この記事をまとめると
■ポルシェ911のなかでもモータースポーツを象徴するモデルが「RS」だ
高性能スポーツ車の代名詞「ポルシェ」はなぜスーパーカーと呼ばれないのか?
■現在に至るまで登場し続けている「RS」のなかから初期の空冷モデルをピックアップ
■1973年に登場したいわゆる「ナナサン」から最後の空冷993まで3台のRSを解説
マーケティング上の理由から名付けられた「RS」
ポルシェ911の歴史上、「RS」の名を冠したモデルほど魅力的なものはないでしょう。いうまでもなく「RS=Renn Sport(レーシングスポーツ)」のイニシャルは、ポルシェが目指したモータースポーツシーンでの活躍が約束され、初めて1974年に登場して以来、その伝統と実績は連綿と引き継がれているのです。
いままでに「RS」と名付けられたモデルは多数ありますが、水冷モデル以降はGTのイニシャルが付随するなど複雑化しているため、今回は主な空冷の「RS」についてご紹介しましょう。
911 Carrera RS(1973)
1972年のパリとジュネーブで発表された初代RS、1973年に発売されたことから「ナナサンのRS」と呼ばれることが多いモデル。ポルシェにとって初めてのホモロゲーション(FIAグループ4)モデルだったことからRenn Sport(レーシングスポーツ)のイニシャルが用いられたとされています。
もっとも、当初は911S 2.7を名乗る予定だったのですが、当時のマーケティング部門が、「軽量化のために装備が簡素化されているにもかかわらず、大幅な値上げとなると、売れても80台程度」と開発責任者だったエルンスト・フールマン博士に苦言を呈していました。ならばホモロゲモデルを想起させるRS、そしてポルシェを象徴するカレラの名をつけて商品価値を高めようというのがカレラRS誕生の経緯とされています。
さて、カレラRSの伝説に欠かせないのが大幅な軽量化。フロント/リヤともにフードはFRPとされ、サイドウインドウは樹脂、インテリアにしてもヘッドレストすらオプションという徹底ぶりで、960kg(ツーリングバージョン)を実現しています。
また、さらなる軽量化が施されたライトウェイトバージョンに至っては900kgまでダイエット(ノーズのエンブレムさえステッカーに替えられています)という、現代の目から見てもにわかには信じがたいスペックを誇るのです。
ここに、2.7リッターへとスープアップされたフラットシックス(911/83)が搭載されるのですが、シリンダーのニカシルコーティングやマグネシウム製クランクケースなど、およそレースシーンからのフィードバックが山盛り。むろん、6個のピストン、クランクといった可動パーツの精査が行われ、210馬力/6300rpmまでチューンアップされました。
2.4リッターに比べ、20馬力ほどの向上ですが、パワーの密度やデリバリについては精密機械のそれであり、ノーマルエンジンとは雲泥の差があったといわれます。なお、ライトウエイトは0-60mph:5.6秒、最高速は約240km/hと、当時としては一流のパフォーマンスがもたらされました。
この結果、マーケ部門の予想は見事に裏切られ、1973-74年にかけて1580台のカレラRSが販売され、このうち200台がライトウエイトバージョンとされています。ちなみに、1973年のうちに2.8リッターのRSRが開発され、次いで1974年には3.0RSRへと発展していますが、すべてのベースはカレラRSに採用された技術が基本となっています。
「ナナサン」の系譜を継いだ後継モデルたち
964 Carrera RS(1992)
カリスマ性では初代に劣るかもしれませんが、930シリーズでついに登場しなかったRSモデルということで、ポルシェファンが待ちかねたように飛びついたモデル。また、911や930よりもシャシーが強化されたことで、260馬力/6100rpmというパワーも難なく取り込んだ生粋のスポーツカーにほかなりません。その証拠に、生産台数も初代を上まわる2276台と、人気の高さをうかがわせます。
とはいえ、チューンの内容はさほど過激なものではなく、RSのセオリーともいえる軽量化はノーマルから、マイナス120kg(ただし乾燥重量)、パワーアップはわずか10馬力アップにとどまります(エンジンパーツの公差範囲をよりシビアにしたのみといわれています)が、軽量化されたフライホイールによる回転上昇、それに伴って室内に聞こえるエキゾーストは簡素化された遮音材も手伝って、じつにレーシーな唸り! これぞRSの醍醐味とする評価は少なくありません。
また、ノーマルから40mm下げられた車高、LSD、そしてターボと同サイズのキャリパー&ブレーキローターなど、足まわりが徹底的にチューニングされ、4/6点式ロールケージを組み合わせれば即座に耐久レースマシンへとアップグレード可能なほど。ワンメイクレース用のカップカーにしてもこのRSをベースとしており、内装や保安部品をオミットし、ロールケージを溶接で組み入れているくらいしか差異は見られません。
なお、カタログにはトップスピードは260km/hに達し、0-100km/hは5.4秒と記載されています。
初代と違ってホモロゲーションモデルとはならなかった964カレラRSですが、後に3.8リッターへとスープアップされた3.8RSRというレーシングモデルのベースとなっており、またカップカーに変身してワンメイクレースを戦うなど、レン・シュポルトの名に恥じないモデルだったといって差しつかえないでしょう。
993 Carrera RS(1996)
空冷エンジンで最後のRSとなりましたが、生産台数は意外と少なくて1104台に終わっています。おそらくは、アメリカの法規に合わず、輸出できなかったことがひとつの原因だと考えられるでしょう。
とはいえ、3.8リッターのフラットシックスは993に投入されたバリオラム(可変吸気システム)の威力もあってか300馬力を発生し、0-100mphをわずか11.2秒で加速するという俊足ぶり。初めて採用された6速MT(G50/31)が加速重視のギヤスケジュールだったこと、そしてRSらしく約100kgの軽量化が施された1280kgという車重もあって、運動性能は歴代RSのなかでも頂点に達していたのではないでしょうか。
また、もともと空力特性に優れていた993ですが、フロントの小さなリップスポイラーと、固定式に変更されたリヤウイングによって揚力抵抗をほぼゼロにしているのもRSの大きなアドバンテージに違いありません。RSモデルらしい手動ウインドウ、エアバッグとエアコンのないベーシック(M002)は生産台数の10%にも満たず、それらの装備を載せたツーリングは700台以上を占めています。
さらに、993RSではクラブスポーツと呼ばれる仕様があり、これは後の993RSR3.8がGT選手権に出場する際のホモロゲーションモデルとなっています。レギュレーションによれば50台以上とされているのですが、993RSクラブスポーツバージョンはほとんどがレースカーのベースなどに用いられたと見えて、ナンバー付きは滅多に見られません。仮にオークションに出品されたとしたら、1973年のRS並みに高騰することは間違いないでしょう。
空冷エンジンとしては最後のRSとなりましたが、初代から20年以上を経ても、昔ながらのスパルタンさをしっかりキープしていたこと、それでいてモダンなシャシーとエンジンを存分にチューニングしていたという点では、993RSこそRSモデルの集大成といえるのではないでしょうか。
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