■出光は以前から超小型EVを用いたMaaS事業の実証実験を展開!
昨今、高まりつつある将来のモビリティ社会と小型EVの普及について、既存の自動車メーカー以外にも新たな事業としての参入を計画している企業が出ています。
2021年2月13日に「出光の超小型EV」に関する報道がなされましたが、世界的な電動車の普及が加速するなかで、日本における超小型EVの役割とはどのようなものになっていくのでしょうか。
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EV市場はこれまで、既存の自動車メーカーの動きとして、三菱が「i-MiEV」(法人向け:2009年7月/一般向け:2010年4月)、「MINICAB-MiEV」(2011年12月)を発売。日産は「LEAF」(2010年10月)、「e-NV200」(2014年10月)をラインナップしています。
最近では、ホンダが都市型コミューターとして「Honda e」(2020年10月)、マツダは既存のマイルドハイブリッド車「MX-30」のEV版として「MX-30 EV MODEL」(2021年1月)を発売しました。
また、トヨタは2020年12月に超小型モビリティ(軽自動車規格)の超小型EV「C+pod(シーポッド)」をEV普及に向けて検討を進め、まずは法人ユーザーや自治体などを対象に限定販売を開始しています。
一方で既存自動車メーカー以外も相次いでEV市場への参入を試みています。海外ではApple社の動向に関心が集まっていますが、日本ではこれまでガソリン車/ディーゼル車の給油所を展開している出光興産が早くから超小型EVのモビリティ社会における活用を模索していました。
2019年8月に出光興産は、「超小型EVを活用したMaaS事業の実証実験」においてタジマモーターコーポレーション(以下、タジマ)が開発した超小型EV「タジマ・ジャイアン超小型モビリティ」(以下、ジャイアン)を用いて岐阜県高山市での実証実験をスタート。
その後、2019年10月にて両社は、次世代モビリティおよび新しいMaaSビジネスモデルの共同開発に関するMOU(覚書)を締結。同月に開催された「東京モーターショー2019」では実車が展示していました。
この際、新たな超小型モビリティについいて出光興産は次のように説明していました。
「このたび当社は、次世代モビリティおよびMaaSに関する取り組みをさらに加速させるべく、タジマモーターと次世代モビリティおよびMaaSビジネスモデルの共同開発に関するMOUを締結しました。
当社が有するSSネットワークや素材開発のノウハウと、タジマモーターが有するEVなどの車両開発のノウハウをかけあわせ、新しいモビリティ社会の共創を目指します」
この際のMOU内容として、出光興産は「超小型EV、グリーンスローモビリティ、FCVおよび電動車椅子などの次世代モビリティに関して、『次世代モビリティ本体、新素材、部品、充電設備などの開発』、『SSネットワークを活用した次世代モビリティの販売網・整備体制の構築』、『次世代モビリティ・MaaSに関連する新しいビジネスモデルの開発』を検討します」と説明しています。
また、「東京モーターショー2019」の会場では、出光興産の代表取締役社長・木藤俊一氏は次のように述べていました
「ガソリンスタンドは年々減少していますが、地域の皆様のライフラインをこれ以上減らす訳にはいきません。
そのため、ガソリンスタンドに付加価値を付けていくひとつの手段として、超小型EVの導入を検討して、新たなライフラインとしてカーシェアリングの展開が考えられます」
その後、2020年5月に出光興産は、千葉県館山市で前述の「ジャイアン」を活用したカーシェアリング事業「オートシェア」の実証実験を開始。
一般向けサービスは、地元企業や館山駅の駐車場3ヵ所をステーションとし、地元住民や観光客などに、買い物や観光スポット間の近距離移動の足としてカーシェアリングサービスを提供してきました。
また、法人向けサービスは、地元企業に車両を貸与し、平日は営業車としての使用、休・祝日は一般向け、あるいは別の企業向けにカーシェアリング車として貸し出しを展開しています。
冒頭の報道内容では、2021年内にタジマのジャイアンを出光興産が展開する全国の給油所でのカーシェアリングや車両本体の発売がおこなわれるとされています。
本件に関して出光興産は「現時点ではコメントは差し控える」としていますが、同じく超小型EVを展開するトヨタは「時代とともに多様化する移動の悩みに向き合い、暮らしに身近で環境負荷の少ない電気で走るパーソナルモビリティにより、自動運転での交通事故の抑制、自動的な送迎、地方活性化にもつなげます」と説明しています。
出光興産は、2020年3月時点で全国に6400箇所の給油所を展開。仮に全給油所にて、超小型EVのカーシェアリングや車体販売がおこなえれば、既存自動車メーカーの販売店数よりも幅広い地域でサービス展開が可能です。
これにより、電動車の普及による給油回数減少などの需要低下を新たなモビリティ社会の拠点への転換が期待されます。
また、充電設備のコスト面などが解消されれば、地方部に点在するコンビニでも同様のモビリティサービスの展開が可能なことから、超小型EVは既存の自動車とは異なる新たな移動手段としての普及が見込まれます。
■トヨタ「シーポッド」とタジマ「ジャイアン」の違いは?
