国内外で大人気を得た世界最小SUVジムニー
戦後日本の自動車黎明期、大人気だったクルマがある。「オート三輪」がそれで、簡単に言うとエンジン付き三輪車。現存する自動車メーカーだけでなく、さまざまなメーカーがオート三輪市場に参入した。
そのひとつが「ホープ自動車」だ。最近まで遊園地用の乗り物などを生産していた「ホープ社」(現在は倒産)の前身である。1953年から「ホープスター」というオート三輪の生産を始めるものの、1965年に自動車業界から事実上撤退。だがその後も開発を続け、1967年にユニークなクルマを誕生させる。それがジープスタイルの4WD軽自動車「ホープスターON型」である。
このクルマに目を付けたスズキは、ホープ自動車から製造販売権を買い取る。反対する者も多かったが、現会長の鈴木 修氏が決断したと言われる。このホープスターON型をスズキ流に発展させて生まれたのが1970年の「初代ジムニー」だった。
本格的なラダーフレーム構造を持つパートタイム4WD。ミニマムサイズだがヘビーな使用も可能だった。まさしく世界最小のSUVである。ジムニーは海外でも「SJ」や「サムライ」などの名で親しまれ、世界中に熱狂的なファンを抱えている。
1970年 初代ジムニー
頑強かつ耐久性に優れるラダーフレーム構造に、パートタイム4WDを組み合わせる世界最小のSUV。2ストロークエンジンに4速MTと16インチタイヤを備え、27.5度の登坂能力を持つなど、大型の4WDにも決して引けを取らない走破性を誇った。発売当初は幌仕様のみで、1972年にクローズドボディのバン仕様を追加している。
1977年 ジムニー8
軽自動車のイメージが濃いジムニーだが、普通車も早くからあった。1977年に輸出仕様の800ccエンジン(41馬力)を積むジムニー8、1982年に1Lエンジン(52馬力)を積むジムニー1000が登場。海外でも高い人気を誇る。
1981年 2代目ジムニー
日常ユースでの使い勝手が向上した2代目も、ラダーフレーム構造やパートタイム4WDによる高い走破性は堅持。1986年には4サイクルターボエンジンのJA71型となるが、翌年まで生産され続けたSJ30型は国内最後の2サイクルエンジン搭載車となった。
初代エスクードが創出したライトSUVの新ジャンル
SUVとはスポーツ・ユーティリティ・ビークルの略で、1980年代、アメリカで広まった。スポーツはアウトドアレジャーなどを指す。アメリカではもともとピックアップトラックの人気が高い。荷物が濡れるのを防ぐために荷台部分にFRP製の屋根(シェル)を装着してみたところ、これが意外にもヒットする。では最初から屋根付きのトラックにしては……という理由でSUVは誕生した。トラックベースだったゆえ、大きくて重いクルマが多かった。
だがスズキには適当な大きさのピックアップトラックがない。スズキはスズキのやり方でSUVにアプローチするしかなかった。そうして生まれたのが初代エスクードだった。当時ほとんどのSUVは3Lクラスなのに対し、わずか1.6L。サイズも一般的なSUVよりはるかに小さい。だが少し背の高いハッチバックのようなスタイリッシュボディが新鮮だった。中身はラダーフレーム構造を持ち、ヘビーな使い方にも耐える。当時のSUVのなかにあっては、飛び切りの異彩を放っていた。そんな初代エスクードは国内外で大ヒット。現在数多く存在するコンパクトなライトSUVの嚆矢となり、世界中に影響を及ぼした。
1988年 初代エスクード
1980年代にアメリカで人気に火が付いたSUVは、トラックベースゆえ大きく重いものが主流だった。そんなSUVとは違う小さくてカジュアルなクルマが初代エスクード。スタイリッシュなボディに、ラダーフレーム構造を採用する堅牢なボディと本格派の4WDを搭載。1.6Lエンジンを積み、ハードトップのほかコンバーチブルも設定。国内外で大ヒットし、ライトSUVというジャンルができるきっかけになった。
1997年 2代目エスクード
外観は大きく印象が異なるものの、3ドアと5ドア(ノマドのサブネームは消滅)を用意するなど、基本的にはキープコンセプトの2代目エスクード。初代と同様、頑丈なラダーフレーム構造を採用し、高いクロスカントリー性能を誇った。直4の1.6&2Lガソリンに加え、2.5L V6やディーゼルターボも搭載した。
1998年 3代目ジムニー
1998年、衝突安全性確保のために、軽自動車は一斉に大型化。いわゆる新規格化が行われた。ジムニーもフレーム構造など伝統のヘビーさは踏襲するがサイズが拡大され、幌モデルがなくなり4人乗りワゴンモデルに一本化された。搭載エンジンは660ccターボのみ。改良を繰り返しながら現在も生産される息の長いモデルだ。
1995年 X-90
大ヒットした初代エスクードをベースに登場したユニーク極まりないクルマ。下半分はSUV、上半分はオープン2シーターといういろんな要素をクロスオーバー。時代を先取りしすぎてしまい、人気薄で短命に終わった。
新規格に合わせたクロスオーバー軽の「Kei」登場
1990年代に入ると、自動車の大切な要素として「安全性」がクローズアップされていく。1995年から衝突試験のJNCAPが始まる。当初普通車だけだったが、軽自動車にも適用されることになった。
