デザインディレクターがチョイスした珠玉のヴェイロン
世界初のハイパースポーツであり、稀代のレコードブレーカー、そして自動車デザイン史に名を刻んだアイコン・・・。2005年に生産がスタートしたブガッティ ヴェイロンにより、フランスの歴史的自動車メーカーは復活を果たした。
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ヴェイロン16.4は、最高出力1001ps、最高速度407km/h、0-100km/h加速は2.5秒を発揮。ヴェイロン16.4はスペシャルモデルも含めて、クーペが300台、ロードスターが150台、フランス・モルスハイムのファクトリーにおいて10年の歳月をかけて生産された。
デビューから15年を経た今、デザインディレクターを務めるアキム・アンシャイトが個人的なお気に入りのヴェイロン6台を振り返った。
Bugatti Veyron 16.4 Pur Sang(2007)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 ピュール サン(2007)
美しい2トーンカラーをカーボンとアルミで表現
「ヴェイロン 16.4 ピュール サンを振り返るのは、最初の子供の誕生を思い出すようなものです。あれだけの感動的な出来事は決して忘れることはできないでしょう。私の記憶の奥深くに刻まれていますから・・・」と、アンシャイトは感慨を噛みしめるように語った。
「初めてモルスハイムのワークショップに足を踏み入れたときのこと、そしてヴェイロンの技術にどれほど驚かされたか、今でもはっきりと覚えています。その技術的なコンセプトに心から感銘を受けました。カーボンモノコックに組み合わせられたアルミニウム製フレームは、技術的な美しさを湛えていましたから」
この、ヴェイロン 16.4 ピュール サンでは、2トーンのボディカラーの代わりにカーボンファイバーとアルミニウムでコントラストを表現した。この2つのマテリアルの組み合わせは、自動車工学の分野では初のことだった。素材の技術的な美しさを際立たせるために、ブガッティはあえて塗装をせずクラシックなブガッティの2トーンデザインを再解釈している。
カーボン製アウタースキンがW16型エンジンとインテリアを包み込み、アルミパネルに反射した光がヴェイロンの輪郭を際立たせるピュール サンは、ブガッティが展開するスペシャルエディションとカスタマイズプログラムの最初の1台となった。2007年のフランクフルト・モーターショーにおいて発表され、限定5台がわずか45分で完売している。
Bugatti Veyron 16.4 Super Sport(2010)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 スーパースポーツ(2010)
市販ハイパースポーツにおいて世界最速の称号を獲得
「2010年に発表されたヴェイロン 16.4 スーパースポーツは、本当に特別な1台です。開発において『フォーム フォロース パフォーマンス(form follows performance:形状はパフォーマンスに従う)』というアプローチを、これほどまで体系的に適用した初めてのクルマでした」
量産車世界速度記録を塗り替えるという目標を達成するため、ブガッティはエアロダイナミクスを強化する必要があった。パワフルなエンジンにフレッシュエアを供給すべく、ルーフにふたつのNACAダクトが設けられた。ひとつトリビアを加えるとすれば、このルーフのデザインは「ブガッティ EB110 SS」の初期デザインをベースにしていることだろう。
エンジンの最高出力は1200ps、0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は415km/hを実現。ギネスブックによって課された厳しい条件のもと、平均最高速度431.072km/hを達成し、世界最速の市販ハイパースポーツという称号を獲得した。
「ドイツ北部のエーラ・レッシェンで行われた記録会において、私はコースから10mほど離れた場所に立っていました。そのとき、ヴェイロンは一陣の風とともに通過していきました。あれは信じられない光景でしたよ。一生忘れられないでしょう」
ブガッティは2010年7月にヴェイロン 16.4 スーパースポーツを発売。最初の5台「ワールドレコード エディション(World Record Edition)」は、すぐに完売している。
Bugatti Veyron 16.4 Grand Sport L’Or Blanc(2011)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ロル・ブラン(2011)
ドイツのベルリン王立磁器製陶所とのコラボ
2011年夏、ドイツのベルリン王立磁器製陶所(Royal Porcelain Factory:KPM)とのコラボレーションにより、非常に興味深いスペシャルエディションが誕生した。「ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ロル・ブラン」は、自動車業界としては初めて高級陶磁器をエクステリアとインテリアに採用。美しく芸術的かつ抽象的なカラースキームを採用し、他に類を見ない1台となっている。
2011年初頭、ブガッティには一点物のアートカーを作りたいというアイデアがあった。
「アンディ・ウォーホル、ジェフ・クーンズ、フランク・ステラ、ロイ・リキテンスタイン・・・。彼らが作り上げた自動車の芸術作品を真似したいとは思っていませんでした。だから、当初はこのアイデアに懐疑的だったのです」と、アンシャイトは振り返る。
しかし、このアイデアは彼につきまとい、デザインチームはブガッティのブランド価値にマッチした特別な1台を作る機会を探し求めていた。優れた品質やマテリアル、クラフトマンシップなど、ブガッティが本来持っている価値観を反映したクルマを作りたいという強い願いがあったのである。
中国の明代陶磁器を連想させる美しく繊細なライン
デザイナーはまず、ライトストリップを用いてボディ表面に反射光を投影した。この反射光により、ボディ表面の美しさ、クオリティ、凹凸が明らかになる。これにより、クルマのプロポーションやパターンが容易に理解できるようになった。それは、魔法のような瞬間だったという。