トヨタのシーポッドは、日常生活における近距離移動に加え、定期的な訪問巡回といった法人利用や、都市・山間部などそれぞれの地域に即した安心かつ自由で環境に良い移動手段を目指したものです。
車両区分(道路運送車両法)では、軽自動車扱いとなるボディサイズは、全長2490mm×全幅1290mm×全高1550mm、最小回転半径3.9mとなり曲がり角や車庫入れ時などにも切り返しが少ない優れた取り回しを実現しました。
リチウムイオンバッテリーをシート足元の床下に搭載し、段差の少ない低床フラットフロアを実現しリアにモーターを配置。
バッテリー容量(総電力量)は9.60kWhとなり、安心して日常使用できる150kmの航続距離(WLTCモード)、最高速度60km/h。充電時間は普通充電のみで単相100V/6Aで約16時間、単相200V/16Aで約5時間です。
安全面では、軽自動車向けの基準をもとに新たに設定された超小型モビリティ用の安全基準に対応。
万が一の事故に備え、衝突エネルギーを多くの部材へ効率よく分散吸収させる構造の採用などにより、前面、側面、後面など、あらゆる方向からの衝突に対しての安全性も追求。歩行者への衝撃を緩和する歩行者傷害軽減ボディも採用しています。
また、車両(昼夜)、歩行者(昼夜)および自転車運転者(昼間)を検知可能なプリクラッシュセーフティを標準装備するなど、日常生活での安全な走行をサポートします。
価格(消費税込み)は、「X」(165万円)、「G」(171万6000円)です。
一方のタジマが開発したジャイアンは、乗用モデル、ピックアップトラックモデル、デリバリーバンの3タイプをラインナップ。デリバリーバン以外はすでに発売されています。
そのなかで、乗用モデルは少人数の近距離移動に最適化した、小型で利便性の高い超小型モビリティです。
2019年10月に開催された「東京モーターショー2019」にてタジマの代表取締役会長兼社長/CEOの田嶋伸博氏は「私達は超小型モビリティとされる最高速度60km/hかつ2人乗りの車両の開発を続けてきました。高山市の実証実験では、営業用や観光用で活躍していました」と延べていました。
ジャイアンのボディサイズは、全長2545mm×全幅1290mm×全高1570mmとなる2人乗り仕様で、シーボットと同じようなパッケージとなります。
バッテリー容量(総電力量)は10kWhのリチウム電池を搭載。1充電での航続距離は130km、最高速度45km/h、充電時間は普及充電のみで単相200Vと単相100Vで6時間から8時間です。
価格は、1グレードのみで174万9000円。なお、ピックアップモデルは170万5000円となり、バッテリー性能は乗用モデルと同じとなります。
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みんなのコメント
自動車メーカーが出す以上は普通のくるまのスペックになる。
エアバッグ、ABS、VSC、自動ブレーキ等シーボットはフル装備
〇=タジマが中国から輸入した