スバルの販売店ホームページを見ると、BRZについて「注文受け付けを終了いたしました」と掲載されている。メーカーに尋ねると「国内で販売されるBRZについては、すでに生産を終えている」と返答された。
しかし、北米など海外のホームページを見ると、従来通り掲載されている。今はコロナ禍の影響もあり、市場によって販売状況が異なる。そこで国内向けは、早期に生産と販売を終えたようだ。
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一方、86については、2020年8月中旬においてBRZのような終了の告知は見られない。メーカーのホームページには、工場出荷時期として「注文いただいてから3か月程度、GRは4か月程度」と掲載されている。
トヨタ版の86はどうなるのか? 取材により新たな情報が明らかになった。
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ自動車、スバル、池之平昌信/CGイラスト:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】惜しまれる販売終了と期待される次期モデル! 86/BRZを写真で振り返る!!
■トヨタの86もすでに受注はストップ
メーカーのホームページにはまだ工場出荷時期が記載されているトヨタ 86。しかしオーダーはすでにストップし、数少ない在庫車を残すのみというのが現状だ
トヨタの86については冒頭のとおり、メーカーのホームページにはまだ工場出荷時期が記載されている。だが、念のために販売店に尋ねると、まったく違う話を聞くことができた。
「86はすでにメーカーへの発注が終了している。まず86のGRが終わり、ほかの一般グレードも先ごろオーダーが停止した。現時点で買えるとすれば在庫車だが、86は販売台数が限られることもあって在庫車は少ない。つまり新車の86は、実質的に購入できなくなった」
今後の展開はどうなるのか、この点も尋ねた。
「スバルが86の次期型を開発していることは確かだが、今のところメーカーから何の話も聞いていない。従って少なくとも2020年内に発売されることはないと思う」
トヨタ 86よりも先に生産終了がアナウンスされたスバル BRZ。コロナウイルス流行の影響もあり、国内向けは生産・販売とも終えたようだ
通常は従来型の生産や販売が終わると、時間を置かずに新型車を発売する。車種のラインナップが途絶える期間が生じると、従来型から乗り替えを希望するユーザーも新型を購入できず、ほかのメーカーに移ってしまう心配も生じるからだ。
そして、トヨタとスバルは、2019年9月に「新たな業務資本提携に合意」したと発表しており、提携の内容に「トヨタ86/スバルBRZ 次期モデル共同開発」が盛り込まれている。
この項目がある以上、次期86とBRZの開発が進んでいることは間違いない。生産を終えるタイミングがBRZは早く、86は遅かったということだ。
■なぜ86とBRZで終売のタイミングに時間差?
86とBRZで国内での販売終了に時間差が生じたのは販売規模の違いもある。同ラインで製造される両車だが、販売網の規模には10倍ほどの開きがある
86とBRZで国内の終了に時間差が生じたのは、販売規模の違いもある。
2020年1~6月はコロナ禍の影響を受けて各メーカーとも売れ行きが下がったが、86は1か月平均で300台少々を登録した。BRZは約80台だ。
86を扱うトヨタの4系列は全国に約4600店舗、スバルは約460店舗だから10倍の開きがあり、両車種の販売格差も拡大した。
スバルは販売会社のホームページに、6月頃には「BRZは2020年7月20日をもって注文受け付けを終了致します」という告知を掲載していた。
早い時期から顧客を募り、販売終了の準備を進めていたわけだ。スバルは販売ネットワークが小規模だから、メーカーも販売網全体の動きを把握しやすく、意思の伝達も容易だ。
■注目の新型86/BRZは排気量アップでアイサイトも搭載予定
86/BRZといえば水平対向エンジンだが、次期モデルは排気量を拡大し、実用回転域の駆動力と実用燃費性能を向上させる狙いだ
なお86とBRZの次期型は、プラットフォームを現行型と共通化する。両車はスポーツカーとしては好調に売れたが、SUVやハッチバックほど大量に販売される商品ではないからだ。1世代限りでプラットフォームを変更するのは、コストの面からも難しい。
また、今はプラットフォームの解析能力が高まり、以前に比べると、同じベースを使いながら従来よりも熟成度を深めることが可能になった。そこで86とBRZの次期型も、現行型と同じプラットフォームを使いながら改良を加える。
改良の内容には、現行インプレッサ以降の前輪駆動車に幅広く使われるSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の技術も多く盛り込まれるだろう。86とBRZは後輪駆動だが、実質的にプラットフォームを刷新したのと同等の効果を得る。
ボディサイズは、ホイールベースの数値などを含めて現行型を踏襲する。現行型は狭いながらも実用的な後席と荷室を備え、なおかつ全長は4300mm以下、全幅も1800mm以下だから、ドライバーは車両との一体感を味わいやすい。いわば熟成されたサイズだから、次期型で変更する必要はない。
現行型にはアイサイトは非搭載だが、カテゴリーを問わず最良の安全装備を採用するのが常識となっている現在の状況では、次期モデルには装備されることになると考えてよいだろう
現行型のエンジンは水平対向4気筒2Lだが、次期型は排気量を2.4Lに拡大する見通しだ。排気量の拡大でエンジンの負荷を抑え、実用回転域の駆動力と、実用燃費性能を向上させる。
そして、最も大きく進化するのが安全装備だ。現行型は衝突被害軽減ブレーキのアイサイトを装着していない。
開発者は「86とBRZでは、フロントウインドウの角度と地上高がアイサイトの搭載を困難にしている。なおかつ生産規模も小さいために設定されていない」と説明した。
しかし、今はカテゴリーを問わず最良の安全装備を採用するのが、日本、海外ともに常識になっている。当然に86とBRZの次期型も、最新型のアイサイトを採用する。
■希少国産スポーツに86/BRZにファンも熱視線
早期の登場を期待される次期モデルだが、ボディサイズは現行型とほぼ同じ、内部はエンジンの排気量アップと安全装備搭載が予想される(CGイラストはベストカーが製作したもの)
それにしても、86とBRZには熱心なファンが多い。今では発売から8年以上を経過したので、新型への乗り替えを希望するユーザーもたくさんおられる。
次期型の登場は、業務提携の内容としてすでに公表されたのだから、発表や納車を伴う発売のタイミングなどを大雑把でも良いから明らかにすべきだ。
そうなればユーザーも購入計画を立てられて、納車を心待ちにできる。そこまで含めて、スポーツカーの楽しさがあると思う。
単に生産終了を告げられるだけでは、ユーザーは寂しい気持ちになってしまう。ユーザー/販売会社/メーカーが一緒になって楽しむ86とBRZであって欲しい。
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2種類の排気量ラインナップで売れば良いのに。