■3代目となる新型「ノート」がいよいよ登場!
日産は事業構造計画発表「NISSAN NEXT」の会見で内田誠社長兼CEOは「積極的な新車投入」、具体的には2021年末までに12の新型車をグローバルで投入することを公言しました。
【画像】これは売れる! カッコ良くなった新型ノートをチェック(34枚)
その象徴となるのはクロスオーバーEVの「アリア」とピュアなスポーツカー「Z」の2台です。
どちらも魅力的なモデルではありますが、ビジネスの観点から見ると経営を支えるための“白飯”のようなモデルが求められているのも事実でしょう。
そんなモデルが3代目となる新型「ノート」です。
ノートはBセグメントの世界戦略車として開発されたコンパクトモデルで、日本はもちろん北米や欧州など世界中で販売していました。
先代となる2代目は2012年に登場、日産の屋台骨を支える重要なモデルとして人気を博してきましたが、2016年の大幅改良時に追加された「e-POWER」で再ブレイクしました。
日本では日本自動車販売協会連合会が発表する2016年11月の乗用車車名別販売台数で、6代目「サニー」以来となる30年2か月ぶりに販売台数トップも獲得。モデル末期ながら2020年1月から6月の販売台数はトップ5に入っています。
とはいえ、ライバルの進化も著しい事から販売現場からは新型の導入が待ち望まれていたのも事実です。
そんななか登場する3代目となる新型ノートは、どのようなクルマに進化したのでしょうか。
新型ノートの開発コンセプトは「コンパクトカーの常識を変える運転の快適さと愉しさが詰まった、先進コンパクト」です。
コンパクトカーでは必須となる「運転のしやすさ」、「室内の快適さ」に加えて、「デザイン」、「e-POWER」、「ビークルダイナミクス」、「先進運転支援技術」と、現代のクルマに求められる性能を高度にバランスよく備えています。
外装ですが、パッと見た瞬間に嫌味のない先進性とコンパクトカーらしからぬ堂々としたスタイルだと感じました。
薄型ヘッドランプと一体の新Vモーショングリル、シンプルでクリーンな造形、踏ん張りのあるリアスタイルなどは、先に発表されたアリアと共通性もあります。
先代よりも存在感が強いので、「デザインはいいけど、サイズアップしていたら日本では辛いな」と心配しましたが、実際の寸法は全長4045mm(-55mm)×全幅1695mm(±0mm)×全高1520mm(±0mm)、ホイールベース2580mm(-20mm)と、じつは従来モデルよりコンパクトなのです。
細部を見ていくとヘッドランプは標準がハロゲン、オプションで全車に4連LEDプロジェクターがセレクト可能ですが、先進的なスタイルとのバランスを考えると4連LEDプロジェクターは選んでおきたいアイテムのひとつでしょう。
ホイールは15/16インチ共に先進性を感じさせるエアロダイナミックなホイールカバーが標準装備され、上級グレードの「X」はスポーティな装いの2トーン切削アルミホイールもオプションで装着可能です。
ボディカラーは全13色を用意しています。定番の白黒シルバーに加えて日本車離れしたいい色ばかりです。
日産のおススメはカタログに数多く登場する「ブルーメタリック+ブラック」の2トーンだそうです。
内装は、外装と同じように嫌味のない先進性に加えてスマートに使える機能的な空間に仕上がっています。
最大の特徴はバイザーレスでメーターとセンターディスプレイが一体となった統合型ディスプレイ採用のインパネ周りとブリッジタイプのロングコンソールです。
統合型ディスプレイはさまざまな表示に変更できるのはもちろん、左右の連携も可能となっています。
加えて電制シフトやステアリングスイッチ、さらにはブラック基調の共用スイッチの刷新、リトラクタブルインパネカップホルダーの採用など、これまで日産車が苦手としていた操作感の統一や見栄え、操作音など細部まで徹底した作り込みもおこなわれており、その結果シンプルなのに質の高い空間を実現しています。
インテリアカラーはブラックのみですが、内装コーディネイトはグレードに若干異なり、上級グレードのXには本革キルティング+グロスブラック加飾が用意されていますが、上級グレードのXに標準のグラデーショントリコットがこのインテリアにはもっともマッチしているように感じました。
従来モデルで好評だった居住空間は新型でも健在です。後席スペースはヘッドルーム/ニールーム共に先代より若干小さくなっていますが、それでもクラストップを維持。
また、このクラスでは珍しい後席リクライニング機能も相まって、快適に過ごせるはずです。
もちろん“ツルシ”で満足できない人にはファクトリーチューンの「AUTECH(オーテック)」も用意されています。
外装はオーテックブルー(オーロラフレアブルーパール)+シルバー加飾のコーディネイト、ドット調のフロントグリル、専用アルミホイールによりプレミアム性をアップ。
内装はブルー+ブラックキルティングを採用した専用シートなどにより上質で特別な空間アピールしています。
現時点では内外装のみの変更のようですが、先代でも好評だったメカニズムにも手が入る「スポーツスペック」も計画されているはずです。
ちなみに先代で人気の高かったNISMOは現時点では何もアナウンスはありません。
■e-POWERが第2世代へ進化! より滑らかになった!
