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メルセデス・ベンツW108/W109型 殆どの部品は入手できる! UK版中古車ガイド(2) 複雑なサス故障にご注意

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メルセデス・ベンツW108/W109型 殆どの部品は入手できる! UK版中古車ガイド(2) 複雑なサス故障にご注意

エンジンは長寿命 複雑なサスの故障に注意

Sクラスの前身となった、メルセデス・ベンツW108/W109型。定期的なメンテナンスを怠らなければ、直6でもV8でも、エンジンは長寿命と考えて良い。SOHCのカムはチェーン駆動で、こちらも堅牢だ。

【画像】目の肥えた人に刺さる「縦目」 メルセデス・ベンツW108/W109 W113と114 最新SクラスとSLも 全116枚

V8エンジンでは、チェーンのたるみが内部の損傷につながる。交換作業は難しくないため、早めの対策が吉だろう。

キャブレターも経年劣化するものの、知識があればメンテナンスは難しくない。ボッシュ社製のインジェクションは堅牢。修理は可能だが、高く付く。欧州では、エタノール混合ガソリンへ対応した、燃料ホースへの交換も一般的といえる。

メルセデス・ベンツ独自の4速オートマティックは、一般的なユニットではなく、ポンプとタービンを用いた流体カップリング式。欧州ではマニュアルより多い。アメリカ向けに、4.5L V8エンジンにはトルクコンバーター式の3速が組まれていた。

マニュアルは、4速が標準で高耐久。1969年式以降の6気筒エンジン版には、オプションで5速も設定されていたが、これを選んだオーナーは少なかった。4速MTの場合、オプションでフロアシフトへ変更も可能だった。

W108型のリア・サスペンションには、ハイドロニューマチックを用いた車高調システムが組まれている。荷室へ荷物を積むと、一定の高さへ持ち上げボディを水平に保ってくれる。リア側が沈んで見える場合は、このシステムが故障している証拠といえる。

複雑な機構が故に、不調は珍しくない。スプリングを組んだシステムへ、置換されることも多い。

殆どの修理部品は入手可能 でも高価

上級仕様だったW109型では、エンジンの回転を利用したエアポンプが圧力を送る、セルフレベリング機能付きエアサスペンションが標準。こちらも、正常に機能するか試乗で確かめたい。

ヒーターファンはダッシュボードの内部にあり、修理作業は大掛かり。エアコンから時計まで、電装系の調子はすべて確認しておきたい。

W108型もW109型も、生産終了から半世紀以上が過ぎている。現存する車両は、各部のサビ補修を受けていて不思議ではない。その作業は丁寧か、じっくり観察したい。

ボディパネルの内側に不自然な波打ちがないか、ドアやトランクリッドなどの隙間が均一に揃っているかも観察したい。事故に遭遇すると、間隔が不揃いになりがちだ。

メルセデス・ベンツは、殆どの部品とボディパネル、クロームメッキ・トリムを今でも提供している。部品に困ることはないとしても、価格は安くない。レストア前提で購入する場合は、どの程度部品代が必要になるか、概算でも検討しておくと安心だろう。

乗りながら長期間楽しみたいと考えるなら、排気量にこだわらず、可能な限り状態の良い例を探した方がベター。車両価格は高めでも、最終的に維持コストを抑えられる可能性が高いはず。

購入時に気をつけたいポイント

ボディとシャシー

ヘッドライト周辺や前後のフェンダー、インナーフェンダー、バッテリーとブレーキ・マスターシリンダー付近のバルクヘッド、フロア、サイドシル、ジャッキポイントなどが錆びがち。下側ではサスペンション・マウント、シャシーレールなども錆びやすい。

ドアの底部や、スペアタイヤの下側なども要観察。ライト類の状態も、細かく観察したいところ。クロームメッキ部品は入手可能だが高価なため、状態が良好ならボーナス・ポイントだ。

エンジン

エンジンオイル交換を定期的に続けている限り、耐久性は極めて高い。メンテナンス用の部品は、メルセデス・ベンツが提供しているだけでなく、OEM品をネットなどで購入できる。オーバーヒートの過去がないかは、確かめたい。

3.5L V8エンジンでは、エグゾースト・マニフォールドがひび割れすることがある。機械式インジェクションの6気筒エンジンは、ECUが不調だと修理に1000ポンド(約19万円)以上必要になる。

ゴム製の燃料ホースと、バキュームホースは劣化しがち。インジェクションでは、高圧の燃料ラインの状態もチェックポイント。

サスペンション

W109型の場合は、エアスプリングの状態と、リア・サスペンション・レベラーの状態を確かめる。リア側のサスペンション・マウントやキングピン、ブッシュ類などのヘタリ、潤滑状態にも注意したい。

エアスプリングは複雑だが、修理は可能。コイルスプリングへ換装された例も多い。

トランスミッション

オートマティックは、加減速時に滑らかに変速し、キックダウンが適正か試乗で確かめる。フルードの状態も確認したい。マニュアルでも、すべてのギアへ滑らかに変速できるか確かめたい。前進・後進時に、リアデフから異音がしないかも要チェック。

インテリア

内装は基本的に耐久性が高いものの、摩耗していて不思議ではない。部品は高く、特にW109型のウッドパネルは値が張る。MBテックスと呼ばれるビニールレザーは、オプションだったレザーより高耐久。すべての車載機能が正常に動くか、確認も忘れずに。

メルセデス・ベンツW108/W109型のまとめ

クラシックなメルセデス・ベンツとして、完成度が高いW108/W109型。ボロボロ状態のレストアは熱心な愛好家に任せ、仕様を妥協し状態の良い1台を探し出せば、Sクラスの前身を堪能できる。構造が複雑になるV8へのコダワリは、オススメしない。

価格は安くないものの、高品質な部品を選べば、そのぶん長期間使えると考えたい。メンテナンスが行き届いていれば、充足感の高いクラシックカーライフを過ごせるはず。

良いトコロ

半世紀前は非常に高価なサルーンだったが、近年では現実的な価格で流通している。耐久性は高く、往年の贅沢な自動車移動へ浸れる。選択肢の幅は広く、修理部品の入手も難しくない。

良くないトコロ

V8エンジンは特に燃費が悪い。修理部品には、驚くほど高価なものも。状態の悪い例を購入すると、部品代で火の車になる可能性もあり得る。

メルセデス・ベンツW108/W109型(1965~1973年/英国仕様)のスペック

英国価格:3395~8115ポンド(1970年時)
生産数:38万3361台(合計)
全長:4910-5000mm
全幅:1820mm
全高:1420mm
最高速度:170-222km/h
0-97km/h加速:6.5-12.6秒
燃費:5.7-7.4km/L
CO2排出量:−
車両重量:1446-1769kg
パワートレイン:直列6気筒2496・2778・2966cc 自然吸気SOHC/V型8気筒3499・4520・6332cc 自然吸気SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:131ps/5400rpm-250ps/4000rpm
最大トルク:19.7kg-m/4000rpm-50.9kg-m/2800rpm
ギアボックス:4速・5速マニュアル/3速・4速オートマティック(後輪駆動)

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みんなのコメント

4件
  • kaz********
    真面目に、こう言った車を親が新車で購入、助手席で育った子供が受け継ぎ、更に孫の世代へ…と維持して行くのが本当の金持ちなんだろうなぁ~と思ってしまいます。
  • fuf********
    ハイドロニューマチックといえばシトロエンが思い浮かぶが、メルセデスベンツにもあったのね

    この型は、たまに見掛けます
    上品そうな方がゆったと運転してます
    一般人には維持できないクルマでしょうね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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