■ランクルの「未来予想図」なのか?
2023年10月、従来の「東京モーターショー」から装いを改め、東京ビッグサイトで開催された「ジャパンモビリティショー2023」。さまざまなワールドプレミア車種で注目を集めました。
そんななか、トヨタブースの一角に大柄なSUVのコンセプトモデルが出展されていました。その名も「ランドクルーザーSe」。果たしてどのようなモデルなのでしょうか。
【画像】超カッコイイ! これが「新型ランドクルーザー エスイー」です! 画像で見る(77枚)
ランドクルーザーシリーズは1951年に登場した「トヨタBJ型」をルーツに持つ本格四輪駆動車です。
以来、70年以上にわたって、「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」として、非常に高い悪路性能や絶対的な信頼性と堅牢性が全世界で支持され、四輪駆動車の代名詞となっています。
現在はブランドを代表する豪華なフラッグシップ「ランドクルーザー300」、中核をなす“ライトデューティー”モデル「ランドクルーザー250」、そして1984年に登場し、実用車として継続生産される「ランドクルーザー70」の3タイプがあります。
そんななか公開されたランドクルーザーSeは、ランドクルーザーを名乗る、全く新しいバッテリーEV(BEV)のコンセプトカーです。
ボディサイズは、全長5150mm×全幅1990mm×全高1705mm、ホイールベースは3050mm、乗車定員は7名です。
ちなみに、ランドクルーザー300のボディサイズは、全長4985mm×全幅1980mm×全高1925mm、ホイールベースは2850mm、乗車定員は7名(ZXグレードの場合)です。
街中で見掛けるたびに大きいと感じるランドクルーザー300よりも、さらに大柄なボディサイズとなっているのです。
そして、日本でも高い人気を誇るメルセデス・ベンツ「Gクラス」のBEVモデル「G580 ウィズ EQテクノロジーエディション1」が、2024年10月に日本でもデビューを果たしました。
このボディサイズは、全長4730mm×全幅1985mm×全高1990mm、ホイールベースは2890mm、乗車定員は5名です。
このように、BEV版のGクラスと全幅はほぼ同じながら、全長で420mmもランドクルーザーSeの方がロングボディなのです。
これほど巨大なボディサイズゆえに、日本国内よりも海外で使われることを重視して設計・開発されていることが見てとれます。
ランドクルーザーSeの主な特長として、スタイリッシュさと上質感を兼ね備えたスタイリングや、BEVならではのトルクフルな走り、そして世界のあらゆるニーズに対応した3列シートSUVである点が挙げられます。
また、BEVならではの利点を活かし、市街地などのオンロード走行時において高い静粛性を誇り、快適な室内空間を実現しています。
さらに注目すべき点として、ハンドリングとラフロード(荒れた道)を安心して滑走できる走破性を追求するべく、伝統のラダーフレームではなく、モノコックボディが採用されている点が挙げられます。
ランドクルーザーシリーズの信頼性を培ってきた、堅牢なラダーフレームではないことに驚く人も少なくありません。
ですが、ランドクルーザーSeにモノコックボディが採用された理由として「EV用の大容量バッテリーを積載することで車両重量が増してしまうため、軽量化するためにモノコックボディを採用」したというのがトヨタの見解です。
従来のランドクルーザーから脱却を図り、新時代の本格四輪駆動車として進化するためには、もしかしたらラダーフレームの廃止が必要なのかもしれません。
なお、2024年11月時点においても、ランドクルーザーSeのボディサイズは公表されているものの、パワー等のスペックに関しては謎のままです。
そのミステリアスさも、ランドクルーザーSeに対するさまざまな期待や想像をかきたてる要因のひとつといえます。
ただ「ランドクルーザー = ラダーフレーム」というイメージを持つ、熱心なランクルファンは複雑な心境かもしれません。
しかし、前向きに解釈すると、BEVモデルがこのさき主流になったとしても、ランドクルーザーが存在する確率は高いと期待できる何よりの証ともいえます。
少なくとも、ランドクルーザーSeの存在が、ランドクルーザーブランドの新たな魅力を見出したことは間違いありません。
英語のランド(Land)は「陸」、クルーザー(Cruiser)は「巡洋艦」の意味を持ちます。
まさに「陸の巡洋艦」という意味の車名を持つランドクルーザーが、BEVモデルになっても陸の王者として君臨してくれるに違いありません。
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