現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ウチが先! 使ってないじゃん! ワタシの名前パクんな! 有名な車名にまつわるゴタゴタ5つ

ここから本文です

ウチが先! 使ってないじゃん! ワタシの名前パクんな! 有名な車名にまつわるゴタゴタ5つ

掲載 64
ウチが先! 使ってないじゃん! ワタシの名前パクんな! 有名な車名にまつわるゴタゴタ5つ

 この記事をまとめると

■車名にまつわる話はいろいろあるが訴訟にまで発展したエピソードのなかにはおもしろいものが多い

どうみてもヤリスなMAZDA2! デカいし見た目も全然違うアルト! 同じ名前なのに海外行ったら全然違うクルマってどういうこと?

■とりわけフェラーリは何かにつけターゲットにされやすいようだ

■車名に関するクレームはこうしてみると「言いがかり」的なものが多い

 ポルシェ911はプジョーの「待った」で誕生した!

 車名にまつわるエトセトラは、それはもう興味深いものがたくさんあるのですが、やっぱりシャーデンフロイデ(他人の不幸は蜜の味)、ゴタゴタもめたり、訴訟にまで及んだエピソードが面白い。

 たとえば、ポルシェが発売した直後の901にプジョーが待ったをかけ、911に変更させられたというのはあまりにも有名かと。これは3桁の数字で間をゼロにしたものを片っ端から商標登録していたプジョーに分があったのですが、不思議なことにフェラーリの308には文句をつけませんでした。一説によれば、両社の間にピニンファリーナが仲介に入ったとかなんとか。そんな車名にまつわるゴタゴタの顛末をピックアップしてみました。

 フェラーリ・テスタロッサ

 2017年にドイツの玩具メーカーAutech AGが「テスタロッサという名称は、すでにフェラーリが過去5年間のうちに販売(使用)していない」ゆえに、自社のおもちゃにテスタロッサの名前つけても問題ねーだろ、とデュッセルドルフの高等裁判所に申し立てを行いました。

 これがまかり通ったとすると、マラネロはテスタロッサの商標権利を失い、逆にAutechなど他社から「テスタロッサの名前は使わんでくれ」と訴えられる可能性も!

 ですが、ドイツの高等裁判所より格上の欧州連合司法裁判所が下した最終的な司法判断は「テスタロッサ自体は1990年代以降に生産・販売されていないが、フェラーリは部品供給を続けており、ブランド名称として(テスタロッサを)継続使用する権限が認められる」という、考えてみたら当たり前の判決。

 Autech側は、2011~2017年の間にテスタロッサの部品はおよそ200万円程度しか販売されておらず「不十分ではないか」と反論したものの、「世界中で7000台程度しか走っていないから少なくて当たり前。しかも高級、かつ高性能なスポーツカーなので日常的に部品を交換するものでもない」と論破(?)。無事にテスタロッサの使用権を守ることができたのです。

 フェラーリ・プロサングエ

 テスタロッサでは自社の権利を守れたものの、最新SUVのプロサングエでは発売前からケチがつきました。というのも、プロサングエ(純血)という名称はすでにアンチドーピングを啓蒙する慈善団体が2013年から使用中だったのです。

 ケチをつけられたマラネロはすぐさま「たいして活動もしてねーんだから、グチャグチャ言うんじゃねーよ」とばかりに活動実績の少なさを指摘。テスタロッサの部品販売の少なさを指摘されたことが役立ったようです(笑)。が、慈善団体側も腰が強かった。「は? アディダスと一緒に世界中でアンチドーピングパック売ってんですけど」。そのほか、ケニアでもって慈善キャンプ活動をするなど、フェラーリ側がひるむような活動内容だったのです。

 それで、プロサングエ発売前に両社が話し合いの場を設けたのですが、あっさり決裂。「あいつら、どうして発売前に商標確認しねえんだ」とは団体の代表、マセッティ氏のコメント。

 ともあれ、顛末は詳らかになっていないものの、プロサングエは発売されて大好評を得ています。一方のプロサングエ財団もまた活動を継続しているようですから、水面下でなにかしらの「手打ち」があったのかと。両者ともにイタリア人ですから、ことによるとローマ法王あたりが仲介に入ったのかもしれません。それでなくとも、マラネロは法王にベッタリですからね。

 車名にまつわる訴訟には言いがかりも多い

 ルノー・ゾエ

 ヒトの名前を使った車名というのも、考えてみればゴタゴタしそうです。実際、ルノーのEV「ゾエ」は、フランス在住の2家族から名称の使用停止を訴えられました。彼らはともに、ゾエという名の娘さんがいるとのことで「学校でいじめの原因になる」として裁判所に届け出たのです。