白い塗装を施したヴェイロンの上に、日本の和紙で作った青いテープを丁寧に貼り付けることで、その魔法のような反射の美しさを形にした。形状に合わせてテープのプロポーションを調整しながら、何度も試行錯誤を繰り返したという。最終的に、光の反射のネットワークのようにヴェイロンのボディ表面に美しいラインが張り巡らされた。
「出来上がった作品は、中国の明代の壺を連想させるものでした。そこで、ベルリン王立磁器製陶所とのコラボレーションを思いついたのです」
美しくて壊れやすい素材と、ハイパースポーツによるコラボが完成した。ロル・ブラン(ホワイトゴールド)によって世界最速の陶磁器が生まれたのだ。ブガッティの塗装担当者たちは、貼り付けられたラインをロイヤルダークブルーの塗料に置き換えて1ミリずつ手作業で塗っていった。この貴重な一点物はコレクターに売却されている。
Bugatti Veyron 16.4 Grand Sport Vitesse(2012)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ヴィテッセ(2012)
世界最速のオープントップハイパースポーツ
「グランスポーツ ヴィテッセが私にとって特別な存在である理由は何でしょう? 当初、デザイナーチームに対してヴィテッセはロードスターとしての力強さが足りないと批判がありました。でも、今ではルーフを閉じているときはクーペのように見えるという事実をお客様は高く評価してくれています」
2013年、最高出力1200psを誇るグランスポーツ ヴィテッセは、最高速度408.84km/hを記録。オープントップスポーツカーの新たな速度記録を樹立した。「ヴィテッセ ワールド レコード カー エディション(Vitesse World Record Car Edition)」は8台限定で登場し、すぐに完売。150台が製造されたヴェイロンのロードスターモデルのうち、92台がヴィテッセ仕様として製造されている。
Bugatti Veyron Grand Sport Venet(2012)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ヴェネ(2012)
彫刻家のベルナール・ヴェネとのコラボレーション
2012年、フランスの彫刻家であるベルナール・ヴェネとのコラボレーションにより、他に類を見ない芸術作品「ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ヴェネ」が誕生した。魅惑的ともいえるボディカラーと、オートクチュールからインスパイアされたインテリアデザインを融合させ、真の美術作品とも言える1台を生み出している。
「自動車デザインとは全く関係のない、著名なアーティストと一緒にクルマを開発するのは非常に困難な作業です。ベルナー・ヴェネとは、最初から最後までクリエイティブなプロセスの連続でした。彼がどのように仕事をしているのか、どのようにして大きな彫刻を製作しているのか。それを目の当たりにすることができたのはとても印象的でしたね。私たちは緊密に協力し合い、最終的には他の追随を許さない芸術作品が完成したと思っています」
数式で表現されたオレンジから茶色へのグラデーション
意見が分かれたのは、オレンジからブラウンへのグラデーションをペイントし、鉄が錆びている様子を表現するという、ヴェネのアイデアだった。
「そのインスピレーションは理解していましたが、スプレーによるカラーグラデーションは、クオリティと見映えの点でブガッティというよりも、ヒストリックホットロッドカーに見えてしまいます」
そこで、“変貌”というコンセプトを、どう表現すべきかを共に考えることになったという。そして、ヴェネの数字への情熱を活かした新たなアイデアが生まれた。
W型16気筒エンジンのパワーとスピードを計算するために使用される数式を、ヴェイロンのボディワーク上にカラーグラデーションで表現。その数式は、フロントからフェンダー、ボディを横切って爆発するかのように放射している。インテリアにも見られる錆のような配色の数列は、ヴェネの作品群からインスピレーションを得ている。
2012年12月、ヴェイロン 16.4 グランスポーツ ヴェネは、アメリカ・フロリダのマイアミ・ビーチで開催された「ルーベル・ファミリー・コレクション」で発表され、現在はとあるプライベートコレクションに収められている。
Bugatti Veyron 16.4 Grand Sport Vitesse “Ettore Bugatti”(2014)
ブガッティ ヴェイロン 16.4 グラン スポーツ ヴィテッセ “エットーレ・ブガッティ”(2014)
6名の伝説の人物をテーマとしたスペシャルエディション
ブガッティは、6名の伝説の人物をテーマにした特別仕様車として、2013年の夏から「ブガッティ レジェンド」シリーズを展開。ジャン=ピエール・ウィミーユ、ジャン・ブガッティ、バルトロメオ・コンスタンティーニ、レンブラント・ブガッティ、ブラック・ベスに続き、最後を締めくくったのが創業者のエットーレ・ブガッティだった。
高級素材コードバンレザーのインテリア
伝説のフィナーレにふさわしく、ヴェイロン 16.4 グラン スポーツ ヴィテッセをベースに、ダークブルーのネイキッド・カーボンとハンドポリッシュ仕上げのアルミニウムで構成されたボディワークを採用。これにナチュラルなコードバンレザーのインテリアが組み合わせられている。
「コードバンレザー製の靴を所有したことがある人なら誰でも、その驚くべき品質を理解し、耐久性を高く評価するでしょう。このレジェンド・シリーズのインテリアを製作する際、ここが出発点になりました」
6部構成のスペシャル・エディションは、18台すべてが即完売した。
「この先の未来、いつかのペブルビーチのコンクール・デレガンスを想像してください。現在のオーナーの孫の世代が、 “エットーレ・ブガッティ”のシートに座り、素材の美しさ、インテリアの調和と魅力、そしてこのクルマが自動車の寿命を超えた価値と品質を提供していることに思いを馳せてくれるかもしれません。それこそが、過去、現在、そしてこれからもブガッティが体現していく『ブガッティとは何か』という答えなのです」
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