新型ノートのパワートレインはガソリン車が姿を消し、全車「e-POWER」の展開です。1.2リッター直列3気筒エンジンで発電した電気を用いてモーターで駆動するという基本原理は共通ですが、e-POWERは第2世代へと進化しています。
まず「さらなる力強さ」のために発電用エンジンの出力アップ&燃費向上、一体型のインバーターは40%小型化&33%軽量化、モーターは出力向上(80kW/254Nm→85kW/280Nm)、高剛性構造やマウント類の最適化など、変更箇所は多岐に渡ります。
続いて「さらなる滑らかさ」のために、制御の高度化がおこなわれています。
具体的にはワンペダルドライブでアクセルOFFにした際の減速Gの変化を滑らかにすることで不快の動きの抑制や、停車時/駐車時にクリープ走行を可能にすることで、いままで以上にスムーズな速度コントロールを可能にしました。
先代は内燃機関とは違う新しい走りの感覚が特徴でしたが、新型はそれを継承しながらも人間の感性にあった自然かつシームレスな制御を手に入れたというわけです。
そして「さらなる静かさ」は、車体の遮音性向上と共に世界初となる「路面状況に応じた発電制御」を採用しています。
これは回転変動をセンシングし、ロードノイズが大きいと判断すると早めに発電。逆に滑らかな路面で発電頻度下げるという制御を実施。
さらに先代はバッテリーを減らさないために常にエンジン発電としていましたが、新型は充電量に応じた発電制御の採用で、本当に必要なときしかエンジンを作動させないようになっています。
従来モデルはエンジンが始動するとEV走行とのギャップに興ざめしましたが、新型はもう大丈夫でしょう。
4WDモデルも大きく進化しています。先代と同じくリアモーターを駆動させる電動4WDですが、先代はモーター出力3.5kWと小さく発進アシストのみだったのに対して、新型は50kWと大幅に出力向上。
これにより全車速で4輪駆動を実現し、力強い加速や安定した減速はもちろん、メカニカルな4WDと違って駆動力配分が自在に変更できるのでハンドリングも期待できるでしょう。
そんなパワートレインを搭載するプラットフォームは全面刷新されました。
日産は「次世代小型車向けプラットフォーム」と呼んでいますが、ルノーの新型「ルーテシア」も採用する「CMF-B」でしょう。
先代のVプラットフォームに対し高強度・高剛性(ボディ剛性30%アップ)、遮音構造最適化による静粛性向上、更に高性能・高剛性サスペンション(フロント:ストラット/リア:トーションビーム、剛性10%アップ)や高剛性ステアリング(剛性90%アップ)などの採用により、基本素性を劇的にレベルアップ。
ただし、軽量化も頑張っており車両重量は先代並みに抑えられています。
その走りはノーマルでも先代モデルのNISMOを遥かに超える応答性/ハンドリングと先代以上の快適性を両立させていると思います。
また、コンパクトカーに大事な扱いやすさも抜かりなしで、ステアリングのクイック化/操作力の低減や最小回転半径4.9m(先代は5.2m)などにより、取り回しの良さはクラストップレベルです。
そして、先進安全装備も充実しました。「プロパイロット」は国内の日産車初となるナビゲーション連携式を採用しており、地図情報から予めカーブやジャンクションの大きさを把握して車速をコントロール。より確実、よりスムーズなステアリング支援が可能になっています。
また、新たにインテリジェントFCW(前方衝突予測警報)、アダプティブLEDヘッドライト、インテリジェントDA(ふらつき警報)、標識検知、BSW、インテリジェントBSI(後側方衝突防止支援システム)、RCTA(後退時シャア両検知警報)、エマージェンシーストップシグナルなどの採用などにより、上級モデルと同じ「360°セーフティ」を実現しています。
このようにすべてが刷新された新型ノートですが、最後の最後に驚かされたのは価格設定です。
202万9500円から218万68000円は、実質値下げともいってもいいかもしれません。
※ ※ ※
新型ノートは、「やったぜ日産!」という一台であり、現時点で売れない理由は見つかりません。
先代は3年連続コンパクトカー販売台数ナンバー1を獲得しましたが、新型はその記録を更新できる実力を持っているといっていいと思います。
今後、トヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」とのBセグメントハッチバックの戦いはより激化しそうな予感がしています。
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みんなのコメント
「運転支援」を「自動運転」って宣伝したり、
ガソリンが無きゃ走れない(EVに求められる環境性能を持ってない)のに、「電気自動車の新しいカタチ」って宣伝したり、
誇大広告一歩手前の宣伝を繰り広げて、消費者から苦情が殺到しなければいいがな。