 たしかに、学校でわざと体をぶつけてきて「ありゃ? エアバッグ開かないの?」とか「ゾエちゃん、そろそろオイル交換じゃねーの、ケラケラケラ」なんてやられた日には可哀そうですもんね。実際、クリオと名付けられた女児はクルマと一緒はイヤだと、3歳の洗礼前にマルゴという名に変更した例もあるとか。

 とはいえ、ゾエという名前はフランス女性の中でも11番目に多いもの。裁判所も「ルノーがゾエの名を使用しても、個人の生活が脅かされることはない」と判断。ルノー側の勝訴と終わりました。

 が、家族側は憤懣やるかたなく「ゾエがたまたまクルマの商品名だったからよかったものの、これがトイレのブラシや大人のオモチャだったりしたらどうすんだ!」と主張。大人のオモチャは気の毒ですが、それこそフェラーリが指摘されたのと同じく、命名前にリサーチするというのも親の役目、ではないですかね(笑)。

 アストンマーティン・ヴァンテージGT3

 こちらは訴訟まではいかなかったものの、かのポルシェがいかにケツの穴が小さいかを露呈したエピソード。そもそもは、2011年にアストンマーチンが市販車でなくレースカーとしてヴァンテージGT3をリリースしたことに端を発しました。

 噂によれば、ここにポルシェが「おいおい、GT3はウチが2001年から使ってんだけど」とアヤをつけたとのこと。最初、アストンマーティン側はシカトを決めていたらしいのですが、GTレースを牛耳るFIAだか、SROの耳にも届いたことで対処せざるをえないことに。

「GT3はカテゴリー名称であって、そこに参戦するなら付いてて当然」と真っ当な反論。ポルシェのリアクションは不明ですが、「車名としてすでに登録してある。使う以上は、それなりの誠意(金)を示したらどうだ」くらい圧が強めだったのではないでしょうか。

 これにはアストンマーティンも手を焼き、仕方なしにFIAに直訴。彼らのもとにはフォードやジャガーといったGT3カテゴリーに参戦予定のメーカーからも車名について「ポルシェからガタガタ言われてる」とクレームが届いていたのです。で、FIAは「GT3の名称に文句あるなら、レースに来るな」とばかりにポルシェを一喝。バイザッハのケチくさい連中はスゴスゴ退いたというわけ。

 世界中で20シリーズ以上が開催されているGTカテゴリーですから、参戦するGT3マシンからみかじめ料をとったらボロ儲け、ポルシェがそんなバカな夢を見たのか知りませんが言いがかりも甚だしい。これだから、やつらがレースで勝っても諸手を挙げて喜ばないファンが大勢いるのでしょう。

 いずれにしろ、車名に関するクレームはこうしてみると「言いがかり」的なものに終始しているようです。上述のプジョーにしても正当な主張ではありつつ、なにもそこまで感がなきにしもあらず。これからも、クルマ業界のネーミングにはさまざまなエピソードが生まれてくることは間違いありませんね。

