この記事をまとめると
■2022年7月15日、16代目となるトヨタ・クラウンが発表された
究極のオヤジキラー「クラウン」はマジメ一辺倒の優等生じゃなかった! なんとトラックまで存在した派生車が面白すぎる
■「クロスオーバー」「スポーツ」「セダン」「エステート」という4バリエーションを用意
■まずは2022年秋頃にクロスオーバーを発売し、残りのモデルは順次発売する
世界40の国と地域に輸出されるグローバルモデルに
トヨタ・ブランドのフラッグシップとして67年も親しまれてきた「クラウン」がドラスティックな進化を遂げることが発表された。そう、2022年7月15日に世界初公開された新型クラウンは、これまで15代積み重ねてきたクラウンとはまったく異なるスタイルとなっていたのである。
シルエットが異なるのは当然で、新型クラウンはフロントにエンジンを横置きする新設計プラットフォームを採用しているのだ。クラウンといえばFRのセダンという固定観念があるかもしれないが、新型クラウンではそうした伝統を超えた存在を目指している。
さらにユニークなのは、一気に4つのバリエーションを発表したことだ。クラウンという名前の元に「クロスオーバー」、「スポーツ」、「セダン」、「エステート」といった異なるモデルを用意するのが新型クラウンなのである。
しかも、どれも顔つきは異なっている。過去にクラウンには2ドアモデルやエステート(ステーションワゴン)を設定していたこともあったが、いずれもAピラーから前の部分は共通で、そこから後ろが異なるという作り方だった。
しかし、新しいクラウン・ファミリーはそうではない。基本設計やグランドコンセプト、デザインキーになる部分では「クラウン」の価値観を持ちつつ、各カテゴリーに求められる商品性を徹底的に追求した別のクルマを生み出しているようにも見える。このあたりダイバーシティ(多様性)という言葉を聞くことが多い昨今のトレンドに合わせたという面もあるだろう。
ハッチバックとSUV、スポーツクーペを用意する「ヤリス」、ハッチバック、セダン、ステーションワゴンと多彩なラインアップを持つ「カローラ」と同じようなブランドとして「クラウン」という名前は昇華したともいえる。
もはやクラウンは単独モデルの名前ではなく、各カテゴリーにおけるフラッグシップであるという風に捉えるとわかりやすい。
いずれにしても、クラウンという名前がトヨタ・ブランドの代表であるという位置づけは変わらない。むしろ、そうした方向性は加速していきそうだ。
初代クラウンが北米に輸出されたというエピソードを聞いたことがあるだろうか。そのほか、過去にクラウンは限られた地域に輸出はされていたことがある。それでも基本的には日本専用モデルであって、直近の15代目についても日本向けに作られていた。ドメスティックなモデルだったのだ。
しかし、生まれ変わった新型クラウンは、世界40の国と地域へ輸出されるという。
70年に迫ろうとするクラウンの歴史は、日本に限定されたものではあるが、ヘリテージを活かしたブランディングというのは、最近のトレンドであって、クラウンという名前がトヨタ・ブランドのフラッグシップとして積み重ねてきた価値を上手く喧伝できれば、世界で評価されるネーミングになり得るだろう。
「脱・セダン」の噂の元となった先行開発のクロスオーバー
さて、4つのバリエーションを発表した新型クラウンだが、これから一年半をかけて時間差でローンチされることになりそうだ。
その先兵となるのが、クラウン・クロスオーバーである。
新型クラウンが登場する前に、「クラウンはセダンを捨てる」といった噂も流れたが、それはクロスオーバーが先行して開発されていたからだろう。
前述したようにエンジン横置きのプラットフォームで、上級グレードでは21インチの大径タイヤを履いたスタイルはSUVテイストが色濃い。だが、クラウン・クロスオーバーは、いわゆるSUVとはまったく違うクルマになっている。
特徴的なのはトランク(ラゲッジスペース)が独立していることだ。わかりやすくいうと4ドアクーペとSUVのクロスオーバーである。開発途中では「リフトアップセダン」という新カテゴリーを生み出すといった意気込みだったという話も聞こえてくるほど、他に類を見ないユニークなクルマとなっている。
なお、クラウン・クロスオーバーのパワートレインは、2.4リッターターボと6速AT、前後モーターを組み合わせた「デュアルブーストハイブリッドシステム」と、2.5リッターエンジンと「リダクション機構付きシリーズパラレルハイブリッドシステム」を組み合わせた2パターンとなっている。
2.4リッターハイブリッドはリヤを水冷のeアクスルで駆動する4WDだけの設定となっている。他バリエーションのパワートレインについての情報は公開されていないが、電気モーターであってもリヤをしっかりと駆動するというのはクラウン・ファミリーとして重要なメカニズムといえそうだ。
それにしても、このような4つのバリエーションを一気に生み出すのは、開発リソースが分散してしまっているのでは? と思うかもしれないが、そもそも4バリエーションが生まれた背景は、おそらく想像とは異なる。
クラウンの原点に立ち返り「革新と挑戦」というキーワードで、次世代のクラウンを模索していくなかで、じつに多くのスタイルが生まれたという。その中でダイバーシティ時代にふさわしいクラウンとして残ったのが、この4つのバリエーションということだ。けっして複数のバリエーションありきで開発されていたわけではない。
前半で、新型クラウンのラインアップを理解するのに、クラウンという車名はカローラのような立ち位置と捉えるとわかりやすいと記したが、けっしてカローラの上級版を目指したわけではなく、「これからの時代のクラウンらしさ」を徹底的に追求した結果として、4つのバリエーションが生まれたと理解すべきだ。
はたして、トヨタの開発陣が因数分解したクラウンらしさがどのようなものなのか、その走りで確認する日が楽しみだ。
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みんなのコメント
あまり売れないようなら、また社長が口を出すのかな?
「残りの3台を発売するのか?それよりフルモデルチェンジを考えたらどうか」とか言ったりしてね。