レクサス初のEV専用モデル「RZ」を、小川フミオが早速テストドライブ。プレミアムな電気自動車の魅力を考える。
ナチュラルな走り
EVだってレクサスに乗りたい! そんな人、お待たせでした。レクサスRZ450eのデリバリーがようやく始まった。
試乗できたのは、2023年4月中旬。なんとジャーナリストによる試乗第1号だそう。プロトタイプに乗る機会はあっても、路上で走るのは今回が初。なので、なんだか嬉しい。
印象としては、意外なほど重厚だった。モーターのトルクは、フロントが266Nm、リアが169Nmもありパワフル。アクセルペダルの踏力は(おそらく)あえて重めの設定だった。
ステアリングホイールの操舵力も、重め。これがすぐドライバーである自分の身体になじんで、いいか感じだ。私の好みによく合っていた。
RZには、ステアバイワイヤといって、航空機の操縦桿のようなステアリングホイール(もはや輪っかではないけれど)をそなえたモデルも予定されている。
今回乗ったのは、一般的なステアリングシステムを装備したモデルだった。重めだけれど、操作したときのフィールがいいので、これはこれで十分アリ!
加速感は、上記のようなわけで、かつてのBEV(バッテリー駆動のピュアEV)のように発進時のトルク感を強調したのでなく、ごくナチュラル。かつてのトルキーなBEVと、ガソリン車の中間とでもいうような、加速感だ。うまい設定であると感心。
満充電で494kmという走行距離を実現しているのは、床下に54.5kWhと比較的大きなバッテリーを搭載するからだ。2100kgと車重が重いぶん、乗り心地はフラットで、快適である。
乗り心地はレクサス車のなかでも出色といってもいいかもしれない。後席はレッグルームもヘッドルームも十分で、送迎にも使える。多用途性があるのだ。
RZは、Aピラーの位置を含めたプロポーションこそ、従来のガソリンエンジン搭載車に準じたものであるものの、グリルレスのフロントマスクはかなり目をひくようだ。
私が東京都心部を走ったとき、テレビだろうか、なにかの撮影準備をしていて、そのクルーのひとたちが、「おっ」という表情とともに笑顔でこちらを見ていた。
良くも悪くもオーソドックスなインテリア内装はオーソドックス。つまり内燃機関搭載車とは異なるキャラクターを強調していない。
試乗したモデルはミディアムグレーとベージュのコンビネーションで、光沢感は抑えめ。「ウルトラスエード」という、合成皮革を使う。
ステアリングホイールもおそらく合皮。感触はまったく悪くない。昨今のアニマルフリーの観点からも、RZはあたらしい高級車像の提案に成功としているのではないか? と、感じた。
ステアリングホイールまでグレーに統一されていて、色にブレがない。カラー&マテリアル担当のプロダクトデザイナーのひとが一所懸命いい仕事をした、という印象だ。乗るたびにほっとする雰囲気に仕上がっている。
ただ、880万円のレクサス車としてどうか? というと、すこし物足りなさもある。メルセデス・ベンツのように演出過多になる必要はないけれど、乗員になにかあたらしい喜びを与えてほしい気もする。良くも悪くもオーソドックスなのだ。
インフォテイメントシステム進化にも驚いた。対話型ボイスコマンドの応答性がうんと高まっていたのだ。
小さな声にも反応するし、細かいコマンドも正確に拾ってくれる。たとえば、ナビゲーションで目的地を設定したあと、「到着時刻は?」と、つぶやくだけで、すぐに時刻を表示してくれるという具合。
新型RZ450eは先に触れたとおり、操舵性や加速性(ブレーキもよく効く)にすぐれ、そしてボイスコントロールの正確性などインフォテインメント機能も充実。ブランド初のEV専用モデルはクオリティが高い1台だった。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹 編集・稲垣邦康(GQ)
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性能とか気にしてない
テスラより高ければいい