もくじ
ー エンジン音より聞こえてくるのは?
ー 6気筒で名誉挽回なるか
ー ヴェラールの値付けやいかに
ー 装備内容に見合った価格設定
ー 快適性にもサプライズ
ー 変わらぬ質感と変わる雰囲気
エンジン音より聞こえてくるのは
今年もっとも待望された高級車といってもいいレンジローバー・ヴェラール、それを定義づける音を発するのは、マルチシリンダーのディーゼルでなければ、出来のいいアクティブ・エキゾーストでも、17スピーカーのオーディオシステムでもない。
それは美しい仕上げの、ふかふかとしたシートからかすかに聞こえてくる。そのリズミカルな唸りを生むのは、内蔵されたマッサージ機構。慎重だがしっかりと、腰のあたりを揉みほぐしてくれる。
そんな小さな音が耳に届くのは、V6ユニットの発するエンジン音が小さいからだ。高速道路を流していると、周囲の音にまぎれてほとんど聞こえない。おまけに、その速度域でも風切り音はほんのかすかなものだ。
と、プロローグはここまで。早速テストを開始しよう。
6気筒で名誉挽回なるか
ロードテストでは輝きを見せながら、最下位機種となる4気筒ディーゼルに起因する辛辣な批判も受けたヴェラール。ほぼ最上位機種となる6気筒ディーゼルをテストする今回は、名誉挽回の絶好の機会だ。もしこれが、ゲイドンの主張をすべて満たし、並外れたモダンな高級SUVなのだとしたら、同価格帯のライバルを容易に凌ぐことができるだろう。
しかし、ライバルも座して負けを待っているわけではない。ヴェラールの試乗車は、£70,530(1066万円)のRダイナミックHSE D300。これにぶつけたのは、わずかに安いポルシェ・カイエンSディーゼルと、かなり安いアウディQ7 3.0TDI 272クワトロSラインだ。
実はマセラティ・レヴァンテ・ディーゼルも用意したかったのだが、この比較テストのために借り受けることはできなかった。しかし、そのイタリア代表を抜きにしても、ヴェラールの価格設定が野心的だというわれわれの意見が多数派だということは、ほかのライバルたちが鮮明に示してくれる。
ポルシェは385psのV8ディーゼルを積み、気筒数でもパワーでもパフォーマンスでも上回るうえに、スポーティなハンドリングを持つ高級SUVという定評もある。
一方のアウディは、レンジローバーの公称値に加速では匹敵し、燃費やCO2排出量では圧倒する。加えて、7座の使い勝手や圧倒的な高級感と仕上げの良さをみせるインテリアを備え、その走りの洗練度は価格帯にかかわらず、あらゆるSUVの中で最高レベルだ。
それだけに、レンジローバーの素晴らしくハンサムな新型車は、これらSUVカテゴリーの成功者たちを退けられるのか、疑念が湧いてくる。
ヴェラールの値付けやいかに
ざっくりと£7万(1058万円)だ。何度も繰り返すことになるが、どうしてこの価格なのか。レンジローバーのラインナップでは、スポーツの下位に当たるモデルだ。ランドローバーの値付けは高すぎるのではないか。なにしろ、今回の試乗車より£1,400(21万円)低い価格で、レンジスポーツの3.0ℓユニットを積むSDV6HSEダイナミックが手に入るのだから。
とはいうものの、そうだとしても、ランドローバーは異議を唱え、このヴェラールがレンジスポーツのハイエンドモデルほどは高額でないと指摘するだろう。装備類は気前よく盛り込まれ、フィニッシュも感銘を受けるレベルだ。6気筒のHSEグレードを購入すれば、その主張の信憑性は十分に感じられるはずだ。
比較用のQ7は、上級トリムのSラインを選択した。今回のヴェラールより£14,000(212万円)も安価だが、装備内容はまったく及ばない。マトリックスLEDヘッドライトや21インチのアルミホイール、ダッシュボードとセンターコンソールやドアまで張り込まれたレザートリム、エアサスペンション、メモリー機能付きシート、表示を変更できるデジタル計器盤、キーレス操作、さらにアクティブ安全デバイスのフルセット。ヴェラールでは標準装備のそうしたアイテムが、Q7では有償オプションとなるのだ。
