今回のニューカマーは特別編としてショップの若きスタッフを紹介する。取材したのは広島県のWarps(ワープス)に18歳で入社したクルマ好き・オーディオ好きの若者である山澤秀明さん。入社の経緯やプロショップでの仕事のやりがいなどについて話を聞いた。
◆父親の影響でクルマ好きになった山澤さん
高校生になると理想のクルマを作りたくなる
高校卒業して18歳でワープスに入社した山澤さん、オーディオプロショップのスタッフとしてはかなりの若手になるだろう。そんな山澤さんの入社までの経緯を聞いてきた。
[car audio newcomer]スズキ ラパン(七原龍治さん)by Warps 後編
「クルマ好きになったのは父親の影響ですね。子供の頃から実家には日産『フェアレディZ』(Z32)があって、その頃からクルマのスタイリングを見て“かっこいいなー”と思っていました。また小学校の頃から図工が特に好きで、ものを作ったり絵を描いたりするのが好きな子供だったんです。そんな想いがそのまま今の仕事に繋がっているんだと思います」
高校生になるとカスタムカーのカッコ良さを知ることになる。また漠然とだが“クルマ関連の仕事に就きたい”と思い始めたのもこの頃のことだったと回想する。
「ずっとクルマは大好きで、カスタムしたクルマを知るとそっちもはまりました。仕事もトラックの運転手なんかもかっこいいなと思ったり、クルマに関する仕事を考え始めたんです」
そんな山澤さん、クルマに関わる仕事がしたいという想いは徐々に目的が絞り込まれている。
「高校2年の頃に自分がかっこいいと思うクルマを作りたいと思ったんです。それはすでにあるクルマじゃ無くて、カスタムして自分が作り出すと言う意味で。そのためには板金や塗装、FRP加工などのさまざまな技術を身につけて自分が思い描いたクルマを作ることを目的にするようになっていったんです」
◆研修期間を経て正式にスタッフとなり
カスタム作業をイチから学んでいくことになる
自分のかっこいいと思うクルマを作りたい、しかし高校生の山澤さんには、それをどうして実現すれば良いのか目処があるわけでは無かった。しかしワープスを知ったことで急速に現実味を帯びていく。
「カスタムカーが好きで色々を見ていく中で、ワープスを知ったんです。特にトランクに組まれたオーディオのインストールがすごくて“こんなクルマを自分も作ってみたい!”と思ったんです。それからしばらく経った頃にワープスのホームページを見ていたら“スタッフ募集”が出ていて、もちろんすぐに応募しました」
しかし、腕利きのプロが集まるプロショップに高校を卒後してすぐの若者が入社するのはなかなかのレアケース。ワープス側でもどうしたものかと考えて、まずは面接してじっくり話してその意思を確認することになる。
「まずは高校3年生の時にバイトとしてお試ししてもらえることになったんです。自分としてもプロショップの仕事のトレーニングだと思ってバイトをスタートさせました」
バイトの研修期間中の働きぶりやカスタムやクルマに対する姿勢なども含めて評価され、3カ月の研修期間を経て、めでたく入社することになった山澤さん。もちろん、いきなりカスタムを担当できるわけでは無くクルマの洗車から始まり、簡単なデッドニングや車高調の作業など徐々に作業の幅を広げて行く。
「ワープスで仕事してると毎日すごいクルマを見られるだけで刺激を受けるんです。働いていて楽しいんです。わからないことがあればまわりの先輩に聞けるし、作業の仕上げは代表の沖田さんが確認~仕上げてもらえるので、不安無く作業できました。やればやるだけやりがいも出てきて、少しでも作業すると“自分が作ったクルマ”という感覚が出てきて、完成して納車すると嬉しいんですよ」
◆さまざまな作業を憶えるスキルアップに加えて
プラン~施工~納車をこなしてやりがいを感じる
徐々にワープスの仕事にも慣れてきた山澤さん、そんなある日に当時の山澤さんと同い年(19歳)のお客さんがやって来る。
「スピーカー交換、車高調、ホイール交換と言ったメニューでのオーダーだったんですが、私が話を聞いてプランして提案することになりました。クルマが完成して納車したら、すごく喜んでくれてこちらもすごく嬉しかったんです。これは今でも自分にとって仕事への自信になっています。このような納車をひとつひとつ積み重ねて行きたいとあらためて思いました」
「最初にワープスに来たときにはある程度できる自信はあったんです。しかし作業をやればやるほど学ぶことが多いことに気づきました。まだまだ憶えないといけないことがいっぱいあるんです。バッフルの作り方や効果的なデッドニングなど、すべてが勉強だと思っています。しかし作業を覚えると仕事がどんどん楽しくなって行くんです。最近は先輩がインストールしているAピラー加工やアウターバッフルの作り込みを横目で見て作業を憶えるようにしています。これができるようになるのが現時点での目標でもあるんです」
そんな山澤さんに期待を寄せているワープス代表の沖田さんに山澤さんのこれからの成長につい聞いた。
「全部ができて当たり前、じゃ無いと思うんです、得意分野を磨いて欲しいですね。自分もこの仕事をはじめたときには得意/不得意がありました、自分にも向いているのはどんな作業なのか、それを早く見つけて、これは誰にも負けないという得意な作業を作って欲しいです」
山澤さんは現在ホンダ『プレリュード』を2台所有している。愛車を使って目標としているAピラー加工やアウターバッフルの加工を練習中だ。仕事として理想のクルマ作りができるようになることを目指して、ひとつひとつのカスタム技術を磨き中だ。
土田康弘|ライター
デジタル音声に関わるエンジニアを経験した後に出版社の編集者に転職。バイク雑誌や4WD雑誌の編集部で勤務。独立後はカーオーディオ、クルマ、腕時計、モノ系、インテリア、アウトドア関連などのライティングを手がけ、カーオーディオ雑誌の編集長も請負。現在もカーオーディオをはじめとしたライティング中心に活動中。
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