懐かしの日本車を当時のエピソードとともに振り返る! 今回は1985年に登場したいすゞの2代目「ジェミニ」。
キャッチコピーは“街の遊撃手”
トヨタと自転車メーカー「トレック」がコラボしたカローラ・ツーリングのクロスオーバー・モデル。英国仕様の登場で日本導入可能性も!?
いすゞが乗用車の生産を中止してから27年が経過した。かつて日本の乗用車生産の“御三家”と、言われたいすゞ乗用車の歴史のなかで、もっとも販売台数が多かったのがジェミニだった。
2代目のジェミニ(FFジェミニ)がデビューしたのは1985年。初代ジェミニが、当時の提携先だったGMが主導した“グローバル・カー”のいすゞ版だったのに対し、2代目はいすゞ自社開発の4ドアセダン&3ドアハッチバックモデルへ進化した。駆動方式もRWD(後輪駆動)からFWD(前輪駆動)になったが、初代も継続販売されていたため「FFジェミニ」のネーミングが与えられた。
【前話】2代目 マツダ RX-7
FFジェミニといえば、“街の遊撃手”のキャッチコピーと共に流れた斬新なテレビCMが忘れられない。FFジェミニは、初代が確立したキビキビとしたハンドリングを継承しており、それを訴求するため、前代未聞のTVコマーシャルを作ったのだ。
制作されたテレビCMは、世界最高のスタントチームが何台ものカラフルなジェミニを操り、まるで手をつないでダンスを舞うようにパリ市内を走り、飛び、まわりながら走る内容だった。撮影は、すべて実車でおこなわれたそうであるがが、その寸分違わない動きは見事としか言いようのないものだった。
FFジェミニは、テレビCMを裏切らないフットワークの良さが魅力だった。スポーツカーのような硬派な走りとは異なり、スニーカーのような軽やかな動きが身上だった。
今もはっきり覚えているのは、ハンドルのしっとりとした味や適度な重さである。先代ジェミニから引き継いだ“いすゞらしい魅力的な味付けだった。
搭載された新開発の1.5リッター直列4気筒SOHCガソリン・エンジンは最高出力86psだったものの、830kgのボディを引っ張るには十分。取りまわしもよかった。
トランスミッションはマニュアルがスタンダードだったが、その後、クラッチペダルを持たないロボタイズド・セミMT(いわゆる2ペダルMT)の「NAVI5」を搭載したモデルも設定された。馴染みのない操作感やスムーズさに欠ける変速などが不評だったものの、先進的な取り組みだったと思う。
FFジェミニのもうひとつの特徴といえば、スポーティ・モデルの設定だ。1.5リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載し、ドイツのチューナーであるイルムシャーにサスペンション・セッティングを委託した「イルムシャー」や、1.6リッター直列4気筒ガソリン・エンジン(DOHC)を搭載し、サスペンション・セッティングをロータスに委託した「ハンドリング・バイ・ロータス」である。
ハンドリング・バイ・ロータスの登場後、イルムシャーにもおなじ1.6リッターエンジンを搭載した。当時乗り比べた印象としては、ハードなイルムシャーに対し、ハンドリング・バイ・ロータスは、サスペンションのストロークを活かしたドライブフィールだったのを覚えている。
途絶えてしまったいすゞ乗用車の系譜であるが、「ベレット」や「ピアッツァ」などとともに、FFジェミニも心に残るクルマだった。
文・日下部保雄
【連載:追憶の「わが日本車」】
2代目 マツダ RX-7
初代 トヨタ エスティマ
3代目 ホンダ アコード
初代トヨタ セルシオ\
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みんなのコメント
燃費は踏み込んでもリッター20を切らないほど優秀でした
しかも、その当時は軽油がリッター65円前後だったので、満タン(タンク42L)で軽く700km以上走りましたし、満タンにしても2500円いかない位でした
さらに、セダンでも4070mmしかなかったので、軽いし小回り利くし、使い勝手もデザインも最高でした
ミッションがイカれて25万km走破したあたりで乗り換えましたが、それが無ければまだまだ乗っていたと思います
かっこいいなぁ。