月にザルツブルグで乗ったLSのことを思い出していた。実はLS、その時の印象はそれほど冴えたものではなかった。絶対的な性能には素晴らしいものを感じたが、ステアリングフィールや乗り心地等々、手に触れ五感に訴える部分が、GSやISで築き上げられた僕の中でのレクサスのイメージとは違っていて、端的に言えばセルシオの延長線のように思えたのだ。ところが改良された既存3モデルの乗り味は、そのLSを想起させた。
そして気付いたのだ。「あ、これこそレクサスがやりたかったことなのか」と。要するに、これまで従来のセルシオ(=LS)の、乗員に無用な刺激を与えることなく、常に静かで快適という強みはそのままに、世界レベルのスタビリティや操縦性を与える。きっと、それがレクサスなのだ。
LSの完成に目処がついたところで、それとの整合性を取るべく、モデルごとの特徴を活かしながら、その方向で統一が図られたと思しき今回のレクサス各車に乗って、僕の中ではそう合点が行き、同時にLSの目指した世界が、あるいはレクサスとは何ぞやということが、頭の中でハッキリと像を結んだのである。
いわゆるドイツ車的な硬質感に心酔している人や、乗った瞬間に伝わる刺激性こそを求める人には好まれないかもしれない。しかし、誰にでも好かれる役割はトヨタが担えばいい。多少好き嫌いは分かれようと、独自の魅力を持った確固たる世界を持ってこそプレミアムブランド。これまで曖昧だったレクサスのそんな部分が、ここに来てクッキリ、明快なものになったように思う。
確かに変更箇所は少ない。しかし意味するところは非常に大きいのが、今回の一部改良なのである。(文:島下泰久/Motor Magazine 2006年11月号より)
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