この記事をまとめると
■初代トヨタ・セリカは1970年当時の日本車のなかでも衝撃的なデザインだった
セリカ復活宣言って胸熱すぎだろ! ワクワクしつつ歴代モデルを振り返ったらやっぱりトヨタにはセリカが必要だった
■機能と内装を自分好みに注文できる「フルチョイスシステム」を導入した
■のちに「GTV」や「リフトバック」といった高性能モデルも登場した
自分好みの1台が注文できるシステムが画期的だった
トヨタ・セリカが誕生したのは、1970年のことだ。日産サニーやトヨタ・カローラといった庶民のための小型車が1966年に世に出てからわずか4年後のことである。その時代に、個人が使うスペシャリティカーといった価値を生み出したトヨタに、消費者は驚いた。
なんといっても、丸みを帯びた外観が優美であり、優雅であり、部品を共有するカリーナとは異次元の存在だった。「足のいい奴」との宣伝文句で、走りのよさを表現したカリーナと共通の機構であるから、セリカも走りが悪いはずはない。それでいて、見かけは美しく品のよさを覚えさせる。そんな価値観をもったクルマが、日本のみならず世界にあっただろうか。それほどの衝撃がセリカにはあった。
もうひとつ斬新だったのが、フルチョイスシステムと名付け、機能と内装を個々に選び、自分好みのセリカを注文できる受注方式を採用したことだ。それこそが、スペシャリティカーの奥義である。エンジン性能はそれほど求めず、自動変速で、それでいて内装には少し凝りたいといったような希望に沿うことができる。
一般に、エンジン性能が下の車種は、内装なども貧相になりがちで、安ければ仕方ないといった我慢が必要になるのが、グレードと呼ぶ上下の選択肢だ。しかし、フルチョイスシステムなら、価格を抑えながら自分が望む機能や装備は贅沢をすることができた。これを実現するため、トヨタは生産の仕方を工夫する必要があった。それでも、顧客の気もちに沿うとの想いがトヨタにあったはずだ。
とはいえ、当時の世相からすると、人気を集めたのはDOHCエンジンを搭載した高性能仕様のGTだった。今日も選ぶなら最上のグレードといった志向がある。そこは55年前から変わっていない。
運転の楽しさを重視した「GTV」と「セリカLB」
あとからGTVという、より走り重視の車種が追加になった。タイヤが偏平になり、乗り心地も硬めの印象だった。私の知人がGTVを手に入れ、乗せてもらったことがある。それは、のちの時代のクルマでいうと、R32スカイラインGT-Rが復活したときのように、運転席に座ったときから胸が高鳴り、DOHCエンジンを始動し、走りはじめたら夢心地にさせる凄みがあった。
カリーナも走りが売りの車種であるから、GTという選択肢もあり、高性能車の雰囲気があったはずだが、外観は優美でありながら、運転に凄みを覚えさせるセリカGTVは、特別な1台という思いをいっそう募らせた。
あとから、セリカ・リフトバック(LB)が追加になる。ファストバックのハッチバック車で、1964年に米国で生まれたフォード・マスタングを思わせる姿に憧れさせた。
マスタングは1969年には車体が大柄になり、やや鈍重そうな印象をもたらした。もちろん、マッハワンという高性能車種はあったが、小柄で俊敏なスポーティ車という初代に比べ、別の価値観になっていた。
そこに登場したセリカLBは、初代マスタングのクーペに通じる、身近でかつ爽快で、誰にも運転を楽しませてくれそうな魅力を放っていた。
とはいえ、ハッチバックではなくクーペのほうのセリカこそ、独特で特別で、もつ喜びを心身にもたらす、他に類を見ないスペシャリティカー気分を全体で表現したクルマであった。
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みんなのコメント
せめて安価なFFノンターボをチョイスできるようにしてほしいな。