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GRMNヤリスに見る「国産車800万円超えのインパクト」はどんなものか!?

掲載 更新 43
GRMNヤリスに見る「国産車800万円超えのインパクト」はどんなものか!?

 今年の東京オートサロンでデビューしたGRMNヤリス。ベースのGRヤリスに対してボディや駆動系に徹底的に手を入れた仕様として登場した。それにより相当な走行性能のアップを果たしたようだ。

 が、価格もまた700万~800万円と爆上がり⁉ それだけのものなのか? また、過去の同価格帯のホットモデルについても比較し、GRMNヤリスの期待度の高さについて検証していきたい!!

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文/萩原文博、写真/トヨタ、スバル、ステランティス、ベストカー編集部

■オートサロン2022会場でひと際輝きを放ったGRMNヤリス

 2年ぶりに今年1月にリアル開催となったカスタムカーの祭典、東京オートサロン。厳しい入場制限が行われるなか、2年分のパワーを爆発させたイベントとなった。

 特に注目度が高かったのが自動車メーカーブース。ホンダは2022年中に発売する新型シビックタイプRにカムフラージュを施した状態で展示した。また、日産では今年6月から販売開始する新型フェアレディZの発表そしてカスタムカーを展示して大いに盛り上げた。

ホンダからはシビックタイプRがご覧の偽装を身に纏ったまま登場! ノーマルのシビックと比較すると、かなり過激なモデルとなりそうな雰囲気を全身からみなぎらせていた!

 そしてトヨタブースでは、発表されたばかりの売れ筋ミニバン、新型ヴォクシー/ノアのカスタムカーをはじめ、カスタマースポーツの最高峰であるGT3カテゴリーのGR GT3 Conceptや年内に発売予定の新型EV(電気自動車)、bZ4Xのカスタマイズカーを展示するなど、カスタマイズ領域は搭載するパワートレーンにこだわらない姿勢を示した。

今年発売されるトヨタ初の本格BEV「bz4X」にも早くもカスタマイズ仕様登場⁉ 純ガソリンモデルのGRヤリスとは対極の位置にあるモデルだが、あらゆるモビリティに対応するとしたトヨタの意思の表われでもある

 トヨタブースでひと際目立っていたのが、GRヤリスをフルチューンモデルとして、登場したGRMNヤリス。2022年夏頃より500台限定で発売予定となっていて、1月14日から専用webサイトで予約が始まった。

 車両本体価格731万7000~846万7000円というコンパクトカーとしては激高なGRMNヤリスはいったいどのようなモデルなのか。そしてこのクルマは今後どのような存在になるのかを予想してみた。

■過去に700万~800万円クラスの日本車にもかなり過激なクルマが揃っていた

 車両本体価格800万円の国産スポーツカーといえば、アルミモノコックボディを採用し、1990年に登場したミドシップスポーツカーの初代ホンダNSXが800万3000~860万3000円。

 2007年12月に766万円で販売開始したレクサスIS FはミドルセダンのレクサスISに最高出力423ps、最大トルク505Nmを発生する5L V型8気筒自然吸気エンジンを搭載したハイパフォーマンスセダン。

レクサス「IS F」。V8の5Lエンジン搭載のモンスターモデル。現行型では「RC F」にその座を譲ってモデルとしては消滅していたが、ビックマイナー後のモデルで「IS500」として復活の予定だ

 そして、レクサスIS Fとほぼ同時期に販売開始し、現在でも継続して販売されている日産GT-Rもデビュー当初は777万~834万7500円というプライスだった。GT-Rは現在、最も低価格なピュアエディションが1082万8400円であることを考えると、バーゲンプライスだったと言える。

R35GT-R (初期型)。 2007年12月に登場した当初は480ps/60kgmだった。現在では600ps/65.5kgmまで向上したが、値段も777万円~が約1100万円~にアップしてしまった


■GRMNヤリスはレースやラリー参戦のベース車にもなる特別なモデルだ

 国産の名だたるスポーツカーと車両本体価格では肩を並べているGRMNヤリス。1.6LターボのコンパクトカーがNSXやGT-Rと同じ価格帯というのはあまりにもナンセンスではないかという人も多いだろう。

