現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > マツダと好対照!? なぜスバルはMTを減らしたのか

ここから本文です

マツダと好対照!? なぜスバルはMTを減らしたのか

掲載 更新
マツダと好対照!? なぜスバルはMTを減らしたのか

 新型インプレッサから新世代モデルへの刷新が進められるスバル。2017年のインプレッサシリーズ(XV含む)の受注は前年の約1.7倍と、その評判は上々だ。その裏で、失われてしまったスバルの魅力がある。そう、マニュアルトランスミッション=MT車の設定だ。

 発売目前の新型フォレスターからMTが廃止され、これでスバルのMT車は、OEM車を除いてWRX STI、BRZのみとなる。約10年前、2008年頃を思い返すと、インプレッサやフォレスター、レガシィにもMT車が存在。それも比較的広範なグレードに設定されていた。10年前より大幅にMTのラインアップを拡充したマツダと比べると実に対照的だ。なぜスバルのMT車は、ここまで少なくなってしまったのか。

日欧強力モデルが勢揃い!! 小型&ミドルSUV 買い得度で選ぶベスト5

文:大音安弘/写真:編集部、SUBARU

日本のスバル車、MT比率は僅か3%!!

日本国外では主にクロストレックとして販売されるXV。北米仕様には、日本にはない6MT車の設定もある

 まず、思い浮かぶのは、先進安全運転支援機能「アイサイト」の存在だ。

 スバルで標準化が進められるアイサイトにはMT車の設定がない。アイサイト普及のために、スポーツモデルなどMTである必然性のない車への設定が失われているのではないか。

 この点をスバル広報部に尋ねると、「アイサイトとMT車の設定については無関係」だという。ではなぜスバルMTが縮小しているのだろうか。

 スバル広報部によれば、MTの設定は「各地域のニーズを踏まえてラインアップしている」とのこと。つまりニーズの多い国では、MTの展開を行っているというのだ。

 現在、スバル全体のMT生産比率は、約5%に過ぎない。さらに日本でのMTの販売比率は、約3%(2017年度)に留まっている。

 一方で世界に目を移すと、北米が4.8%、欧州その他5.7%(2017年)と日本よりも高いシェアを持つ。

 このため、北米ではWRXとBRZ、インプレッサ、フォレスター、クロストレック(日本名XV)と幅広い車種に設定。

 欧州その他の地域では、WRX、BRZ、フォレスターなどを中心に、地域の需要によりMT車を設定している。

 欧州などは、導入モデルが絞られるうえ、搭載エンジンなど一部仕様が異なるものの日本に近いMT車が展開されるが、北米では導入モデルと販売台数の多さもあり、より幅広い車種となる。

 特にXV(クロストレック)の6速MT仕様が選べるのは、日本のファンからすれば羨ましいことだろう。

マツダ車は英独で約8割がMT車

フルSKYACTIV車、第二弾となった2012年発売の現行アテンザを皮切りに、“SKYACTIV-MT”を順次主要車種へ設定。2011年以前は一部モデルのみの設定だったマツダのMT車は大幅に増加した

 国内他社ではMT車の設定が縮小傾向にある。そのなかで個性を放つのはスバル同様に根強いファンに支えられているマツダで国産MTの雄となっている。

 そのラインアップはデミオ、アクセラ(スポーツ&セダン)、アテンザ(セダン&ワゴン)、CX-3、ロードスターと一部SUVを除き、ほとんどの車種が挙げられる。

 マツダ広報部によれば、「マツダ車を購入いただくすべてのお客様に、“走る歓び”を提供したいという考え方をベースに、車を操る楽しさを、より堪能できるMT車を、複数の車種で設定しています」という。

 このため日本での需要も高く、全体の7.4%(2016年)がMT車となっている。このMTの積極展開を支えるのが欧州でのMTニーズだ。ドイツ83%、英国84%とマツダ車のMT比率は圧倒的(共に2016年実績)。

 ただ、マツダでも欧州でのMT需要は少しずつ下降傾向があるという。

アイサイトをフルに生かすにはAT車が最適

スバルのアイサイト搭載車の多くは、全ての車速で先行車に追従するクルコン機能をもつ。MT車の場合、加減速を自動で行っても、速度に応じたクラッチ操作やギアチェンジは手動で行う必要がある

 日本全体でのMT車ニーズが既に1%台となっている現状を見れば、スバルのMTも健闘しているといえる。

 ただ、それでも日本販売の3%程度に過ぎない。さらに海外ニーズも圧倒的にオートマチック車となっている。

 また、アイサイトの設定との直接的な関係ないものの、「アイサイトください」という購入者が現れるほどの大ヒットが、非装着となるMT車の需要をより縮小させてしまったともいえる。

 それが、自動車ブランドとしての生き残りをかけたスバルの「限られた経営資源の選択と集中」による苦心の決断なのだ。

 ただ、ラストとなった現行型フォレスターのMT車も、1グレードのみで4.5%(2017年度)を販売しており、一部の根強いファンを持っていただけに少々残念に思う。

 世界的に見ても、インプレッサやXVのようにMTが残ったもののあれば、レガシィやアウトバックのように失われたものもあり、新型フォレスターにMTが残るのかが注目される。

 今後、アイサイトにMT仕様が追加されないとは言い切れないが、現状のステレオカメラのみで完全停止から再発進まで可能とする機能をフルに活かすには、オートマチック(=CVT)が最適であることは間違いない。

 そして、アイサイト装着車に乗ったことがあれば、誰にも実感する安全性の高さと使いやすさは、時代のニーズともマッチしている。これもゆるぎない事実だ。

 世界的に見ても、将来スバルのMTに乗るという選択は、ひとつの贅沢となっていくかもしれない。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】もう二度と作ることができない限定400台[インプレッサ22B-STiバージョン]はいまや3000万円以上!!!!
ベストカーWeb
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
佐藤万璃音を擁してWEC・LMGT3に参戦するユナイテッドAS、マクラーレン720S GT3エボの新リバリー発表
AUTOSPORT web
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
【詳細データテスト】プジョー5008 経済性は良好 走りと快適性は及第点 実用性や居住性は不満も
AUTOCAR JAPAN
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.9428.0万円

中古車を検索
フォレスターの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

346.5390.5万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.9428.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村