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競争力はライバルと同等以上 アルファ・ロメオ・トナーレ PHEVへ試乗 足を引っ張る車重

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競争力はライバルと同等以上 アルファ・ロメオ・トナーレ PHEVへ試乗 足を引っ張る車重

HVシステムはコンパスのアップグレード版

アルファ・ロメオは「ゼロ・トゥ・ゼロ」というスローガンを掲げ、新モデル開発へ取り組んでいる。2022年にはゼロ・エミッションのバッテリーEVを提供していなかった同社が、2027年までに内燃エンジンを積んだクルマをゼロにする、という目標だ。

【画像】足を引っ張る車重 アルファ・ロメオ・トナーレ PHEVへ試乗 競合モデルと写真で比較 全130枚

その最初の1歩となるのが、今回試乗したアルファ・ロメオ・トナーレのプラグイン・ハイブリッドといえる。搭載するシステムは、基本的にはジープ・コンパス 4xeのアップグレード版だと考えていいだろう。

内燃エンジンは179psを発揮する1.3L 4気筒ガソリンターボで、6速ATを介して前輪を駆動。後輪は駆動用モーターが担い、トナーレの場合は122psと、コンパス 4xeから若干増強されている。

駆動用バッテリーもひと回り大きく、実容量で12kWhがうたわれる。航続距離は最長69kmとなり、多くの人が通勤の往復をまかなえるはず。CO2の排出量が小さく、英国では税制的に優遇される点も魅力といえる。

トナーレ固有の機能として触れるべきは、走行中に駆動用バッテリーの充電も可能なこと。長い下り坂などで惰性走行に入ると、自動的に50km/hが保持され、残った運動エネルギーは電気エネルギーとして回生される。

また市街地のゼロ・エミッション・ゾーンに備えて、駆動用バッテリーの充電量を温存することもできる。どちらもうまく機能していた。

車重は1835kg 軽快とは感じにくい身のこなし

アルファ・ロメオは、トナーレ PHEVをこのクラスで最もスポーティなSUVだと主張する。確かにフロントタイヤの反応は鋭く、ステアリングレシオはクイックで、ダイレクトな回頭性を叶えている。手のひらへの情報量は希薄ではあるが。

確かに、第一印象はスポーティかもしれない。だが、そんな心象は運転していると薄れていく。身のこなしが軽快とは感じにくい。DNAドライブモードをDのダイナミックへ切り替えても、連続するカーブを流暢にこなすことが得意とはいえないだろう。

この大きな要因になっているのが、軽くない車重。駆動用バッテリーなどの影響で、トナーレ PHEVは1835kgある。特にリア側の増加割合が多いため、リア・サスペンションは専用チューニングを受けている。

ヴェローチェ・グレードの場合、アダプティブダンパーも装備され、足まわりは適度に引き締められる。とはいえ、路面の起伏などを通過すると、ボディをフラットに保つことへ苦労している様子だった。

穏やかな気持で、郊外の道を流している時が最も好印象。Nのナチュラル・モードを選ぶと、少し硬めの乗り心地ではあるものの、減衰力とのバランスが良くなり滑らかな走りに浸れる。

特に高速道路の速度域ではしなやか。シートの座り心地も素晴らしい。

高品質で広々とした車内空間

パワートレインも、車重には少し手を焼いている。ダイナミック・モードを選んでも、最高出力が280psもあることを感じにくい。駆動用モーターが中間加速をアシストしていることは間違いないのだが、積極的というわけではない。

右足を深く倒してやっと、ソフトウエアが指示を出しているような印象だった。意欲的に運転したいという気持ちを、抑えるかのように。

ブレーキペダルの反応は、やや敏感かもしれない。日常的な速度域では問題ないのだが、少し強めに踏むと、緊急ブレーキをかけたようにハザードランプが点灯する事があった。

車線維持支援システムは、介入が少し過剰気味。ステアリングホイールへ制御が細かく入るものの、それが正しい方向ではないことも。改善の余地があるだろう。

トナーレの車内空間は広々としている。ダッシュボードの操作系は整然とレイアウトされ、把握しやすく操作性も良い。インフォテインメント・システムのソフトウエアは完成度が高く、扱いやすい。タッチモニターの表示もクリアだ。

アルファ・ロメオは、製造品質の向上に努めている。内装パネルなどはソリッドで、ラインがきれいに揃いフィット感は高い。

ただし、素材にはばらつきがある。オプションだというソフトなレザーは上質で、シフトパドルのタッチも好印象。しかし、安っぽいプラスティックやゴム引き仕上げの部品も混在している。

主要ライバルと同等以上の競争力

トナーレ PHEVは興味深いアルファ・ロメオだ。ブランドらしいパッションが滲んでいて、動的能力も低くはない。そして何より、現在の市場における主力モデルとしての訴求力がある。

20インチ・ホイールを履いたトナーレなら、駆動用バッテリーだけで走れる距離は69km。CO2の排出量は29-33g/kmで、会社からの貸与車両とした場合、税率は多くのライバルが12%なのに対し8%へ抑えられる。

実際に試乗した結果でも、氷点下の気温で48kmには届いていた。春の穏やかな天気なら、50km台中盤には届くだろう。このクラスのSUVとしては、優秀な数字といえる。

トナーレ PHEVの英国価格は、Tiグレードで4万5995ポンド(約740万円)から。装備内容などを比べると、ライバルのBMW X1やボルボXC40と同等以上の競争力を持つと考えられる。

新時代のアルファ・ロメオとして、合理的な内容に仕上がっているトナーレ。一方で、古くからのブランドファンの気持ちを掴むとはいえないだろう。この両者のバランスを叶えることができれば、ブランドの勢いは一層増すはずだ。

アルファ・ロメオ・トナー・プラグイン・ハイブリッド Q4ヴェローチェ(英国仕様)のスペック

英国価格:4万8495ポンド(約780万円/試乗車)
全長:4530mm
全幅:1840mm
全高:1600mm
最高速度:206km/h
0-100km/h加速:6.2秒
燃費:66.7-76.9km/L
CO2排出量:29-33g/km
車両重量:1835kg
パワートレイン:直列4気筒1332ccターボチャージャー+電気モーター
使用燃料:ガソリン
駆動用バッテリー:12.0kWh(実容量)
最高出力:280ps(システム総合)
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:6速オートマティック

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