 まず、GRMNヤリスとはどんなクルマなのだろうか。GRMNヤリスはGRヤリスをベースにモータースポーツの現場で鍛え上げた技術やパーツを多数投入し、軽量化およびボディ剛性強化を突き詰めた軽量スポーツ4WD。

こちらはサーキットパッケージ。ダウンフォースを獲得するために大型リアスポイラーを装着。一見ショップのチューンドカーにも見えるが、これをメーカー保証のつくトヨタ(GR)がやってしまうところが凄い

こちらが軽量化のために採用されたカーボンパネル。ノーマル車よりも複雑な形状をより軽く、強く制作することが可能。その分、手作業となるため、部品1点当たりのコストは大幅に高くなる

 ボディ剛性を向上させるために、スポット溶接打点数を545点増加し、構造用接着材を12m長く塗布。さらに軽量高剛性なカーボン(綾織CFRP)をフードやルーフ、リアスポイラーなどに採用したことに加え、リアシートを撤去し、乗車定員を2名としたことにより、約20kgの軽量化を実現している。

リアシートは撤去され、補強のロールバーが入る。レースやラリーのベース用途のため、いっさいの加飾は廃されている

■エンジンはトルクアップのみ、主に駆動系や足回りの強化がメインとなる

 搭載する1.6L直列3気筒ターボエンジンは、最高出力は272psのままだが、最大トルクは390Nmに向上。組み合わされるミッションは、エンジンパワーバンドを効率的に使用できるように1速~4速をクロスレシオ化し、駆動力を最適化したローファイナルギヤを組み合わせている。

 さらに、耐久レースなどでの信頼性向上のため、1、3~5速とファイナルギヤにSNCM材の採用およびショット処理を追加し、ショックトルク強度と疲労強度を大幅に向上させているのが特徴だ。

ミッションはクロスレシオ化とファイナルのローレシオ化を実施。ギヤの材質や処理も変更することにより、耐久性やシフト精度の向上も図っている


 そのうえ、LSDはGRヤリスの前後トルセン式に対して、GRMNヤリスは機械式を採用し、クラッチも強化メタルクラッチへと交換されている。

 そして、846万7000円のサーキットパッケージはカーボン製リアスポイラーをはじめ、ビルシュタイン製減衰力調整式ショックアブソーバー。18インチブレーキ&ホイールなどを装着。

このボディカラーではわかりにくいがカーボン製リアスポイラーの存在感が半端ない。ボディカラーはほかにホワイト/レッドが用意されるが、カーボン部分はすべて素地色となる

 一方、837万8764円のラリーパッケージは、専用のショックアブソーバー&ショートスタビリングセット、GRロールバー(サイドバーあり)、GRアンダーガードセットなどを装着し、ほぼレーシングカーに仕立てられているのである。

こちらは「ラリーパッケージ」よりGRヤリスに近い外観だが、やはりカーボンパーツが只物ではない感を醸し出している

ラリーパッケージの室内。ロールバーやレカロのフルバケットシートが装備。このフルバケットシートにはサイドエアバッグが内蔵されているというから驚き。シートベルトは標準の3点式だ

■700万円台のコンプリートカーには過去にも名車が存在する!!

 このように、市販のコンパクトカーと見れば、激高なGRMNヤリスだが、ナンバー付きのレーシングカーと考えると俄然、この800万円というプライスは決して高くない。

 例えば、2017年10月に450台限定で販売された先代WRX STIベースのSTIコンプリートカー、「S208」。「Sシリーズ史上最高の性能と質感を実現した究極のドライビングカー」を目指して開発されたS208はスバルWRX STIをベースにスバルとSTIが共同してエンジンや足回りを専用開発し、内外装に専用装備を追加したスバルハイパフォーマンスカーのトップエンドモデルだ。

NBRチャレンジパッケージ(上)とノーマル仕様のS208。スバルとSTIが究極のロードゴーイングカーとして開発したのがこのクルマだった。昨年新型となったWRXにもこの系統を継ぐモデルがリリースされるのだろうか?

