2018年3月のジュネーブショーで、トヨタが新型スポーツカーを世界初公開しました。車名は「GRスープラ レーシングコンセプト」。記者発表会でトヨタは歴代スープラがいかにトヨタブランドのスポーツ性能イメージに寄与したかに触れ、この新型スポーツカーがその名を冠することの正統性を強調しました。
確かに名車ですよね、スープラ。
もちろん日本車にはスープラのほかにも多くの名車、名ブランドがあり、そのうちいくつかは実際に復活しています。
車名が復活する、ということは、かつてその車名で活躍していた「クルマのコンセプト」が復活する、ということなのですね。
そこで本企画では、「なぜ車名を復活させるのか」のさらなる考察と、さまざまな事情があって絶版となり車名が新車市場から消滅しましたが、ぜひそのコンセプトごと復活してほしい車名6つをご紹介いたします。
文:渡辺陽一郎
■車名を復活させたい事情と理由
2019年の春にはトヨタが新型スポーツカーを発売する。その車名は「スープラ」になる模様だ。
スープラは日本では1986年に初代モデルが発売され(北米では1978年に国内発売されたセリカXXもスープラを名乗った)、一度フルモデルチェンジを行って2002年に生産を終えた。最終型はトヨタが自ら「スポーツカー」と名乗った数少ないクルマになる。
2019年春頃に日本試乗で復活発売する予定の新型スープラ
21世紀に発売する新型車が改めてスープラを名乗る理由は、この車名が高く認知されて今でもファンが多いこと、そして新型車のコンセプトが、その車名に値するものであるからだ。スープラがトヨタの歴史の中で大切な役割を果たしたと認めている。
その一方で、過去の車名を使う背景には、トヨタに限らずまったく違う事情も絡む。
クルマの名前に使えそうな単語は、今では大半が商標登録されていることだ。登録された名前を使うにはコストを要する。
そこで別の名前を探したり考えるが、大半は登録されているから、良さそうなのはほとんど残っていない。だから往年の車名が復活するわけだ。
この車名のリバイバルは、現時点で販売されているクルマにも見られる。ホンダシャトルは、1983年に初代を発売したシビックシャトルが最初で、1990年代の中盤に一度終了した。この後、2011年にフィットシャトルとして復活。2015年にはフィットが取れて「シャトル」にフルモデルチェンジした。
2015年に復活したホンダシャトル。かつて存在したシビックシャトルと同じコンセプト
先ごろ販売を終えたホンダバモスも同様だ。1970年に軽トラックのTN360をベースにして、軽商用車カテゴリーのユニークなオープンモデルのバモスホンダが発売された。これは発売後3年で終了したが、1999年にアクティバンの乗用車仕様となるバモスが改めて発売された。
このほかホンダでは、1972年に軽自動車のライフステップバンを発売。1974年に生産を終えたが、1996年にミニバンのステップワゴンが発売されて今に繋がる。
三菱ミラージュは1978年に初代モデルを発売。5代目が2000年に終了したが、2012年に現行型が復活した。
このように見ると、車名の復活が必ずしも注目される展開になったわけではないが、スープラはスポーツカーでもあるから期待するユーザーが多いだろう。同時にそれは「思い出に残る大切な車名なのだから、テキトーなクルマを造ったら承知しないぞ!」という厳しい見方も併せ持つ。トヨタはそこまで汲み取った上で、スープラと命名するのだから、新型スポーツカーがますます期待される。
そこで改めて「復活させて欲しいブランド車名」を考えたい。
■ホンダ シティ
ホンダシティ(初代)
シティはホンダが1981年に発売した小型車で、全長が3380mm、全幅が1570mm小さなサイズながら、全高は1470mmと当時では高めに設定され、広い室内を備えた。ところが1986年に発売された2代目では全高が1335mmまで一気に下がり、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)を長くすることで広い室内を得た。
この2代目で国内版のシティは終了。その後は海外向けの車名になり、今はグレイスの姉妹車としてインドなどで売られている。
それでもシティは小型車にとって良い名前だ。覚えやすく、文字通り都会的でオシャレな語感もある。日本で売るグレイスも、シティを名乗ると良いだろう。これから新型の小型車を開発した時は、是非シティと命名して欲しい。それにしてもあの頃のホンダは、シビック、アコード、レジェンド、シティなど良い車名を考えていた。
