これからバイク生活をはじめよう、あるいはバイクの世界への復帰を考えているベテランライダーにとって、気になるのは「立ちゴケ」への心配や不安ではないだろうか。とくに僕(筆者:木下隆之)のような足の長さと柔軟性に多少の問題を抱えているシニアライダーにとって、立ちゴケは不安のひとつ。日頃ホンダ「レブル1100」に乗っているのは、足つきが良いからだ。
そもそもカタログのスペック表に「シート高」という項目があるのが、ライダーが足つきを気にしている何よりの証拠。ユーザーが自分の股下の長さと相談の上でバイクを選ぶ際の目安になっている。
「レブル1100」のシート高は700mmとある。僕は「これなら信号待ちで地面にベタ足できる!」と、他人の目を必要以上に気にする性格ゆえ、停止している姿もカッコつけたい気が満々なのだ。
とはいえ、停止中にちょっと気を抜くとバイクはコケる。自動車が無人で走る時代、クルマが空を飛ぶ時代なのだから、バイクの“立ちゴケ防止機能”なんて、実現できるはずだ。
そう思ったのは、キャデラック・エスカレードをドライブした時のこと。ボディは全長5382mm×全幅2060mmもあり、まるで装甲車の如き。全高にいたっては1948mmもある。乗り込むにはフロアの下のステップに足をかけて、よじ登るようにしてコクピットに潜り込む必要があるのだが、そのステップはドアを開けると自動でせりあがるというもの。スパッと瞬時に、だ。
それを見て「これだ!」と手を打った。バイクが傾いた瞬間に、サイドスタンドがスパッと展開すれば立ちゴケは免れる。傾斜角や加速度から演算すれば、「立ちゴケ救済システム(仮)」を開発することなど造作もないに違いない。
速度で制御すれば、走行中の誤作動も無いだろう。「初心者立ちゴケ救済システム(仮)」という呼び名が恥ずかしいのなら「自動サイドスタンド(仮)」にすればいい。もっと簡単に、速度が0km/hになったら自動でサイドスタンドが伸びてもいい。最近のバイクはサイドスタンドを格納しないと始動しない。ということは、センサーで繋がっているわけで、開発は可能に違いないと思う。
しかし市販化に向けた開発はされていない。ということは、商売にならないからなのだろう。もしくは「そんなのはバイクじゃねぇ」というバイクに抱く何らかのイメージがあるのかもしれない。
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