■発想の源は「農家の軽トラ」だった…
軽トラックは、扱いやすいサイズに極めて高い積載性や耐久性を持つことから、農業などの商用シーンで親しまれています。なかでもダイハツ「ハイゼットトラック」は軽トラックの定番として高いシェアを誇ります。
そんなハイゼットトラックですが、ダイハツはかつて「ハイゼットジャンボ スポルツァVer.」というコンセプトモデルを公開していました。一体どのようなクルマだったのでしょうか。
【画像】超カッコイイ! これが斬新「屋根なし軽トラ」です(26枚)
毎年1月に開催されるカスタムカーの祭典「東京オートサロン」では、各カスタムパーツブランドに加え、メーカー本体も公式でカスタムを施したコンセプトカーを出展しています。
しかし、3年前の2021年回はコロナウイルス感染拡大により例年とは異なり、史上初のオンライン回「バーチャルオートサロン2021」として開催されました。
実車の展示が行えないという異例の回でしたが、ダイハツは5台のカスタムカーを出展。
その1台がハイゼットジャンボ スポルツァVer.です。
ベースはハイゼットトラックのうち、キャビン(居住部)を延長し居住空間の延長を図った「ジャンボ」仕様車ですが、もっと大きな特徴はメーカー自ら「ルーフ切断」を実施した点です。
当時の取材でダイハツ担当者によれば、この発想は「果樹園で用いられている屋根を切った軽トラックから得た」といいます。
実は「屋根なし軽トラ」は珍しいものではなく、一部の農家では低木の果物を傷つけずに効率よく収穫するために、敷地内だけの走行を前提としルーフ切断した軽トラックを用いているのです。
この屋根なしの発想をもとに、「平日は果樹園ではたらく若者が、休日はみんなで草レースを楽しむ。そんな面白いクルマができたらいいなと思い、製作しました」(同担当者)と話しています。
エクステリアは大胆にもAピラーの根本から切断され、もはやハイゼットの面影はフロントデザイン程度。フロントガラスもインパネの高さを覆う「風防」のように小ぶりなものが装着され、かなりの爽快感を感じられると思われます。
フロントフェイスはレッドのアクセントを施したブラックのガーニッシュに、大開口部のロアグリルを備えたエアロを装着。
ボディサイドは、アメリカのサーキット「ラグナセカ・レースウェイ」をもじったユニークな「ラグナ青果」ステッカーやレイズ、ヨコハマタイヤ、D-SPORTのデカールを貼付。
加えて、まるでスーパーカーのような大胆なサイドインテーク、サイド出しマフラーも備わるなど、レーシングマシンンのようなスポーティな仕上がりです。
足回りにはレイズ製鍛造ホイールにヨコハマ「アドバンA050」のセミスリックタイヤを組み合わせ、KTV Ultimate製の車高調サスペンションを装着。車高も下げられ、独特な雰囲気を演出しました。
インテリアも同様に、レッドのフルバケットシートとSabelt製4点式シートベルト、レッド×ブラックのMOMOステアリングを装着。インパネ中央には3連メーターも装備され、エクステリアに負けずレーシーに仕上がっています。
市販化への現実味は低く、公開から現在に至るまで発売はかなわなかったものの、その自由な発想が当時人気の的となっていました。
ダイハツではその後開催された東京オートサロンでも、軽トラックをベースにしたカスタムカーを多数公開しており、軽トラックカスタマイズの“懐の深さ”を感じさせる斬新な展示を行っています。
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