現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 元レーシングドライバーが斬る! 続々登場のパワーエリートSUVはスポーツカー並に走れるのか?

ここから本文です

元レーシングドライバーが斬る! 続々登場のパワーエリートSUVはスポーツカー並に走れるのか?

掲載 更新
元レーシングドライバーが斬る! 続々登場のパワーエリートSUVはスポーツカー並に走れるのか?

 ランボルギーニやポルシェなども激速SUVを続々リリース

 世界的にSUVが大ブームになっているが、最近はSUVをネットで検索すると「スポーツ ユーティリティ ビークル」の略だと出てくる。そうじゃあないだろう。SUVは元来「スペース ユーティリティ ビークル」の略だったはずで、いつから「スペース」が「スポーツ」に誤解釈されるようになってしまったのか疑問だ。

レーシングドライバーでも操れない! 運転が難しすぎる市販車3選

「スポーツ」と解釈されるようになったからか、近年はSUVにもハイパワーで走りの良さをアピールするモデルが相次いで登場している。もっとも新しいところでは、あのスーパーカーメーカーとして名高いイタリアのランボルギーニ社が「ウルス」というスーパー・SUVを登場させている。

 ランボルギーニのホームページには「スーパースポーツ ユーティリティ ビークル」と紹介されているからSUVを「スポーツ ユーティリティ ビークル」と定義しているわけだ。ウルスは最大出力650馬力を発生する4リッターV8ツインターボエンジンを搭載し、フルタイム4WDのパワートレインを持つ。SUVカテゴリーでは世界最高馬力のクルマだ。

 ほかにもポルシェのカイエンやマカン、BMW X5MやX6M、メルセデス・AMG GLE63などパワーエリートのSUVが多くラインアップされている。

 国内メーカーのモデルではパワーエリートと呼べるほどのSUVはまだ存在していない。レクサスRX450hがかろうじて机上に乗る程度だろう。

「スポーツ」と解釈するにしろ「スペース」と解釈したにしろSUVモデルがスポーツカーだと謳っていいのだろうか。それなら従来のスポーツカーと比べて走りはどう違うのか。

 それは各車の外観的特長を見れば察しがついてくる。SUVの外観的特長は車高が高く、ロードクリアランス(最低地上高)も大きく設定されている。ロードクリアランスを大きくすることは悪路での走破性を高めることが狙いで、ランボルギーニ・ウルスには「TERRA」(悪路)や「SABBIA」(砂漠)といったドライビングモードを備えている。こうした一般的なスポーツカーでは走れないような地域、路面状況ではスポーツSUVの存在意義は大きいはずだ。だが国内の一般道や通常のスポーツカーが走りを楽しむクローズドコース(サーキット等)で一緒に走ったらどうだろうか。

 どんなにパワーがあってもボディ形状の不利は覆せない

 パワーエリートのスーパーSUVは加速場面においては強力だ。直線加速、コーナー脱出時の加速性能も高い。4WDの駆動システムを装備しているためトラクションが強力でウェットにおいても加速性に衰えはみせない。

 国産モデルにはFF(前輪駆動)のSUVが多くラインアップされているが、それらは正直走りの面では話にならない。最低地上高を活かした悪路走破性も最大限発揮できず見た目だけの論外な存在だ。だが欧州の本格的スポーツSUVは4WDシステムに電子制御サスペンション、トルクベクタリングなど高度な機能を盛り込み、ハイパワーをしっかり走りに活かす機能が与えられているのが常識。

 しかし、どんな機能が与えられていても、物理的な限界値が変わるわけではない。タイヤが路面をしっかりホールドしグリップを発揮できているうちはいいが、インリフトを起こしたり内輪接地圧が低下したりすれば、そうした機能は活かされなくなってしまう。

 それを避けるために、スーパーSUVの多くは極太のアンチロールバーを備えコーナリング時の車体ロールを極力抑え、4輪が常時接地するフラットライド化を図っている。それでもやはり限界が高まるわけではないのだ。

 ライドハイトが大きく、車高が高いスーパーSUVはつまり重心が高い。最近はクーペボディにしてルーフ高を抑え低重心化を図っているクロスオーバー系スポーツSUVも増えているが、それでも本格的な通常のスポーツカーようなコーナリングは不可能だ。

 エンジンの搭載位置が高い段階で絶対的な重心高が高まる。タイヤの接地点から重心位置までの距離が大きく高ければロールモーメントが強く生じ横転モードに陥りやすい。アンチロールバーでロール量を抑えても、今度はタイヤグリップ力がロールセンターに下方向から加わるジャッキアップ現象が発生し、車体全体を持ち上げてしまい、タイヤ接地圧を低下させる。このように車高の高いスポーツSUVはどんなにパワーがあっても、コーナーを低重心のスポーツカーのように攻めて走ることはできないのだ。

 実際にサーキットのスポーツ走行や走行会などスポーツSUVで参加するユーザーが増えてきているが、まわりを走る低重心スポーツカーとは、コーナーでの能力の差が大きくあることを理解して参加すべきだろう。

 コーナーで不利なはずのスポーツSUVにコーナーでかわされてしまったり、追いつけない名ばかりのスポーツカーが存在するのもまた事実。スポーツカーの定義は「ハイスピードで意のままに操れること」だが、それはスキルの高いドライバーが正しいドライビング操作をしていることが前提条件で、実現するのは通常のクルマでも難しい。その定義に従えば、SUVでスポーツ性を謳うのは無理がある、というのが結論だ。