そこで問題が持ち上がる。衝突安全性を高めるためには、衝突時に衝撃を吸収してキャビンを守る「クラッシャブルゾーン」が必要。だが軽自動車はサイズが小さすぎて、その確保が困難……というもの。そこで軽自動車は、排気量660ccのまま、サイズを全長+100mmの3400mm、全幅+80mmの1480mm以内の新しい規格へと移行する。1998年秋、サイズを拡大した新規格軽自動車が一気に登場する。そして、スズキのクルマのなかにあまり目立たない1台のクルマがあった。それがスズキKeiである。
安直なネーミングだが、これが現代に通じるクロスオーバーのコンセプトを軽自動車に初めて採り入れたクルマだった。大径タイヤを履き高いロードクリアランスと全高を持つ。通常の道でも快適で、少々のラフロードもこなす。11年間の長きにわたり生産され、爆発的なヒットを呼ぶことはなかったが、このコンセプトをスズキはあきらめなかった。
1998年 Kei
新規格軽自動車登場時にひっそりとデビュー。一見すると2ボックススタイルを採用する普通の軽自動車のようだが、4WDで全高1550mm、大径のタイヤを履き最低地上高は185mmを確保するという、まさにクロスオーバー軽自動車の元祖と言えるクルマ。2WDもラインアップし11年間生産されたが、内外装の遊び心に乏しく、大ヒットとまではいかなかった。
2000年 グランドエスクード
2代目エスクードの5ドアより、全長を485mm延ばし、3列シート仕様の7人乗りとしたSUV。搭載エンジンは2.7L V6のみ。海外向けには「グランドビターラ」という車名を名乗った。
2000年 初代スイフト
プラットフォームは異なるものの「Kei」と同様のドアやサイドパネルを使用し雰囲気もよく似ている。4WDモデルの最低地上高は175mmとやはりSUVテイストだ。5ドアハッチバックのみのボディに、当初は1.3L+4速ATのみだったが、5速MTモデルも追加され、「スポーツ」は専用チューンの1.5Lを搭載する。
2001年 シボレー・クルーズ
当時提携関係にあったスズキとGM。シボレーと名が付くが中身はスズキ。デザインをGMが担当した初代スイフトベースのコンパクトSUVで、スズキの販売店でも扱われた。エンジンは1.3Lに加え1.5Lも搭載された。
スズキの主力に成長したクロスオーバー軍団
2014年、スズキはハスラーを発表する。Kei生産中止から5年後のことだった。大胆にもかつて同社のオフロードバイクの定番だった車名を軽自動車に与えたのだ。
CMキャラクターにアニメ「Dr.スランプ」を起用。ハスラーはまさにペンギン村を走っているようなユニークな外観が特徴だ。丸目のクラシカルなフロントに直線基調のボディは抜群に目立つ。かつてのKeiのように大径のタイヤを履き、180mm(FF)というSUV並みの最低地上高を確保した。安価で経済的、という一般的な軽自動車のイメージは薄く、クラスレスでパーソナル感すらある。
ハスラーは大ヒットし、たちまち軽自動車にクロスオーバーを定着させてしまった。すぐにダイハツはキャストに「アクティバ」を設定。これは間違いなくハスラーの対抗馬だ。
その後、SX4をフルモデルチェンジすると、さらにエスクードもまったく新しいテイストに変貌。さらに全長わずか3.7mという、極めてコンパクトなハイブリッド・クロスオーバー、イグニスと矢継ぎ早にリリース。現在クロスオーバーカーはスズキの大きな戦力だ。それはスズキ自らが切り拓いたと言えよう。
2005年 3代目エスクード
アメリカンな雰囲気の3代目エスクードだが、モノコックになるSUVが増えるなか、ビルトインラダーフレームという頑強なシャシーを採用。新型登場後も存続していたが2017年に消滅。
2006年 SX4
5ドアハッチのようでもありSUVのようでもある独得な雰囲気を醸し出す異色のクロスオーバー。高めの全高で高いユーティリティが自慢。2007年にはセダンモデルも追加された。
2014年 ハスラー
発売以来ベストセラーの仲間入りを果たしたクロスオーバーカー。大径タイヤを装着しFFで180mm、4WDで175mmという高めの最低地上高を持つ。さらに内外装に遊び心を満載した。S-エネチャージをはじめ、最新の環境装備や安全装備も万全。軽ながらクラスレスな魅力にあふれている。
2015年 SX4 S-クロス
先代SX4よりひとまわり大きくなり、大径タイヤが目立つ力強いクロスオーバーSUVに変貌。4WDモデルは4モードを選べる先進の電子制御式「オールグリップ」を採用し高い走破性を確保している。
2015年 4代目エスクード
ハンガリー生産の逆輸入モデル。ついにモノコックボディとなった4代目。全長4.2m弱とコンパクトだがスポーティさが際立つ1.6Lに加え1.4Lターボも追加。現在は4WDのみを設定。
2016年 イグニス
全長わずか3.7mと極めてコンパクトなクロスオーバーSUV。オーバーフェンダーなどでなかなか個性的な外観に仕上がっている。4WDと2WDをラインアップし、1.2Lハイブリッドのみ搭載。燃費は2WDで28.0km/Lを達成する。
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