乗用車用のATは10速まであることも!
ポルシェ911が乗用車として世界初の7速マニュアルトランスミッション(MT)を搭載したのは2012年のことでした。その後、シボレー・コルベット(C7)も7速MTを採用しましたが、乗用車では7速MTが増えてくというムードにはなっていません。トレーラーなどの大型商用車では12段、16段変速というのは珍しくなく、乗用車用のオートマチックトランスミッション(AT)は10速まで達しています。
もはやMTに存在価値ナシ!? イマドキのATの強烈な進化っぷりとは
トランスミッションのトレンドはレシオカバレッジ(変速比幅)の拡大です。たとえば、レクサスLCの採用する10速ATのレシオカバレッジは8.2となっています。一方、トヨタ86の6速MTのレシオカバレッジは4.7に過ぎません。かといって段数を増やさないままレシオカバレッジだけを拡大するとシフトチェンジ時の回転落ち(アップシフトの場合)が大きくなりドライバビリティを損なってしまいます。ですからレシオカバレッジの拡大と多段化はセットなのです。にもかかわらず、乗用車のMTが多段化しない理由はあるのでしょうか。
ポルシェ911の7速MT(ZF製)について調べるとわかりますが、これは7速DCT(3軸タイプ)をベースとしたもので、通常のMT(2軸タイプ)とは構造が異なっています。そのため、シフトフォークを動かすためのアクチュエーターを用いることでマニュアル操作を可能にしています。
また、大型商用車などの16速MTなども8段変速+副変速機といった構造となっていて、本当に16段分のギヤセットを持っているわけではありません。オーソドックスなステップATにしても10段変速だからといって10組のギヤセットを持っているわけではなく、4つ程度のプラネタリーギヤを組み合わせることで10段変速を実現しています。DCTにしても3軸・4軸タイプとすればトランスミッションケースは短くできます。
ギヤを増やすことで重量が増えてしまうデメリットがある
しかし、通常のMT構造で多段変速にするには各変速段のギヤセットを直線的に並べる必要があります。通常、縦置きで直結ギヤを持つ6速MTであれば、リバースを含めて6個のギヤセットを持っていますが、変速段を増やそうとするとギヤセットを増やすしかありません。
つまりギアセットの分だけトランスミッションケースが長くなっていってしまうのです。トランスアクスルのFR車や、ミッドシップ、リヤエンジン車であれば巨大化したトランスミッションを搭載することもできるでしょうが、一般的なFR車、ましてFF車では大きなトランスミッションを収めるのは物理的に不可能といえます。また、ギヤセットが増えるということは重量増にもつながります。そうしたハードウェアの都合から乗用車のMTは6速が実質的な上限となっていると考えられます。
もうひとつ、大型商用車の多段MTの操作には適切なギヤを選択するというドライバーの高いスキルが必要です。積載量によって発進ギヤを1速~3速の範囲で選ぶことは二桁段数を持つMTの操作では常識です。一般ユーザー向けの乗用車にそうしたスキルを求めることは考えづらく、ドライバーのレベルに合わせると6速MTが適切という面があることも否めません。
ドライビングの一環としてクラッチ操作を楽しみたいのであればMTにこだわるのはアリでしょう。とはいえ、積極的なシフトチェンジにより好みの変速ギヤを選びたいというのであればパドルシフトなどのマニュアルモードを備えた多段ATにも独自のおもしろさがあります。いずれも運転が楽しめますから、MTとATに優劣をつけるのはナンセンスでしょう。
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みんなのコメント
ギヤ数を多くし過ぎても、変速機会が増えて失速に繋がるし、アクセルワークでトルクバンドを維持する楽しみが無くなってしまう。