13日(日)掲載の「おっさんくさい!? いやいや【車の王道】スポーツセダン現役ナンバーワンはこれだ!」では、斜陽と言われて久しいセダンとスポーツカー、その中にありながら、しかし大きな可能性を秘めた「スポーツセダン」カテゴリーのクルマたち16台を紹介した。
今回ここではこのお話をさらに「走り」の部分へ特化させ、2018年9月に発売されたWRX S4の最上級グレード「STIスポーツ」を、「格上」たるメルセデスベンツ C200アヴァンギャルドBMW320d Mスポーツエディションシャドウと試乗比較。
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日本のトップ・スポーツセダンは欧州の雄と渡り合えるのか? そしてこのカテゴリーを皮切りに、日本のセダン、そしてスポーツカーは復権を果たせるのか? 番外コラムのタイプRA-Rインプレッションも合わせてどうぞ。
※本稿は2018年11月のものです
文:松田秀士、ベストカー編集部/写真:西尾タクト
初出:『ベストカー』 2018年12月26日号
■日独のスポーツセダン3モデルを比較
ふつうにセダンと言わずスポーツセダンと呼ぶ。このスポーツセダンとはなにを意味するのか? ボクの考えは「速く安全で快適に移動できるセダン」と考えている。最低限四座あり、4ドア。しかも荷室もそれなりにあることが条件。
ドイツには速度無制限のアウトバーンがある。ビジネスを含めて目的の場所に速く安全で快適に移動する。このためにセダンをベースにしたスポーツセダンの需要がある。そう、ドイツでは時間をお金で買えるのだ。
『狭い日本、急いで走れば早く着く!』というツービートの裏交通標語があったけれども、これ、ドイツではアリだけれども日本ではNG。日本におけるスポーツセダンの価値観は制限速度内で、安全で快適に速く移動できることにあるだろう。
そこで今や国産スポーツセダンの代表格ともいえるWRX S4 STIスポーツと、ドイツを代表する2モデルを比較したい。もちろんコストパフォーマンスも重要なファクターだ。
■価格と走りの楽しさが際立つWRX S4 STIスポーツ
WRX S4 STIスポーツはタイプRA-Rまで尖った性能は必要ないが、その気になればしっかりとパフォーマンスを楽しむことに興味を持つユーザーをターゲットとしている。しかも、アイサイトを装備していて400万円台ちょっとで手に入る価格帯は魅力だ。アイサイトは自動ブレーキなど安全性も高く、高速道路でのACCやLKA(車線内中央維持)によって長距離走行での疲労も軽減する。
スバル車の駆動方式を今さら説明するまでもないが左右対称のシンメトリカルAWDだ。このシンメトリカルの意味は、エンジンを縦置きにしてプロペラシャフトをクルマのセンターに通し、前後輪のドライブシャフト長を左右対称にしていること。
■SUBARU WRX S4 STIスポーツ(409万3200円)
●全長×全幅×全高:4595×1795×1475mm
●ホイールベース:2650mm
●車重:1540kg
●エンジン:水平対向4DOHCターボ
●総排気量:1998cc
●最高出力:300ps/5600rpm
●最大トルク:40.8kgm/2000~4800rpm
●JC08モード燃費:12.4km/L
●トランスミッション:スポーツリニアトロニック(CVT)
●タイヤサイズ:245/40R18
●車両本体価格:409万3200円
エンジンを縦置きにするということは、重量物であるトランスミッションをエンジン後方に配置できるので、よりクルマのセンターに近づけられ、前後の荷重配分が理想に近づく。さらに水平対向エンジンだから低重心。つまり、クルマの持つ素性がハイレベルにあるということ。
それを証明するかのように、走り出せば非常に安定している。ステアリングの操作感はやや軽めに感じるが、自立直進性が強く、かといって操舵初期の微小舵域に過敏な反応もない。自然に切り始めからフロントタイヤの限界付近まで操舵できる。
タイプRA-Rの尖った部分をすべて削ぎ落とし、限界値を引き下げている。限界値を引き下げた代わりに、サスペンションの動きを低速域から大きくして、速度の高低を問わずに誰にでもハンドリングを楽しめるようになっているのだ。そんなハンドリングの楽しさを顕著に感じられるのがS字のように切り返しのあるコーナーだ。
そこで、このS字コーナーでの動きに注目して、WRX S4 STIスポーツとBMW320d、ベンツC200を比較。スポーツセダンとしての実用性とハンドリングの楽しさを見極めたい。
■BMW320d、ベンツC200とS字でコーナーリングを競う
例えば左→右のS字ならば、ステアリングを左に切り込むことで右フロントサスペンションが沈み込み、続いて右リアサスも沈む。反対側の左前後サスは伸び始める。こうしてクルマはロールと呼ばれる姿勢になり、コーナリングを開始。
そして今度は一気にステアリングを左から右に切り直す。サスペンションの動きが一気に反転し、「よっこらしょ!」という声がクルマから聞こえてきそう。反動を伴うこの動き、次の右コーナーへと向かう動きの早さと安定感、そして反動ゆえに左側のサスペンションがオーバーシュート(行き過ぎる)するレベルと安定感がキモとなる。