それらオプションを全部乗せにしたQ7の価格が気になると思うが、なんと、レンジローバーを上回る計算となる。それはともかく、最大の特徴は長く大柄な、フルサイズの7座SUVだということだろう。
装備内容に見合った価格設定
カイエンをベースに同じ計算をしたら、金額はもっと跳ね上がる。21インチのホイール、メモリー機能付きスポーツシート、フルレザーインテリアは、それぞれ単体の価格がレンジローバーのそれより高額。
さらに標準装備のリストには、エアサスペンションもLEDヘッドライトもなく、プレミアムオーディオどころかデジタルラジオさえ記載されていない。
そうして考えると、間違いなく高いヴェラールのプライスが、決して法外な値付けではないように思えてくる。これが、今回のサプライズその1だ。
サプライズその2は、クルマに乗り込んだ時にやってくる。ヴェラールのインテリアをじっくり目に焼き付け、それからQ7、そしてカイエンへと乗り換えて見比べてみた。
おそらく誰もが、この分野ではアウディの圧勝だと予想するだろう。ヴェラールよりはるかに広いだけでなく、技術的な洗練度も、マテリアルのクオリティでも上を行くだろうと。それは結局のところ、ドイツと英国の高級車の違いそのものでもある。
快適性にもサプライズ
ところが、Q7は広さでこそヴェラールを凌ぐものの、より快適なクルマというわけではなかった。後席、Q7で言えば2列目シートのレッグルームは、ヴェラールよりやや広い。
しかしヴェラールには、より快適なドライバーズシートと、くつろいだドライビングポジションがある。
190cmのドライバーが座ると、同じ体系の人間が後席に座った場合は脚を広げても膝が前席の裏側に触れるのだが、ヘッドルームは十分にあり、ほかにはないほどリラックスして過ごせる。それに比べ、アウディのシートはややフラットで幅が狭い。
カイエンはというと、やはり後席の膝元はヴェラール以上。だが、頭上や肘周りは限定される。リアシートは深く掘られ、2名乗車には向いているが、3名掛けるのには適していないように思われる。
変わらぬ質感と変わる雰囲気
高級車としての雰囲気に話を移すと、また状況は変わってくる。Q7は、ヴェラールの及ばないものを持っているのだ。それはインテリアの完全さと基本的なクオリティで、これは絶対的に文句なし。部分的に用いられた御影石のようなマテリアルには、ただただ驚かされるばかりだ。
センターコンソールのクロームトリムなど、キッチンの調理台よりもしっかりと据え付けられているように見えるほどだ。大部分の仕上げには一貫性があり、薄っぺらさや粗さ、硬さや見栄えの悪さを感じさせるものはそこにはなく、それこそがこのクルマの特長だといえる。
そうはいっても、実にスマートで極めてソリッドな半面、豊潤さには欠けるのがQ7の内装の仕立てだ。これがヴェラールだと、優美で、手触りがよく、ずば抜けてスタイリッシュなインテリアであるのが明らかに感じられる。
今回の試乗車としてアウディが用意したのは、装備レベルの低い仕様で、その樹脂素材むき出しのダッシュボードやダークカラーのレザー、クロームの装飾は、ヴェラールの革張りダッシュボードや明るい色の組み合わせに肩を並べる豪華さを醸してはいない。
もっと高級なトリムのQ7ならば、この比較はよりフェアなものになるだろうが、今回の仕様を見る限りは、ビジネスライクなものに感じてしまう。これがヴェラールならば、オフィスよりも特別な場所に連れて行ってくれそうだ。
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