現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「ランボルギーニBMW」といわれた「M1」がたったの5750万円!? 安い理由はグレーな来歴のせいでした

ここから本文です

「ランボルギーニBMW」といわれた「M1」がたったの5750万円!? 安い理由はグレーな来歴のせいでした

掲載 7
「ランボルギーニBMW」といわれた「M1」がたったの5750万円!? 安い理由はグレーな来歴のせいでした

そのクルマが持つ来歴が価格に反映される

モナコは、いわゆるセレブだけではなく、クラシックカーとモータースポーツの愛好家にとっても夢の国。2年に一度「グランプリ・ドゥ・モナコ・ヒストリーク」が開催されるのみならず、それに付随するかたちでRMサザビーズ社の「MONACO」オークションも大々的に開かれます。7回目を迎えた2024年は、5月10日から11日に、地中海に面した見本市会場「グリマルディ・フォーラム」を舞台とし、往年のF1ワールドチャンピオン、ジョディ・シェクター氏の個人コレクションから現代のハイパーカーに至る115台の「お宝」的なクルマたちが、2日間にわたって競売ステージを飾ることになりました。今回はその出品車両のなかから、AMWが常に注目している「BMW M1」の最新オークション結果についてお伝えします。

BMW「M1」が約8500万円で落札! いまやフェラーリ「512BB」と「308GTB」を足した値段より高くなった理由とは

かつての悲劇の傑作は、今では最高のコレクターズアイテム

PHEVのスーパーカー「i8」が登場するまで、BMW史上唯一のミッドシップスポーツカーだった伝説のBMW「M1」は、FIA「グループ5」規約による世界スポーツカー耐久選手権において覇権を握っていたポルシェ「935」の牙城に挑戦すべく開発されたモデル。古き良き「3.5CSL」が、宿敵ポルシェ935に対する競争力不足を懸念されていたことから、BMWは直列6気筒DOHC24バルブ3.5Lエンジンに適合する、まったく新しいミッドシップのシャシーを必要としていた。

そこで1970年後半から、BMWのモータースポーツ部門は、まずランボルギーニに助けを求める。ウェッジシェイプのデザインは「イタルデザイン」のジョルジェット・ジウジアーロが担当し、FRP製ボディパネルはイタリア・モデナの「イタリアーナ・レジーナ(Italiana Resina)」社。鋼管フレームは、同じくモデナの「マルケージ(Marchesi)」社。そしてアセンブルは、サンタ・アガータ・ボロニェーゼのランボルギーニ本社にゆだねられるというイタリア頼みのプロジェクトが立ち上がった。

ところが、このM1のプロジェクト推進に手間どり、膨らんだ投資を回収できなかったことが大きな一因となってランボルギーニは経営破綻。紆余曲折の末、1978年4月までにプロジェクトはミュンヘンのBMW社内に差し戻しとなる。そしてM1の生産は、BMWとは縁の深い旧西ドイツの「バウア(Baur)」社に委託されることになった。

ただ、この複雑な生産工程から販売価格が高騰してしまったことも相まって、FIAグループ5の前段階として求められるグループ4が要求する一定期間の生産台数を満たせず、BMWのオプティミスティックなレース計画はとん挫。さらに新車セールスも振るわず、総生産数はBMWの目論見を大きく下回る、総計455台(ほかに454台説、460台説、477台説などが存在する)に終わったという。

しかし現在ではその希少価値も相まって、BMWの歴史に残る重要なピースとして、世界中のファンから熱愛されているというのは、ちょっと皮肉な話ともいえるかもしれない。

たとえ人気のM1でも、やはり来歴は大事?

このほどRMサザビーズ「MONACO 2024」オークションに出品されたBMW M1は、資料によると276台目の市販ロードゴーイングバージョンとして、「ブラウ(Blau:濃紺)」のボディカラーに「シュヴァルツ(Schwarz:黒)」のレザーインテリアを合わせた魅力的なコンビネーションで、1980年10月9日にラインオフ。そして「BMWフランスSA」社を介してスイス国内に新車として納入された。

ただし現在では「ブリラントロート(Brillantrot)」と呼ばれる濃い赤にリペイントされ、新車以来となる黒革のインテリアが組み合わされている。またファクトリーの資料によると、マッチングナンバーのエンジンが残されているとのことである。

このM1は、時期は不明ながら米国に輸出され、現在取り付けられているマイル表示のオドメーターに換装されたと思われる。いったんヨーロッパに戻されたのち、2011年3月にシンガポールに輸出されたとのこと。そして、今回のオークションに出品されるために再びヨーロッパに戻るまでは、長らくシンガポール国内で保有されていたという。

2024年4月、このBMWはオランダのブルゲルフェーンにある高級クラシックカーディーラー「Real Art on Wheels」社によって整備され、今回のオークション出品にあたって添付されたサービス履歴によると、その請求書の総額は6253ユーロであった。

このBMW M1について、RMサザビーズ欧州本社は現オーナーとの協議のうえで、40万ユーロ~50万ユーロというエスティメート(推定落札価格)を設定。グリマルディ・フォーラムで行われた競売では34万2500ユーロ、日本円に換算すれば約5750万円という意外な価格で落札されることになった。

2010年代中盤の最盛期の国際マーケットにおけるM1は、100万ドル(当時のレートでは約1億円)超えも散見され、現在にあっても高級クラシックカーディーラーなどでは6000~8000万円あたりの正札が付けられるのが通例となっている。

