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フォーミュラEのニューマシンGen3 Evo。FIAは3段階のホモロゲーションで何をチェックするのか?

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フォーミュラEのニューマシンGen3 Evo。FIAは3段階のホモロゲーションで何をチェックするのか?

 様々なモータースポーツシリーズがオフシーズンにあるが、フォーミュラEはシーズン11の第2戦がメキシコで次週末に開催される。

 このレースは、新しいマシンであるGen3 Evoにとって2戦目となる。この新車はGen 3ファミリーの一員であることに変わりはないが、全輪駆動モードの導入など、いくつかの重要な新機能を備えている。加えて、レギュレーションで定められたこの世代のライフサイクルの中間点に達したことで、各メーカーはソフトウェアだけでなく、ハードウェアレベルでもそれぞれのパワートレインに手を加えることが許されている。

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 マシンの刷新から2シーズンが経ち、各メーカーはそれぞれのパワートレインを改良することができるのだ。改善の余地が大きいと思われる部分を物理的に変更することが可能になるため、各メーカーにとって重要だ。このため、日産、ステランティス、マヒンドラなど、多くのメーカーがGen3 Evoの開発に力を入れている。

 もちろん、各チームはパワートレインとマシンについて、FIAが課すパラメーターを尊重し、再びホモロゲーションを取得しなければならなかった。

 ホモロゲーションは、10月にハラマでプレシーズンテストが始まる数週間前に行なわれた。ホモロゲーション・プロセスが選手権開幕のかなり前に行なわれるのは、FIAがヴァレリーにあるファクトリーでの検査でコンポーネントを冷静にチェックできるようにすることと、FIAが異常を発見した場合にチームが介入する時間を確保することのふたつが主な目的だ。

■ホモロゲーション・プロセスの目的

 ホモロゲーション・プロセスは、カスタマーチームにパワートレインを供給するすべてのメーカーが受けなければならないもので、3つの段階から構成されている。

 各チームは、シーズン中にサーキットに持ち込むマシンを持って、ヴァレリーのFIAテクニカルセンターに出頭しなければならない。チームは通常、少なくとも3台のシャシーを用意する。すなわち、ドライバーが選手権に出場する2台のシャシーと、新型Gen3 Evoの開発テストに使用する3台目のシャシーである。コストと実用性に関して、スパークが供給するGen3 EvoのシャシーはGen 3シャシーと変わらない。

 このプロセスでは、すべてのコンポーネントが合法であること、公差がFIAによって許可されたパラメータの範囲内であることを確認するためにチェックが行なわれる。

 F1ではチームは様々なコンポーネントの設計をFIAと共有したり、説明を求めたりしなければならないが、フォーミュラEではチーム独自の空力パーツを使うこともないため、このプロセスによって、選手権が始まる前にすでに物理的な合法性をクルマに持たせることができる。

 さらにフォーミュラEでは開発がハードウェア・レベルで凍結されるため、レース・ウィークエンドでの検証プロセスがスピードアップする。

■安全性と制御の間にある3段階のプロセス

 FIAの説明によれば、ホモロゲーション・プロセスの第1段階は、マシンの電圧に関する安全パラメーターがチームによって尊重されているかどうかを特定のテストを通じてチェックすることである。マシンは高電圧で作動するため、ドライバーとメカニックの安全が最優先されるからだ。

 マシンは標準的な出力である300kWや、最大出力の350kWなど様々な動作モードでテストされる。さらに、故障の際にすべての手順が遵守されているかどうかもチェックされ、オペレーターやスチュワードにマシンが安全かどうかが知らされるシステムが機能しているか確認される。

 実際、マシンが 「安全でない」と判断されるような問題が発生した場合、メカニックとスチュワードの双方が従うべき特別な手順が存在している。

 第2段階は、特定の部品の寸法と重量のチェックである。レギュレーションでは、遵守すべき寸法と重量が定められている。

 たとえば、今年は車両重量が859kgから862kgに増量されている。これにはドライバーの最低重量が80kgから82kgに2kg増量されることも含まれる。

 さらに、メーカーが開発したパワートレイン、つまりモーター、ギヤボックス、サスペンション・コンポーネントに関するすべての要素が、この段階でチェックされる。

 フロントアクスル周辺のパワートレインもすべてチェックされる。シーズン11からは、フロントアクスルのジェネレーターがエネルギー回生をするだけでなく、モーターとしても作動。これにより、短時間ながら4輪駆動のマシンとなるのだ。

 フロントのパワートレインは非常にコンパクトで、実際、温度上昇のために連続運転は想定されていないため、現時点ではFIAが選んだ週末の特定のステージでのみ使用が許可されている。

 フロントのパワートレインについては外部企業のアティエバから供給されており、四輪駆動の負荷に耐えるためにドライブシャフトが強化されている。

 最後に第3段階では、選手権に参加するために完了しなければならないホモロゲーションそのものに関する書類と、チームがシーズンを通して遵守しなければならない安全対策や指示に関する書類の両方がチェックされる。

 こうしたホモロゲーション・プロセスを経て、デビューしたGen3 Evo。開幕戦では四駆化の恩恵が大きく、これまで以上にアタックモードが強力になっていたが、第2戦メキシコでは果たしてどんなレースが展開されるだろうか。

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