こんな記事も読まれています

ポルシェもフェラーリもほぼ見かけないってちょっとガッカリ! 速度無制限の「アウトバーン」をかっ飛ばすクルマは意外に地味だった
ポルシェもフェラーリもほぼ見かけないってちょっとガッカリ! 速度無制限の「アウトバーン」をかっ飛ばすクルマは意外に地味だった
WEB CARTOP
「FFって何だよ?」時代に颯爽と登場したプリンス魂の宿る「日産チェリー」はやっぱり偉大だった
「FFって何だよ?」時代に颯爽と登場したプリンス魂の宿る「日産チェリー」はやっぱり偉大だった
WEB CARTOP
「スバルとアウディ」「日産とBMW」「ホンダとプジョーとルノー」は似てる!? 国産オーナーがすんなり受け入れられる輸入車を考えてみた
「スバルとアウディ」「日産とBMW」「ホンダとプジョーとルノー」は似てる!? 国産オーナーがすんなり受け入れられる輸入車を考えてみた
WEB CARTOP
過酷で知られた「タクシー運転手」と「新車ディーラーマン」の仕事に変化! ブラック感がすっかり息を潜めたワケ
過酷で知られた「タクシー運転手」と「新車ディーラーマン」の仕事に変化! ブラック感がすっかり息を潜めたワケ
WEB CARTOP
環境問題よりも一般ユーザーは日々の生活が大切! BEVはユーザーがメリットを感じなければ普及しない
環境問題よりも一般ユーザーは日々の生活が大切! BEVはユーザーがメリットを感じなければ普及しない
WEB CARTOP
日本で一番権威のあるクルマの賞! 「日本カー・オブ・ザ・イヤー」って一体何?
日本で一番権威のあるクルマの賞! 「日本カー・オブ・ザ・イヤー」って一体何?
WEB CARTOP
「好きなのに乗っていいよ!」「じゃあ、フィアット8Vで!」博物館の貴重なクルマを極東のジャーナリストに預ける懐の深さよ【クルマ昔噺】
「好きなのに乗っていいよ!」「じゃあ、フィアット8Vで!」博物館の貴重なクルマを極東のジャーナリストに預ける懐の深さよ【クルマ昔噺】
Auto Messe Web
100年前にバカッ速モデルでブイブイ言わせてた「ドラージュ」が復活! お値段3億円超えの「D12」ってナニモノ?
100年前にバカッ速モデルでブイブイ言わせてた「ドラージュ」が復活! お値段3億円超えの「D12」ってナニモノ?
WEB CARTOP
小ささがウリだけど小さすぎると売れない!? 名車の称号は得ても販売で苦戦した「2ドアハッチ軽自動車」3台
小ささがウリだけど小さすぎると売れない!? 名車の称号は得ても販売で苦戦した「2ドアハッチ軽自動車」3台
WEB CARTOP
トヨタの「負けず嫌い」が日本メーカー全体を鍛えた! 意地でもライバルに勝つために開発した「後出しジャンケン車」たち
トヨタの「負けず嫌い」が日本メーカー全体を鍛えた! 意地でもライバルに勝つために開発した「後出しジャンケン車」たち
WEB CARTOP
「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情
「アルミボディ」の優位性は崩れつつある! いまどきのクルマのボディ事情
WEB CARTOP
安くて軽くてスパルタン! ポルシェ356で誕生した「スピードスター」はやっぱり特別な称号だった
安くて軽くてスパルタン! ポルシェ356で誕生した「スピードスター」はやっぱり特別な称号だった
WEB CARTOP
恐ろしいほどバカッ速で若者を熱狂させた「スポーツ軽」! 懐かしモデル7台の中古価格を調べたら驚きの結果に
恐ろしいほどバカッ速で若者を熱狂させた「スポーツ軽」! 懐かしモデル7台の中古価格を調べたら驚きの結果に
WEB CARTOP
採用するほとんどが日本の小型車! CVTってそもそも何? 弱点とメリットはどこにある?
採用するほとんどが日本の小型車! CVTってそもそも何? 弱点とメリットはどこにある?
WEB CARTOP
【クルマら部】クルマ愛クイズ!今回は「ステアリング&シートメーカー 社名の由来」全4問
【クルマら部】クルマ愛クイズ!今回は「ステアリング&シートメーカー 社名の由来」全4問
レスポンス
いち早く市販化を切望! ジャーナリストがJMSで見つけた「現実味のある」BEVコンセプト5台
いち早く市販化を切望! ジャーナリストがJMSで見つけた「現実味のある」BEVコンセプト5台
WEB CARTOP
日本で惨敗したのは北米向けの「ナンパさ」が原因!? 4年で1.5万台しか売れなかった超個性派「日産NXクーペ」とは
日本で惨敗したのは北米向けの「ナンパさ」が原因!? 4年で1.5万台しか売れなかった超個性派「日産NXクーペ」とは
WEB CARTOP
BEVで気になる下取り価格! まだまだ「中古電気自動車」の価値は業界的にも未知数
BEVで気になる下取り価格! まだまだ「中古電気自動車」の価値は業界的にも未知数
WEB CARTOP

みんなのコメント

64件
  • ボーラがVWに使われた時はがっかりした。
  • つい最近タイでLEXUSっていう名のお菓子が販売されてたので買ってみた。LEXUSなんて完全に造語なので、確信犯だよね。ちなみに美味しかったそうです。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2430.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1750.02070.0万円

中古車を検索
テスタロッサの買取価格・査定相場を調べる

査定を依頼する

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!
愛車を賢く売却して、購入資金にしませんか?

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで! 登録してお得なクーポンを獲得しよう
マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

ログイン

中古車探しをもっと便利に

  • 中古車お気に入り管理
  • おすすめ中古車の表示

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2430.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

1750.02070.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車いまいくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村