 搭載されているEJ20型2L水平対向4気筒ターボエンジンは専用チューニングを施し最高出力329psを発揮。足回りは、11:1のクイックなステアリングギア比、フレキシブルタワーバーはじめSTI独自のパーツ類に加え、フロントには可変減衰力サスペンションDampMaticIIとフロント+リアのアクティブ・トルク・ベクタリングの効果により強靭でしなやかな乗り味とシャープなコーナリングを実現している。

 また、STI製BBS 19インチ鍛造アルミホイールや255/35R19タイヤ、ドライカーボントランクリップスポイラーの採用により走行性能も向上。外観には、大型フロントアンダースポイラー、インテリアにもSTI製RECAROバケットタイプフロントシートや専用スポーツメーターを採用するなど、WRX STIが参戦し続けているニュルブルクリンク24時間レースを想起させるモデルとなっている。

S208の登場はインプレッサ時代のWRCイメージからの進化もあったのかもしれない。WRXになってからは、ニュルブルクリンクなど耐久レースでの活躍に軸足を移していたからだ

 この450台限定で販売されたS208の販売価格は626万4000~710万6400円だった。現在、S208の中古車は約6台流通していて、約660万~約888万円と新車時価格を上回るプレミア価格となっている。

■海外コンパクト車にも超絶ホットなモデルが存在した!

 また、GRMNヤリスと同様にコンパクトカーながら、フルスペックモデルの車両本体価格が845万6400円というモデルがあった。それがアバルト695ビポストフルスペック仕様だ。

 コンパクトなボディにレーシングカー直系のパワートレーン、そしてハイパフォーマンスな走行性能とGRMNヤリスとアバルト695ビポストはほぼ同じコンセプトだ。

アバルト695ビポスト。見た目はフィアットのホットハッチ、アバルトそのものの佇まいだ。ただ、フロントドアガラスを見て欲しい。段差が見えるような……

 アバルト695ビポストフルスペック仕様は599万4000円の標準モデルにサーキット用スポーツキットをフル装備したモデル。最高出力190psまで向上した1.4L直列4気筒ターボエンジンにはラリー車などに採用されるシンクロ機構のないドグリングミッションの5速MTを搭載。まさに瞬時のシフトチェンジが可能な競技用ミッションだ。

 左右のウィンドウはポリカーボネート製のため、上下に昇降しない。引き戸式の小窓が設置され、これを利用してコミュニケーションを行う必要がある。

そのフロントガラスを拡大してみる。軽量化のため、単にポリカーボネート製に換装されただけでなく、このスライド小窓しか開閉しない。窓周辺の部品もことごとくカーボン化されている

 外観にはカーボン製のパーツを随所に使用し、マフラーにはアクラヴィッチ製を採用。ホイールはOZの専用モデルで、タイヤサイズは215/35R18という超偏平タイヤを装着。

 ビポストというのはイタリア語で2人乗りという意味で、アバルト695ビポストはリアシートが取り外され、その代わりにボディ剛性を向上させるチタン製のバーが装着される。アルカンターラとレザーを表皮に使用したフロントのバケットシートには、3点式シートベルトに加えて、サベルトの4点式シートベルトを装着。

ビポストは2人乗りの意。GRMNヤリス同様、やはり2シーター化されているが、さらに4点式シートベルトも標準。ただ、シート自体にはイタ車のオシャレ感も織り交ぜられているところはさすがだ

 0-100km/h加速5.9秒というハイパフォーマンスを発揮するアバルト695ビポストにふさわしい演出が内外装に施されている。

 アバルト695ビポストのフルスペック仕様は限定10台が日本国内で販売されたが、中古車は現在約3台流通していて、価格帯は約728万~約758万円と高い残価率を誇っている。

 S208、アバルト695ビポストの2モデルの中古車事情から考えてみると、GRMNヤリスもほとんど値落ちすることはなく、新車価格を維持、もしくはそれを上回るプレミア価格となるのは間違いないと言える。

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みんなのコメント

43件
  • ラリーのホモロゲーションモデルなら欧州車と比べたらバーゲンプライス。

    でも女房をだまして買ったら間違いなく怒られる車。
  • ナンバー付きのレーシングカーという表現があるがGRヤリスをラリーに参加する為にこのレベルにすると間違いなく300万以上かかる。スポット増し打ち500ヶ所以上、構造接着剤の延長などメーカーでしか出来ない部分も多いしWRCからフィードバックされた空力パーツはカーボンと街場のチューナーの及ばない部分は数知れず。全日本やタイのラリーに参戦を考えている人にはトヨタからのプレゼントだろう。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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