こんな記事も読まれています

【インディアン】FTR・SCOUT シリーズを対象とした「Welcome to Indian Motorcycle スペシャルカスタムキャンペーン」を開催中!
【インディアン】FTR・SCOUT シリーズを対象とした「Welcome to Indian Motorcycle スペシャルカスタムキャンペーン」を開催中!
バイクブロス
【COSWHEEL】新型電動バイク「MIRAI1000/500」が5/9より Makuake にて先行販売スタート!
【COSWHEEL】新型電動バイク「MIRAI1000/500」が5/9より Makuake にて先行販売スタート!
バイクブロス
ハセガワ、注目のニューキット「S110シルビア」のテストショットを公開!【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
ハセガワ、注目のニューキット「S110シルビア」のテストショットを公開!【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
LE VOLANT CARSMEET WEB
えっ…! 軽自動車に「軽油」入れちゃった!? つい「うっかり間違い」では済まされない「燃料の油種」とは
えっ…! 軽自動車に「軽油」入れちゃった!? つい「うっかり間違い」では済まされない「燃料の油種」とは
くるまのニュース
ポタ電といえばこれ! 世界累計50万台以上販売した「Jackery ポータブル電源 240」が大幅パワーアップしてリニューアル【車に積みたいアウトドアアイテム】
ポタ電といえばこれ! 世界累計50万台以上販売した「Jackery ポータブル電源 240」が大幅パワーアップしてリニューアル【車に積みたいアウトドアアイテム】
月刊自家用車WEB
自動車事故で女性のほうが「むち打ち症」になりやすいのは「ダミー人形が男性」だから! ボルボの安全に対する取り組みが想像の遙か上だった
自動車事故で女性のほうが「むち打ち症」になりやすいのは「ダミー人形が男性」だから! ボルボの安全に対する取り組みが想像の遙か上だった
WEB CARTOP
BMWがEVオーナー向けに「BMW Destination Charging プロジェクト」を開始、第1弾として麻布台ヒルズに充電器を設置
BMWがEVオーナー向けに「BMW Destination Charging プロジェクト」を開始、第1弾として麻布台ヒルズに充電器を設置
@DIME
段付きGTAから身をよじって走りそうなZまで!タミヤのカーモデル再販&バリエーション【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
段付きGTAから身をよじって走りそうなZまで!タミヤのカーモデル再販&バリエーション【第62回 静岡ホビーショー2024速報】
LE VOLANT CARSMEET WEB
全長3.7mの「小さな最高級車」あった!? コンパクトなのに“匠仕上げ”の「超豪華内装」採用! 570万円超えの「贅沢すぎコンパクトモデル」がスゴい
全長3.7mの「小さな最高級車」あった!? コンパクトなのに“匠仕上げ”の「超豪華内装」採用! 570万円超えの「贅沢すぎコンパクトモデル」がスゴい
くるまのニュース
電動バイクの未来を変える!?実用化待望の「全固体電池」とは
電動バイクの未来を変える!?実用化待望の「全固体電池」とは
バイクのニュース
御嶽山でオフロード走行&キャンプを楽しむ「EXPLORER CAMP MEETING」の参加申し込み受付がスタート!
御嶽山でオフロード走行&キャンプを楽しむ「EXPLORER CAMP MEETING」の参加申し込み受付がスタート!
バイクブロス
インプレッサはBMW MINI アウディに勝てない? 日本の「小さなプレミアムカー」はなぜ成功しないのか?
インプレッサはBMW MINI アウディに勝てない? 日本の「小さなプレミアムカー」はなぜ成功しないのか?
ベストカーWeb
メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
メルセデスベンツ『CLE カブリオレ』に「AMG 53」、電動ターボで449馬力
レスポンス
ホンダの斬新「軽ピックアップ」が超カッコいい! 流行りの「アウトドア」にも最適! 万能すぎる「軽トラ」は日本にピッタリな商用車!
ホンダの斬新「軽ピックアップ」が超カッコいい! 流行りの「アウトドア」にも最適! 万能すぎる「軽トラ」は日本にピッタリな商用車!
くるまのニュース
空力マシマシのMotoGPマシンは「決して戻らないし戻してほしくない」ベテランからは批判も若手ジャンアントニオはお気に入り
空力マシマシのMotoGPマシンは「決して戻らないし戻してほしくない」ベテランからは批判も若手ジャンアントニオはお気に入り
motorsport.com 日本版
最近流行のクルマの「サブスク」! ぶっちゃけ「何がよくて」「ネガな点はどこ」なのかまとめてみた
最近流行のクルマの「サブスク」! ぶっちゃけ「何がよくて」「ネガな点はどこ」なのかまとめてみた
WEB CARTOP
マイアミGP、アメリカ史上最多のF1中継視聴者数を記録。サーキットにも27万人が詰めかける
マイアミGP、アメリカ史上最多のF1中継視聴者数を記録。サーキットにも27万人が詰めかける
motorsport.com 日本版
トヨタ新型「カローラ」発売! 精悍さアップの「スポーツ」仕様も!? デビューから約“60年”「ずっと人気」維持し続ける秘密とは
トヨタ新型「カローラ」発売! 精悍さアップの「スポーツ」仕様も!? デビューから約“60年”「ずっと人気」維持し続ける秘密とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2868.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2980.05980.0万円

中古車を検索
ウルスの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

2868.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

2980.05980.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村