特に、操舵を受け持つフロントタイヤに真っ先にストレスがかかるから、この切り返しの動き(左 → 右)では左フロントが大きく沈み、対角線上の右リアが伸びて接地性が失われる。
サスペンションの動きに関してはWRX S4 STIスポーツとベンツC200は似たようなレベルにある。おそらくバネレートは近い。ただC200はサスペンションの縮み始めに抵抗感が少なく、スッと沈み込む。ダンパーの初期減衰力が弱くツッパリ感が少ない。
■メルセデスベンツC200アヴァンギャルド(552万円)
●全長×全幅×全高:4686×1810×1442mm
●ホイールベース:2840mm
●車重:1550kg
●エンジン:直4DOHCターボ
●総排気量:1497cc
●最高出力:184ps/5800~6100rpm
●最大トルク:28.6kgm/3000~4000rpm
●JC08モード燃費:13.6km/L
●トランスミッション:9速AT
●タイヤサイズ:225/50R17
●車両本体価格:552万円
ただし、フルにロールした時のストローク感は似ている。ともにバンプストッピングラバーでバンプするストロークを意図的に止めて、S字の切り返しの反動に備えている。ダンパーの減衰力はWRX S4 STIスポーツのほうが強く、スタビライザーも強い。
ベンツC200はロールが速いので対角線上のリアの伸びも大きい。なのに、リアが安定していて躍動感がある。WRX S4 STIスポーツはリアをある程度硬くして、フロントの動きの影響を少なくしてリアを安定させている。これはボディ剛性に自信があるからできるセッティングだろう。
ところが、この2車に対してまったく異なる足さばきを見せたのがBMW320dだ。実はこのモデルはMスポーツ仕様で、電子制御可変減衰ダンパーのアダプティブMサスペンションが装備されていたのだ。これまでの2車と比較して圧倒的に減衰力もバネレートもソフト。サスペンションの縮みも伸びもストロークが長くロールも大きい。
■BMW320d Mスポーツエディションシャドウ(636万円)
●全長×全幅×全高:4645×1800×1440mm
●ホイールベース:2810mm
●車重:1570kg
●エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1995cc
●最高出力:190ps/4000rpm
●最大トルク:40.8kgm/1750~2500rpm
●JC08モード燃費:21.4km/L
●トランスミッション:8速AT
●タイヤサイズ:225/40R19
●車両本体価格:636万円
※エディションシャドウ
しかし、S字での動きは驚くほどステアリングに忠実で、切り返しのMAXに荷重が移動する瞬間もしなやかに落ち着いた動き。動きが大きいのに思いどおりのラインへ持っていくことができ、サスペンションがソフトだから乗り心地もいい。
■エンジンはSTIスポーツが最強 しかし2車と比べて足りないものも
3車中のエンジンで最強はWRX S4 STIスポーツの水平対向2L直噴ターボのボクサーエンジン。低速域からトルクが太くて扱いやすい。
ベンツC200は新開発の直4、1.5Lターボ+48Vモーターのマイルドハイブリッド。低速域をモーターアシストに任せてエンジン自体は高回転型に振っている。アクセルを踏んだ瞬間はモーターらしくガツンとくる加速。3000rpmを超えるとターボが唸りを上げるように高回転まで抜ける加速感。
BMW320dはディーゼルターボの低速から図太い加速感だ。このトルクがコーナリングでリアタイヤに強い駆動を与えて、リアステアのようなアジリティのあるハンドリングを作っている。ただし、ブレーキがノーマルなので、ストッピングパワーがもうひとつ。
結論。やはりドイツ車の奥深さは高いレベルにある。スポーツなのにコンフォート性(編集部註:快適性)が高い。それでも、コスパを含めてWRX S4 STIスポーツの時間をお金で買える度は高い。足りないものは、さらなる乗り心地のよさと室内静粛性だろう。
【番外コラム】 WRX S4 STIタイプRA-R公道インプレ
今夏に群馬サイクルスポーツセンターで初試乗した時は、群サイ特有の非常に荒れた路面での限界コーナリング、限界ブレーキングに対して、ボディ剛性がまるでカーボンシャシーではないか? と思えるほど剛健なことに感心。というのもサスペンションも硬派に締まっていて、場合によっては硬さゆえに路面の大きなギャップに跳ね返されるような反力を受けてもボディはビクともしない。それがフルブレーキング時であってもだ。
電子制御のダンパーを持たない代わりに、どんなにクルマが跳ねようとも、跳ねた後の収束を速くしっかりとおさめる。スバルのタイプRA-R開発への考え方は一貫している。しなやかに、とか、いなして、などという優等生な乗り味を否定している。その代わり、この応答性とアジリティを出しています、と。
そこで今回、富士スピードウェイのドリフトコースと外周路を走って松田秀士なりに再検証した。予想していたが、このように路面コンディションのいい環境では圧倒的に面白く、楽しい。タイプRA-Rは路面がよければいいほどに本領を発揮。
コーナリングのロール感のなさはどこまでも攻め込める。ブレーキフィールはコントロールブレーキ、フルブレーキともに素晴らしい。
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