ランドローバーディフェンダーの新型が発表されるや否や世界的に話題になっていて、これは日本も例外ではない。
ディフェンダーと言えば、武骨なまでに堅牢なSUVとして認知されている。しかしSUVブームとは言え、ある意味特殊なSUVであるディフェンダーが、なぜここまでユーザーを惹きつけるのか?
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石川真禧照氏が新型ディフェンダーの魅力について解説すると同時に、異常なまでのディフェンダー人気の要因について考察する。
文:石川真禧照/写真:JAGUAR LANDROVER JAPAN
【画像ギャラリー】SUVよりもクロカンと呼びたくなる世界最強のクルマの筆頭候補のランドローバーディフェンダーの真の強さを見よ!!
ディフェンダーはSUVのルーツの1台
世界中でSUVがブームになっている。日本でも軽自動車から高級車までクラスを問わず次々と新型車が投入されている。
最近なら、例えば軽ではダイハツタント、高級車ではトヨタハリアーなどだ。輸入車も次々と各国のメーカーから新型車が日本市場に投入されている。
ところで、流行の頂点にあるSUVというジャンルのクルマのルーツは2台のクルマということを知っているだろうか。
新型ディフェンダー(写真左)と初代ディフェンダー(写真右)。新型は洗練されたが、悪路走破性の高さは初代から踏襲する重要なキャラクター
1台目は、1930年代、世界第一次世界大戦のときだった。このときに生まれたのが、アメリカのジープ。
そして、1940年代に入り、そのジープのパーツを使用して、新しいタイプのクルマが生まれた。それがディフェンダー、正式にはランドローバーディフェンダーだった。
ディフェンダーは軍事用のジープとは違い、イギリスの農地や領地で作業をするクルマとして開発された。だから荒地や泥ねい地での走破性に優れていた。
先代のディフェンダーは武骨を絵にかいたようなデザインと堅牢なボディ、悪路走破性の高さでマニアから熱烈に支持されていた
2種類の先行予約モデルが大人気!!
そのディフェンダーの最新モデルが4月から正式に日本での受注を開始したのだ。
実はこの新型ディフェンダーは2019年秋のフランクフルトモーターショーで公開された。その直後、11月に日本でも先行予約を受け付けた。「DEFENDER Lanuch Edition」として、150台を設定した。スタート価格は489万円からだった。
ローンチエディションは150台限定で販売されたが4日で完売。クルマのキャラクターを考えると、この超絶人気は異例だ
ところが予約開始後4日間で予定台数を達成。急遽輸入元のジャガーランドローバージャパンは、先行予約モデル第2弾として「DEFENDER STARTUP EDITION」を導入した。
こちらは台数制限ではなく、11月18日から2020年3月31日までの期間限定モデルとした。スタート価格は491万2000円からだった。
そして、ようやく4月9日から新型ディフェンダーの予約がスタートしたのだ。2種類の先行予約モデルではなく、標準仕様のディフェンダーは5種類のモデルが用意された。価格は499万円からとなった。
縦に配置された四角いリアコンビがオシャレ。リアセンターには背面タイヤが装着されている。これも初代から変わらない魅力
日本人はディフェンダーの素性を見抜いた
一般の人がこのような走りをすることはまずないだろうが、ディフェンダーは世界最強のクルマの1台であることは間違いない
それにしてもなぜ、新型ディフェンダーがこれほどの人気モデルなのだろう。少なくとも11月の先行予約のときに実車を試乗したことがあるのは、日本では誰もいなかった。ジャーナリストですら試乗していなかった。
一般の人は実車を見たこともなかった。その人気はディフェンダーというクルマが持つイメージと存在の偉大さからくるものだ。ランドローバーが開発した最新モデル、しかも車名に伝説のディフェンダーの名を付けているという事実。そのクルマが並のSUVではないことを日本のユーザーは見抜いたのだ。
実際に2020年2月に公開された動画が話題になった。それは映画「007」シリーズの最新作「NO TIME TO DIE」でのアクションシーンや映画のリハーサルシーン。
https://youtu.be/u7Oc4g_CtZc
ランドローバー史上最も強靭なボディを採用
左が90で右が110で、ホイールベースの違いによりかなり見た目の大きさも違う。ホイールベースは90の2587mmに対し110は3022mm
日本に上陸する新型ディフェンダーは大きく分けて2種類。3ドアショートホイールベースの90(ナインティ)と、ロングホイールベース5ドアの110(ワンテン)で、それぞれ標準/S/SE/HSE/FIRST EDITIONの5グレードが用意されている。
パワーユニットはすべて4気筒DOHC、2Lガソリンエンジンを搭載し、もちろん4輪駆動だ。出力は300ps、トルクは400Nm。
本国では200ps&240psの2L直4ディーゼルターボ、300psの2L、直4ターボ、400psの3L、直6ターボがあり、日本に導入されるのは300psの2L、直4ターボ
車体の骨格であるアーキテクチャーは「D7x」と名付けられた新設計の軽量アルミニウムのモノコック構造で、70年以上のランドローバー史上でもっとも頑丈なボディ構造といわれている。
ディフェンダーはこの新型の前のモデルまでラダーフレーム構造だったので、ねじり剛性などは3倍を確保しているという。その強さが想像できる。
ランドローバー史上最も強靭なボディが与えられたディフェンダー。悪路、オンロードとも高い走破性が自慢だ
どんなSUVにもマネができない贅沢な設定ながら安い!!
もちろん新型ディフェンダーが凄いのはボディの強度だけではない。
走りの性能ではあらゆる路面状況でも走破するための、ツインスピードトランスミッション、ロッキングセンターディファレンシャル、アクティブリアロッキングディファレンシャルを装備。
元々3アングルが大きいのに加えて、車高を自在に調整できるため、走破性の高さは強烈。ディフェンダーでオフロードデビューしてみるのもいいかも
標準高より40mm低い車高から+145mmまでの設定が可能な電子制御エアサス。ドライバーが設定をカスタマイズできるテレインレスポンス2。そのポジションを起動させると最大900mmの渡河水深性能を発揮する。
もちろん先進運転支援システム(ADAS)を採用。インフォテイメントシステム「Pivi Pro」を初採用するなど、最先端のノウハウを取り入れている。
ボディタイプは3/5ドアだが、110は5人乗りと7人乗りが選べる。さらにグレードとは別に、4種類のアクセサリーパックも用意されており、選べるアクセサリーは170種類以上になる。
ロングホイールベースで5ドアの110は2列シート5人乗りのほか、3列シート7人乗りをチョイすることができる
こんなに選択肢の広いSUVはディフェンダーがはじめて。日本車を含め、どんなSUVもマネができない設定といえる。
3ドアの標準モデルで499万円、最高グレードは5ドアFIRST EDITIONで820万円という価格設定は、バーゲンプライスと言ってよいだろう。
SUVというよりも武骨ゆえ、昔流にクロカンと呼びたくなるディフェンダーだが、安全装備をはじめ、先進運転支援装置なども充実している
※全長、全幅、全高、車重は国交省への届け出数値、ホイールベースは本国仕様
【ラインアップ及びメーカー希望小売価格(消費税込み)】
■DEFENDER 90
・標準:499万円
・S:582万円
・SE:648万円
・HSE:730万円
・FIRST EDITION:739万円
■DEFENDER 110
・標準:589万円
・S:663万円
・SE:732万円
・HSE:812万円
・FIRST EDITION:820万円
※納車開始は2020年秋以降となるのが有力
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