■三菱 ランサーエボリューション
三菱ランサーエボリューションX
初代モデルはランサーをベースにした4WDの高性能車として1992年に発売された。この後、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを重ねて性能を高め、最終型はランサーエボリューションXとなる。2015年にファイナルエディションを発売して生産を終えた。
今後の三菱は日産/ルノーと提携する中で、SUVを強めて行く。そこでエクリプスクロスにエボリューションモデルを設定したい。エクリプスクロスのプラットフォームは、ホイールベースの数値まで含めてアウトランダーやRVRと同じだが、ボディ剛性を高めて足まわりの設定も熟成され、走行安定性と乗り心地がとても優れている。高度なチューニングを施した2~2.4Lターボを搭載しても、十分に許容できる素性を備えている。エクリプスクロスエボリューションを発売すべきだ。
■日産 シルビア
日産シルビア(S13型)
かつてスープラと同様に人気の高かったスポーツクーペのシルビアも、車名のリバイバルで蘇っていた。初代は1965年に発売され、アルミから削り出したフロントグリルを含め、外観は職人が手作業で仕上げる凝った高価格車であった。そのために1968年に生産を終えている。そして1975年に再びスペシャルティクーペとして復活した。
そこからはフルモデルチェンジを重ねて2002年の生産終了まで多くのファンに愛された。最終型まで後輪駆動を貫き、特に1988年に発売された5代目は、美しいボディが特徴で大ヒット作になった。6代目で3ナンバーサイズに拡大されたが、売れ行きが下降して7代目では再び5ナンバー車に戻している。しかし人気は回復しなかった。
このシルビアは復活させる価値の高いクルマだろう。2013年の東京モーターショーには、初代シルビア/3代目ブルーバード/3代目スカイラインなどを思い出させる「IDxフリーフロー」も出品されたが、結局市販されなかった。
しかし改めてチャレンジして欲しい。「ハコスカ」で親しまれる3代目スカイライン2ドアハードトップの再来モデルにすれば、必ず中高年齢層のクルマ好きに受ける。そこを発火点に、若いクルマ好きに伝播させるのが合理的だ。今や海外でもスポーツカーを好むユーザーは高齢化して、シボレーカマロやフォードマスタングも回帰路線になった。
■トヨタ ソアラ
トヨタソアラ(3代目)
ソアラはスポーツ性と豪華さを併せ持つ高級スペシャルティクーペとして、初代モデルを1981年に発売した。1991年に発売された3代目は、北米でも初代レクサスSCとして販売されている。そして4代目ソアラは、2005年の国内版レクサス開業以降、マイナーチェンジを経て日本でもレクサスSCを名乗った。
このレクサスSCも終了して、今は2017年発売のLCになったが、改めて日本のソアラが欲しい。新たに発売するスープラのプラットフォームを使って、日本のユーザーが好む典型的な3ボックス・ノッチバックスタイルのボディを架装したい。
■トヨタ スプリンターカリブ
トヨタスプリンターカリブ(2代目)
1982年に発売された4WD専用のワゴンで、ルーフを高めに設定していた。今日でいえばスバルのレガシィアウトバックやXVのような雰囲気だ。今のトヨタのSUVは、C-HRとハリアーが主力だが、もう少しコンパクトな車種が欲しい。ただしアクアクロスオーバーは外観も機能も物足りない。
そこで欲しいのがシエンタ・カリブだ。最低地上高を高めて外観をカッコ良く仕上げれば、ベースが人気の高い実用指向のコンパクトミニバンでもあるから、相応に注目されるだろう。
■日産 テラノ
日産テラノ(初代)
テラノは1986年に発売されたオフロードSUV。これは車名が良い。地球を意味する「TERRA」から取った。地球環境への対応が重視される今の時代に相応しい。海外では現在でもテラノの車名が使われるが、日本でも活用すると良いだろう。ミニバンやコンパクトカーにも似合う車名だ。かつての日産には、サニー、ブルーバード、パルサーなど、意味と語感の両方ともに優れた車名がたくさんあった。
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