キャンピングカーらしさか、普通車らしさか
キャンピングカーを購入しようとしているとき、キャブコン(トラックベースのキャブコンバージョン)なのか、バンコン(ミニバンベースのバンコンバージョン)なのか。そんな幸せな選択で悩まれるかたも多いのではないでしょうか。事実、日本のキャンピングカーでは、キャブコンとバンコンがそれぞれが全体の約3割を占め、トップの座を僅差で競っている状況。なかには自らがキャブコン派、バンコン派を名乗ってはばからない熱烈なファンもいます。
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そこで、キャブコンとバンコンをともに所有した事がある筆者が、独断と偏見、キャンピングカー仲間にも聞いたお話から、バンコンと比べてキャブコンの優れるポイントをご紹介したいと思います。
・余裕の車内スペース
キャブコンは、縦方向のスペースがあり、特にバンクベッド(運転席上部のスペース)があるタイプは、その解放感たるやもう圧巻です。そこそこ長身の人でも立って着替えができるのが最高! 私はそれほど大きくないですが、それでも、バンコンの時は、ソファーにゴロンと横になって着替えをしていました。勿論、バンコンもハイルーフタイプは、縦方向のスペースがありますが、それでもキャブコンの広々とした車内スペースにはかないません。
また、バンコンは、バンのボディをそのまま居住区にしているので、高さ方向にスラント、つまり頭すぼみになっているので、収納庫などが付いていると意外と圧迫感があります。その点、キャブコンは、垂直壁のボックス形状のものが多く、スペース効率の点でも、精神衛生上でも有利です。
・キャンピングカーらしいデザイン
写真のように、トラックをベースに架装したキャブコンは、運転席の上にせり出したバンクベッドが特徴。いかにもキャンピングカーというフォルムなのですが、良くも悪くも正面からの見た目はトラックと区別がつきません。
ハイエースなどをベースにしたバンコンとは違って、誰がどう見ても普通車とは違うスタイル。乗っているだけでも、一種の選民意識というか優越感を感じてしまう人もいるでしょう。ところが、その環境によって、これがデメリットにもなってくる場合があります。つまり、いかにもキャンピングカーというのが困る人。タダでさえ目立つキャンピングカーで出かけると、ご近所の話題になり、最初は優越感もあったりしますが、そのうち出かける度に「お出かけ?いいわねえ~、今回はどちらへ?」と毎回の様に聞かれるとウンザリする事も。挙句には夜逃げするように出発する方もいるようです。
そんな時には、普通車と同じバンコンならば、いつどこに出かけようと気にする心配も不要。目立つことがいいと捉えるか否かはオーナー次第でしょう。
・ボディサイズは意外とコンパクト
余裕の車内スペース、見た目にも大きいキャブコンですが、じつはその多くは全幅2m/全長5m前後。つまり一般的な駐車場にも収まるサイズなんです。ただし、縦サイズ(全高)は大きいので、立体式など高さ制限のある駐車場は要注意。一部のバンコンには車長が長いタイプもあるので、お尻がつん出たりします。
また、キャブコンはベース車がトラックなのですが、その最小回転半径は小さく、バンコンよりも小回りがきいたりします。また全長5m未満のキャブコンならば、フェリー料金も安くなることがありますよ。
・渋く光るコストパフォーマンス
モデルによって違うので一概には言えませんが、キャブコンはトラックベースの車両が多く、特にライトキャブコンクラスだと、比較的安価なタイプもあります。大きなキャブコンと、スラリとしたバンコンの値段がそれほど変わらない場合があり、見た目のイメージで「トクした」と感じる人もいるでしょう。
ただし、トラックベースのキャブコンは荷物を載せる為の足回りなので、キャンピングカーとしては、ショックアブソーバやスタビライザー、場合によってはエアサスなどを強化しないと、操縦性や乗り心地の点で不満がでる可能性があります。さらに機動性や操縦性の点でもバンコンの方が上でしょう。
トラックベース故の光と影とでも申しましょうか。とはいえ、その内容からしてもキャブコンの方がコストパフォーマンスが渋く有利と思いますよ。
・車中泊専用設計と言えるボディ
キャブコンは、車中泊専用ボディを架装するので、その構造にもよりますが、断熱・防音、前述の車内スペースやレイアウトの点でも有利。その点、バンコンはボディをそのまま改造するので、さまざまな制約があり、ウインドウ部分も多いので、断熱や防音の点では不利でしょう。
勿論、モデルによっては、贅沢過ぎる位の断熱加工をしたり、ガラス部分を埋めるなどの対策をしている場合もありますが、それでも決まったボディ内に収めるのと、イチから居住区を設計できるのとでは、どうしても後者の方が有利になる事が多いと言えます。
如何でしょうか。キャンピングカーに乗る人の、ライフスタイル、使用目的、家族構成などで、どのタイプのキャンピングカーを購入すれば良いかが決まってきます。ですから、その人にとって一番使い易いキャンピングカーが一番だということ。
理屈では分かっていても、乗っていて嬉しくないキャンピングカーは選ばない方が良いでしょう。色々なタイプを見て、触って、体感してください。「キャンピングカーが欲しい」というめちゃくちゃ贅沢な、人から見ると羨ましい悩みだと思いますよ。素晴らしきキャンピングカーライフを!
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