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ロータリーはロマンがあるんだけどさぁ……今後のマツダはどんなクルマ作りをするのか?

掲載 29
ロータリーはロマンがあるんだけどさぁ……今後のマツダはどんなクルマ作りをするのか?

 マツダがこのほど発表したMX-30ロータリーEV。ファン待望のロータリー復活だが、果たしてそれが手放しで喜べることなのかどうか、今後のマツダのクルマ作りについて語ってもらった。

文/国沢光宏、写真/ベストカーWeb編集部

ロータリーはロマンがあるんだけどさぁ……今後のマツダはどんなクルマ作りをするのか?

■ロータリー採用の最大のメリットは「コンパクト&滑らか」

マツダMX-30ロータリーEV。発電機としてロータリーを使う

 マツダがロータリーエンジンを発電機パワーユニットとして使うMX-30ロータリーEVを発表した。そして、一部の役員から「発電機用でないロータリーも考えている」という発言もあったようだ。

 果たしてロータリーエンジンに未来はあるのだろうか? そもそもロータリーエンジンについて再考してみたい。まずメリットだけれど、最も大きいのはコンパクト&滑らかなことである。

 PHEV用のパワーユニットは一般的に2気筒以上のレシプロエンジンを使う。とはいえ、2気筒だと振動や騒音が気になり、快適かとなれば「いいえ」。BMW i3はスクーター用の650cc2気筒エンジンを発電機用に使っているのだけれど、静かなEV走行からエンジンがかかると賑やか。

 しかも650ccじゃ絶対的な出力も足りない。最低で70ps以上ある1200ccクラスの3気筒になると思う。

[articlelink]

■PHEV用の発電機エンジンとしては素晴らしいのだが……

筆者は「ロータリーエンジンならレシプロの2気筒よりコンパクトながら、4気筒並みにスムーズ」と指摘している

 ノートに搭載されている日産e-POWERの1200cc3気筒をイメージしてもらえばいい。ノートのボンネットを開けると、普通のエンジンがド~ンと搭載されており、その横に発電機。さらにモーターというレイアウト。

 加えてエンジンで走るe-POWERなら3気筒だと気にならないかもしれないが、EV走行主体のPHEVだとエンジンがかかった時の差が大きいかもしれない。

 ロータリーエンジンならレシプロの2気筒よりコンパクトながら、4気筒並みにスムーズ。そして1200ccエンジンと同等の出力を出せる。PHEV用の発電機用エンジンとして考えたら物理的なスペックは素晴らしいと思う。

 だったら国沢光宏はロータリーエンジンを持ってベストとするかと聞かれたら「条件付きで」と答えておく。ロータリー、弱点もあるからだ。

■最大の課題である燃費をどうするのか?

MX-30ロータリーEVの最大の課題は燃費性能だと筆者は指摘。燃焼室は独特の形状をしている

 最大の課題は燃費。ロータリーエンジンって燃焼室の形状が悪い。理想は球形なのだけれど、イラストを見ていただければわかるとおり、妙なカタチをしている。特に両サイドは混合気が届きにくく、燃えにくい。

 排気ガス対策をすることすら難しく。当然ながら熱効率の追求は困難。実際、MX-30ロータリーEVのハイブリッド燃費(e-POWERと同じくエンジンを使って走るシリーズハイブリッド)は悪い。

 カタログデータを見るとハイブリッドモードだと15.4km/L。ほぼ同じ車重となるセレナe-POWERの20.6km/Lに遠く及ばない。前述のとおり、ハイブリッドモードは日産e-POWERと同じシリーズハイブリッド。

 なんで燃費が違うかとなれば、エンジンの熱効率が悪いからだ。参考までに書いておくとセレナだってノアと比べたら燃費悪い。ノア、23.4km/Lです。30%も悪い!

 ただ、PHEVの場合、大半は電気で走ると思う。RAV4 PHVやプリウスPHEV、アウトランダーPHEVに乗っている知人に話を聞くと、半年くらいガソリンを補給していない人もいるほど。平均して2カ月に1度くらいだったりする。

■エンジンを事前撮影会でかけさせなかった理由は3つあり

MX-30ロータリーEVの事前撮影会で展示されていたロータリー

 となれば、燃費の悪さはそれほど決定的な弱点にならないかもしれない。いずれにしろジックリ乗ってみてから評価したいと思っています。

 興味深いことにMX-30ロータリーEVの事前撮影会ではエンジンをかけさせてくれなかったそうな。想像される理由は3つ。

 ひとつはエンジンのかけ止め時に出る「揺れ」。2ローターでもかけ止め時に「ゆらっ」とする。排気量の大きい1ローターだとさらに揺れやすいと思う。モーター制御である程度はコントロールできるだろうが、けっこう難しいんじゃなかろうか。

 ふたつ目は排気ガス。冷間時の始動で匂いを出さないようにするのは、相当難しいと思う。1ローターだと触媒の活性化が難しい。電熱ヒーターなどを使っている可能性大。それでも始動直後はハードル高い。マツダの技術力は高いためなんとかする? 

 最後の3つ目が音。シングルローターだと案外ロータリーらしい音を出すと思う。この3つのどれかに未達成項目があると私は予想してます。

■なぜMX-30にロータリーを搭載したのか?

なぜマツダがMX-30にロータリーを搭載したのか、筆者は疑問を投げかけているのだが……

 それより大きな問題はMX-30に搭載したこと。MX-30の兄弟車であるCX-30や、ひと回り大きくなるが共通性の高いプラットフォームを使っているCX-5あたりに搭載し、魅力的な価格設定とすれば案外売れるかもしれない。

 なぜ、超不人気のMX-30に搭載してきたのかが最も大きなナゾだったりします。もしかするとロータリーEVはMX-30で最後になるということか?

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みんなのコメント

29件
  • hih********
    ロマンかぁ・・・かつてのマツダ乗りとしては、その響きに弱いけど
    スカイX(の販売面の失敗)
    МX-30(売れてないよね)と、このロータリー発電機にはときめかないし、時代の流れに寂しさを感じるな。
  • ix4********
    ガソリン50リッターで航続距離800kmだそうな。
    え?リッター16km?
    ロータリー意味あるの?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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