押しも押されぬ高級車であるトヨタ センチュリーとレクサス LM。だがその世界には強力な先駆車、ライバルたちがひしめいている。挑戦者とも言える2台に寄せる期待とは!?
※本稿は2023年9月のものです
文/西川淳、写真/ベストカー編集部、トヨタ、ロールスロイス
初出:『ベストカー』2023年10月26日号
新型センチュリーにレクサスLM……挑戦は成功するのか!? 強敵だらけな「高級車」の世界に挑む期待
■高級車ってそもそも何?
ロールスロイス ファントムVI。「高級車とは何か?」を追い求めれば、強豪たちと戦う術が見えてくるはずだ
そもそも高級車とはいったい何か。当代一級の性能とデザインを備え、贅を尽くした仕様の高額なクルマ、というだけでは決してその本質に迫れない。
例えばその昔のロールスロイスは金があるからと言って誰でも買える代物ではなかった。
高い級=クラスのクルマと日本語でも表現するように、それは本来、乗り手を選ぶクルマでもあったのだ。
そのことは歴史と伝統に支えられてきた、すべての高級ブランドに通じる価値観だ。
だから昨日今日生まれたばかりのブランドでは(どんなに高額であっても)現代における高級車を成立させることは難しく、それゆえ昔のブランド名を手っ取り早くリバイバルさせようと試みる。
そして、高級車はプロダクトアウトが基本である。そのうえで他を圧倒するモダニズムデザインなどで富裕層を刺激しなければならない。
■トヨタ&レクサスから高級車が登場
アルファードは世界中のVIPに高級送迎車として知られているが、レクサスLMはさらに上を行く
日本のレクサス、そしてトヨタが相次いで新たな高級車を発表した。
レクサスはまだ若いブランドだが、それゆえ和製の“おもてなしミニバン”をさらにラグジュアリーに仕立て直し、世界を見わたしてもまったくユニークな高級車を世に送り出しえた。
世界のVIPが日本に降り立った時、リクエストする送迎車というと近年はアルファード、というのは有名な話。その高級版だから日本オリジナルの高級車として大いに有望である。
トヨタはというとすでに歴史のあるブランドだ。いくつかのパーパスビルドの分野でも世界最高の評価を受けてきた。砂漠のランドクルーザーなどはその最たるもの。センチュリーもまたそのひとつ。
残念ながら本格的な輸出はなかったが、海外には熱狂的なファンも多かった。なかでも12気筒を積んだ先代は世界的に注目されたし、パリで見かけた時には海外でも売ればよかったのに、と心底思ったものだった。
新たなショーファドリブンの形として生まれた新型センチュリー。今までのセダンも併売
新型センチュリーが登場した。流行りの格好をするが完全なるショーファードリブンカーである。そういう意味ではどちらかというとミニバンのアルファードに近しい存在だろう。
フォルムに個性が乏しいと見たのはロールスロイスカリナンの時と同じで、そんな印象もまたミニバンとよく似ている。個性はないが、好まれる。ナカミから決まるカタチというものは得てしてそういうものだ。
いずれにしてもこのカタチをした高級車の元祖といえばレンジローバーである。
完全後席重視、とはいえオーナードリブンがセダンより増えることは間違いない。そういう顔つきをしている。だから乗りの味と心地にも期待したい。
ちなみに伝統的高級車であるセダンも残された。良心というべきだろう。
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みんなのコメント
レクサス車の見かけ倒しの高級車は、信奉している者にしか受け入れられない。
今ではすっかり『まやかしのレクサス』高額車両をどこまで「お・も・て・な・し」と言う名の中味(車両)そのもので勝負できないまやかし商法でどこまで持ち上げられるかです。