実際、今年2月に同じRMサザビーズ欧州本社が開催した「PARIS 2024」オークションでは52万2500ユーロ、日本円に換算すれば約8500万円で落札されたのだが、こちらはすべての来歴が揃っており、走行距離2万1142kmに過ぎないことも判明している。

いっぽう今回オークションに出されたM1は、カタログ掲載時にスピードメーターは作動していなかったため、オドメーターの数値は確認できない状態だった。つまり、来歴に疑念の生じる余地があったことが今回の落札価格に反映されたのは、ほぼ間違いのないところであろう。

こんな記事も読まれています

軽自動車にスーパーカー並みの装備[AZ-1]!! [高性能スペック]を誇った絶版スポーツ
軽自動車にスーパーカー並みの装備[AZ-1]!! [高性能スペック]を誇った絶版スポーツ
ベストカーWeb
真逆のマシン特性でレッドブルに挑んだメルセデス。サインツ、ペレスがハマった難関ターン6【中野信治のF1分析/第9戦】
真逆のマシン特性でレッドブルに挑んだメルセデス。サインツ、ペレスがハマった難関ターン6【中野信治のF1分析/第9戦】
AUTOSPORT web
あと1歩届かなかった……トヨタ小林可夢偉、前途多難のル・マン24時間レース惜敗に「めちゃめちゃ悔しい」
あと1歩届かなかった……トヨタ小林可夢偉、前途多難のル・マン24時間レース惜敗に「めちゃめちゃ悔しい」
motorsport.com 日本版
フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ
フォルクスワーゲン・トゥアレグ 詳細データテスト 実直な大型SUV PHEVの経済性はそこそこ
AUTOCAR JAPAN
雨に翻弄された101年目のル・マン。燃料ギリギリ! 50号車フェラーリが優勝。トヨタ7号車は最後尾から追い上げも届かず2位|ル・マン24時間:フィニッシュ
雨に翻弄された101年目のル・マン。燃料ギリギリ! 50号車フェラーリが優勝。トヨタ7号車は最後尾から追い上げも届かず2位|ル・マン24時間:フィニッシュ
motorsport.com 日本版
正式発売前のプロトタイプ先行試乗をプレイバック! 3代目レクサスISはBMW3シリーズを超えられたのか?
正式発売前のプロトタイプ先行試乗をプレイバック! 3代目レクサスISはBMW3シリーズを超えられたのか?
ベストカーWeb
ガソリンがリッター263円なら安い!? 給油するならドイツ、フランスを避けてルクセンブルクがオススメです【みどり独乙通信】
ガソリンがリッター263円なら安い!? 給油するならドイツ、フランスを避けてルクセンブルクがオススメです【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ル・マン24時間レース決勝速報|フェラーリ、逃げ切り2連覇達成! トヨタとの近年稀に見る大接戦を制す
ル・マン24時間レース決勝速報|フェラーリ、逃げ切り2連覇達成! トヨタとの近年稀に見る大接戦を制す
motorsport.com 日本版
7号車トヨタがレクサスとの接触でマシン破損/2024年WEC第4戦ル・マン24時間 ウォームアップ
7号車トヨタがレクサスとの接触でマシン破損/2024年WEC第4戦ル・マン24時間 ウォームアップ
AUTOSPORT web
マイチェンで「歴代最強」 フォルクスワーゲン・ゴルフ R 試作車へ試乗 最高水準の魅力に揺るぎナシ!
マイチェンで「歴代最強」 フォルクスワーゲン・ゴルフ R 試作車へ試乗 最高水準の魅力に揺るぎナシ!
AUTOCAR JAPAN
初心者でも安心! 自分のレベルに合わせてサーキットを楽しめる「GR Garage」主催の走行会に人気集中。ゲストドライバーに松井孝允選手も
初心者でも安心! 自分のレベルに合わせてサーキットを楽しめる「GR Garage」主催の走行会に人気集中。ゲストドライバーに松井孝允選手も
Auto Messe Web
“直線番長”プジョー9X8、劣勢も決勝に自信「正しいアプローチかどうかは、レースで分かる」/ル・マン24時間
“直線番長”プジョー9X8、劣勢も決勝に自信「正しいアプローチかどうかは、レースで分かる」/ル・マン24時間
AUTOSPORT web
前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
前年から運用方法が一部変更。2024年のル・マン24時間セーフティカールールをおさらい
AUTOSPORT web
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
伝説の「6輪F1マシン」を生んだ小屋 70年前のティレル工場が移転保存 英国
AUTOCAR JAPAN
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
JAFが義務化しているユニバーサルロゴの意味は? 実際にラリー車両に貼ってモータースポーツ参戦している人の声を聞いてきました
Auto Messe Web
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
余裕と安心の「サイレント」スポーツ ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(2) 創業者も認めた1台
AUTOCAR JAPAN
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
ロールス・ロイス傘下の「ダービー」世代 ベントレー 4 1/4リッター・ヴァンデンプラ(1) 端正なコーチビルド
AUTOCAR JAPAN
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
日産「新型“超凄い”スカイライン」まもなく登場! 420馬力の“史上最強”モデルはまさに「集大成」! もはや「次期型」に期待な“NISMO”実際どう?
くるまのニュース

みんなのコメント

7件
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

435.0726.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村