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ATレバーにあった「オーバードライブ」ボタンを最近のクルマから見かけなくなった理由

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ATレバーにあった「オーバードライブ」ボタンを最近のクルマから見かけなくなった理由

 おもに高速巡航する際に使うのが効果的だった

 オーパードライブという言葉をご存じたろうか。マニュアルトランスミッションではかなり前に使われなくなった言葉ではあるが、オートマチックトランスミッションの場合は最近まで馴染みがあった。とはいえ、最近では見なくなってしまったのだが、理由はあるのだろうか?

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 そもそもオーバードライブというのは、スペックを見た場合、トランスミッション内での変速比が1よりも小さくなっているギヤを指す。1というのは出力の出と入りで回転数が同じで、直結とも呼ばれる状態。それよりもハイギヤということは、エンジンが1回転した際にトランスミッションから出る軸は1回転より多く回ることになる。力は出ないがエンジンの回転数を下げられるので燃費を良くしたり、静粛性を高めたりできる。実際に使うのは高速巡航など、力強さを必要としない一定の速度を保つ状態だ。

 5速マニュアルの場合、4速が直結で5速がオーバードライブというギヤレシオのクルマが多かった。MTは、ドライバー自身がシフト操作をしてスピードやエンジン回転を制御するので、力があまり伝わらずに失速してきたら、自分でシフトダウンすればよかった。

 今や10段変速も登場し細かな制御が可能となった

 オートマの場合は、4速ATが主流の以前なら、3速が直結で、4速がオーバードライブというのが多かった。すでに紹介しているようにオーバードライブは力の伝達という点では弱いので失速しやすく、本来は常用するものではなかった。だからシフトの横にオーバードライブボタンを付けて、それを押してオーバードライブをオフにしておくことで、通常は直結までの範囲で自動で変速し、オーバードライブについては任意で使えるようにしていた。

 では、今のクルマからオーバードライブがなぜなくなってしまったかというと、制御の進化にある。簡単に言ってしまえば、昔のように、どんどんとシフトアップしてなにも考えずにオーバードライブに入り勝手に失速するというのがなくなり、ドライバーがアシストする必要もなくなったから。

 最新のクルマでは現在何速にするのが最適なのかを高度に判断できるようになったので、ドライバーの判断でオーバードライブスイッチをオンオフしなくてもよくなったわけだ。そもそも8速や9速、10速といった多段ATが当たり前の昨今では、オーバードライブとなるギヤは一番上のひとつだけではなく、複数ある。たとえばレクサスLSは10速ATだが直結となるのは7速で、8速から10速の3段がオーバードライブとなっている。しかも10速の減速比はたったの0.598と以前では考えられないほど小さい。

 こうなるとシフト横のボタンでオンオフなどという次元ではなく、逆を言えば高度な制御を駆使して完全自動で最適なギヤを選び続けられないようでは10速などという多段化は無理と言っていいだろう。ギヤがカバー範囲を越えて失速しそうになったら、車両が判断してさっと最適なシフトに変速。AT内部にもコンピュータは組み込まれていて、もはやボタンで切り替えるような制御の時代ではないのだ。

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