2018年度の再開以来、初めての100億円返済を実現
2024年12月24日、重要政策への予算付けを大臣自らが訴える「大臣折衝」が終了し、その翌日、予算要求額を明示せず財務省と折衝する「事項要求」として自賠責保険料運用益の返済額について協議されました。両大臣の見解の微妙ですが決定的な違いを見ると、返済額が増額されてもぬぐい切れない自動車ユーザーの不安がありました。
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自賠責保険の保険料運用益をもとにした一般会計への貸金、その返済が長年の課題となっています。これは税金ではなく、自動車ユーザーの自賠責保険料によって得た財源。要するに財務省が国土交通省へ返さなくてはいけない「借金」です。
一般会計への貸し出しは税金ではなく、自動車ユーザーが支払った自賠責保険料から捻出しています。現在は廃止された制度ですが、保険料を元手に運用で得た資金です。約2兆円の潤沢な資金に目をつけた財務省の借入は約30年前から始まり、2024年現在でも残債は5806億円(2024年度末見込)と巨額です。
この返済で2024年、財務省は当初予算で65億円、12月17日の国会で成立した補正予算で35億円を返済します。合計で100億円。単年度で返済額が100億円の大台に乗ったのは、2018年に返済が再開されて以来の規模です。
巨額の借金に対し返済額は少額で、2023年度までの6年間の平均返済額52億円を基準にすると、完済までに110年という遠大な期間が見込まれていました。ただ、今回単年度で100億円の返済があったことで、仮にこの返済額を基準にすると、約60年で完済が見込めます。さらに、2025年度の当初予算案では24年度と同額の65億円の返済が決まりました。
「一定の水準はクリアできた」「このペースで返済を拡充させてほしい」と、国土交通省、交通事故被害者をはじめとする関係者は歓迎しています。ただ、ここまでの道のりはけして簡単ではありませんでした。
財務省の返済は一般会計、つまり税金からの捻出です。自動車事故被害者の救済だけでなく、財政全体の予算に影響するため、返済は縮小どころか、先送りされがちでした。事実、2003~2019年度までは0円返済だったのです。
返済の再開は23億円からスタートし、ほぼ前年度を下回らない範囲での返済が続いていました。返済額は毎年12月の全体予算編成時期に財務省と国交省の担当者による交渉「事項要求」で決まっています。かつては大臣間の交渉「大臣折衝」の重点として取り上げられたこともありました。
財務省と国交省の大臣の発言にみる温度差
2025年度の返済額について、両省の大臣に尋ねました。
加藤勝信財務相は12月24日の会見で「自動車損害賠償保障制度を考える会」(座長・福田弥夫八戸学院地域連携センター教授)の要望を受けて次のように話しています。
「まずは令和3年(2021)12月の国土交通大臣との合意において令和4年度の繰戻し額の水準55億円を踏まえ、引き続き継続的に取り組むなどの明記がされています、という大臣間合意の話をさせていただいた上で、交通事故被害者団体の方から、交通事故に遭われた方やその家族の重い負担についてもお話もございましたので、自動車事故の被害者保護等の重要性を改めて認識をさせていただきました」
「(略)財政上厳しい中ではありますけれども、交通事故被害者を受け入れているグループホームへの支援をはじめとして、被害者保護等に係る事業が安定的継続的に実施されるよう、一般会計からの繰り戻しを着実に行うということをしていきたいと考えております」
加藤財務相が返済の基本とするのは100億円ではなく、両省の大臣で合意した55億円をベースとしています。これに対して、中野洋昌国交相は、こう話します。
「令和7(2025)年度の当初予算につきましては、私も早期かつ着実な全額の繰戻しに向けてということで、大臣間の合意を踏まえまして、今、事項要求行っているところであります。閣議決定はこれからでございますので、具体のどういう状況かということは差し控えさせていただきますけれども、いずれにしても、全額の繰戻しに向け着実にしっかり進めていきたい」(12月24日夕方)
中野国交相も大臣間合意に基づく返済であることを認めながらも、短いコメントの中で「全額の繰戻し(=返済)」というフレーズを2回繰り返しています。
でも「約束」はありません いつまでに返すかも
実は、財務省と国交省の大臣合意では、最低限の返済額を54億円と定めていますが、全額を返済するとは明記していません。また、この合意内容は2027年までしか有効ではありません。
それ以降にどういう返済を実行するかは、有効期限が切れる前年に両省の大臣間で再び合意します。返済合意は短期ですが、返済は超長期にわたるというアンバランスを続けているのです。
財務省の返済が進まないことが主な原因で、2023年4月の自賠責保険契約から保険料に「賦課金」としての自動車ユーザーの負担が上乗せが行われています。返済額への目が厳しくなっているのは、こうしたあいまいな返済合意にも原因があるのです。
前述の「自賠責制度を考える会」が両大臣に手渡した要望書には、こんな当たり前のことが記されていました。
「令和7年度予算における繰戻額の増額を強く願い、以下の通り要望します。全額の繰戻し時期を明確にするなど、繰戻し金返済の道筋の提示を行うこと」
100年返済が60年返済になっても喜べない理由は、こんなところにもあるのです。
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みんなのコメント
俺らは生きてるだけで赤字やで。
その金利分として本来、自賠責保険料はその分を差引いて下がらなければならないと思うのですが、逆に上がっているのはおかしいでしょう?