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じつは「介護する側」の利便性が重要だった! 意外と知らない高齢者介護をする人が選ぶべきクルマの要件とは

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じつは「介護する側」の利便性が重要だった! 意外と知らない高齢者介護をする人が選ぶべきクルマの要件とは

近い将来必要になる親の介護に使える車種選びのポイントとは

 親の介護が必要になると、日常は大変である。とくに病院などへの送迎を自身で行う際の移動もまた、苦労する。じつは筆者も5年ほど、親を介護する経験があったのだが、近所の買い物やドライブに連れて行く際にクルマへ乗せるのも、シートに座らせるのも、クルマから降ろすのも大変であった。

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 そこで、できるだけ要介護の親を乗せやすく降ろしやすいクルマを、自動車評論家の立場からあらためて考えてみた。つまり、要介護者が乗り降りしやすいクルマは、介護される方も介護する方にとっても負担が少ないということだ。介護する側が、要介護者のクルマの乗せ降ろしで腰を痛め、動けなくなったとしたら元も子もない。

フロア高の低さも大切だがアシストグリップの有無も要チェック

 要介護者を乗せやすいクルマと聞いてまず思い浮かぶのは、スライドドアと低く段差のないステップではないだろうか。確かにミニバンやプチバン、スーパーハイト系軽自動車にあるスライドドアは、ヒンジ式ドアより開口部が広く、シートに向かってほぼ正面で乗車できるから、要介護者を乗せるには最適だ。そしてステップが低ければ低いほど足の持ち上げ量が少なくて済み、そこに段差がなければなおスムースに乗り降りできることになる。

 そこで思い出されるのが、2004年に発売されたトヨタ・ポルテだ。助手席側に大開口パワースライドドアを1枚設けた、左右非対称ボディが特徴。フロア高は、当時のノンステップバスと同じ地上300mmと極端に低く(当時乗用車として世界でもっとも低いフロアだった)、段差のないステップを備えていた。全高も1720mmあり、頭や体を大きくかがめることなく後席に乗降できる、じつにユニバーサルな介護車としても適切なコンパクトカーだったのである。

 しかし、ただスライドドアでステップ~フロア位置が低く、段差がない要件は、ある意味最低限ということを実際の介護で痛感したことも事実。ポイントは、まずは介護されるほうが体を安定させるための、手のかけどころである。助手席の肩という場所も有効ではあるものの、できればBピラーにアシストグリップ(Bピラーレス車であれば、助手席肩のグリップ)があると助かる。全体重をこちらに預けられたら、乗せ降ろしの際、介助側の負担も大きくなるからだ(※介助される側に握力がある場合)。

ステップ高が低く段差のないワンステップであればなお良し!

 ただ、ステップが低いと一言でいっても、ワンステップでないと意味がない。ミニバンのなかには、先代のトヨタ・ノア&ヴォクシーのように、ステップ高が360mm(最低部分の数値)と低く、段差なくフロアに続くタイプと、現行日産セレナのように、1段目のステップが380mmとまずまず低いものの、フロアはそこから70mm高い地上450mmにある2段ステップのクルマもある。

 介護のためであれば、ワンステップの方がありがたいことは確かだろう。ちなみに新型ノア&ヴォクシーのワンステップフロアのステップは、先代より20mm高い380mmになっているが、それをカバーするために、オプションとして「ユニバーサルステップ」を用意。

 先代の電動タイプは20万円近くしたのだが、新型では”からくり”を使った非電動とし、地上200mmという極めて低いステップ(奥行き180mm)を、スライドドアと連動させて展開。価格も3万3000円とお手ごろになったから歓迎できる。

座る動作の負担にもつながるヒール段差も重要なチェックポイント

 そして意外に気づきにくいのが、フロアに対するシートの位置=ヒール段差(高さ)。ここが低いと、座る際、足の屈伸、腰の移動量が多くなり、筋力が弱っ体だと、座るのがものすごく大変になる(※介助する側も同様だ)。同時に立ち上がりの容易性も悪くなるという理屈だ。ローソファから立ち上がるのと、ダイニングチェアから立ち上がるのとでは、どちらが楽かと考えれば実際にやってみればわかりやすいだろう。

 その一例として、親の介護用車として適する両側スライドドア付きのスーパーハイト系軽自動車の後席ヒール段差を、ステップ高とともに比較してみたい。日産ルークス:ヒール段差380mm/ステップ高360mm、スズキ・スペーシア:ヒール段差360mm/ステップ高345mm、ホンダN-BOX:ヒール段差355mm/ステップ高360mm、ダイハツ・タント:ヒール段差360mm/ステップ高370mmとなる。

 つまり、ほかの要件はともかく、全車ともに介護車として適切ではあるものの、ステップ高ではもっとも低いスペーシア、ヒール段差ではもっとも高いルークスが、介護用車の後席乗降性では優位にあると考えていい。もし、ヒール段差が330mmぐらいになってしまうと、健常者ならまったく問題ないが、要介護者の乗り降りになると、けっこう辛くなりがちだ。

便利なはずの後席スライド機構付き車はシート位置に注意

 そうそう、ミニバンやスーパーハイト系軽自動車には、後席スライド機構(ロングスライド機構)が付いているが、乗降間口を広げたいがために最後端位置にセットするのはNG。スライドドアから乗り込んだあとの、あるいは降車時の足腰の移動量が増えてしまうからである。適度な乗降空間(間口)を取りつつ、乗り降りのしやすさに配慮したスライド位置にセットしておくようにしたい。

 よって、親の介護に適切なクルマは、スライドドア車を基本として、開口部の広さ、ステップの低さ、ワンステップフロアはもちろん、アシストグリップの位置&握りやすさ、そして後席のヒール段差にこだわって選ぶといいだろう。こらから介護頻度が進むこともあるから、それを見越しての選択も、筆者の経験から、重要だと思える。

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みんなのコメント

6件
  • 年寄りは足を上げる方が辛い。体を上にあげる脚力が無いのだから
  • 読み物として書いてるせいもあるだろうが、もう少し「要件」とやらを一覧できるようにまとめて書くこととかできんのかね。
    まあ、会社で報告書書いたりした経験もないのだろうから、他人にものを伝える文章作法の根本的なところが理解できてないんだろうけど。
    日記と物語と報告と分析とその他諸々、文章は目的に応じて書き方を変えるもんだぞ。どれもこれも同じような書き方しかできないのは物書きとしては三流以下。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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