現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ「ポルシェデザイン」は時代を超越するのか? 偉大なる911を生み出したカーデザイナーの哲学。

ここから本文です

なぜ「ポルシェデザイン」は時代を超越するのか? 偉大なる911を生み出したカーデザイナーの哲学。

掲載 3
なぜ「ポルシェデザイン」は時代を超越するのか? 偉大なる911を生み出したカーデザイナーの哲学。

1972年に設立された「ポルシェデザイン」。スポーツカーを愛するひとのための「高級ライフスタイルブランド」として知られています。実はかつて私も混同していたのですが、クルマの「ポルシェ」をデザインしているのは自動車メーカーである「ポルシェAG」のデザイン部門であり、ポルシェ・デザインとはポルシェAGから独立した別の組織なんです。
時計のほか、さまざまなプロダクトのデザインから開発、製造、販売までを主業務としていて、そこから生み出された製品は「ポルシェデザイン」の名前で販売しています。紆余曲折あり、現在はポルシェAGの傘下となっていまですが、一般的にポルシェ・デザインとは「ブランド名」と言う解釈が正しいかと思います。


良いデザインは誠実でなければならない

クルマ、何に乗ってるの? 僕たちの愛車紹介 #13|ポルシェ 911 タイプ993

ポルシェデザインの創業者であるフェルディナンド・アレクサンダー・ポルシェ(以下 F.A.ポルシェ)は、ポルシェの創業者であるフェルディナンド・ポルシェの孫であり、あの初代ポルシェ911(俗に言うナローポルシェ)をデザインしたカーデザイナーなのです。
ポルシェ911と言えば、最も多くの人が賞賛しているカーデザインではないでしょうか? ナローポルシェから993型まで30年以上、基本デザインを変えなかった事がすごいのですが、エンジンが水冷になった996型以降も、現代的に進化させつつ基本的なシルエットや立体構成は引き継がれています。
F.A.ポルシェは、「良いデザインは誠実でなければならない」と言う哲学があったそうです。物体の機能を分析する事でカタチが明らかになるという、いわば「究極の機能美」を追求していたのですね。バウハウス起点の、いかにもドイツらしい思想で、また今日までのプロダクトデザインにおける基本的な考え方のひとつです。


新旧911のデザイン比較

さて今回、ポルシェデザインの発表会場となった外には、そのF.A.ポルシェがデザインしたナローポルシェの次の世代である、930型ポルシェ911と、最新の992型911カレラTが並んで展示していました。
この2台をじっくり見ていたのですが、基本的なデザイン構成は良く引き継がれているなと感じる一方、思いのほかリア周りのボリューム感が違うんだなとも思いました。930型の方は、リアコンビランプがかなり下にあり、リアの造形が大きくスラントしています。前からの造形の流れを考えると、リアのボリュームが下がっているんですね。
それに比べて最新の992型911は、カーデザインの定石通り、ボディの軸がリアにも表現されているので、リアコンビランプ周りもだいぶ高い位置に移動しています。
一般的にボディの軸はしっかり見えた方がクルマの塊感が出てデザインの魅力が出るものですが、930型を見ていると、そのような理屈だけでも無いんだなと感じさせます。
あの下がったリアデザインは911の大きな特徴で、魅力的です。


ちなみに日本車には、ポルシェデザインが関与したクルマがあります。特に公表されていたのは、スバル・レガシィ・ブリッツェンです。3代目、4代目レガシイの特別仕様車として販売されたこのクルマは、フロント、リアバンパー、ホイール、グリル、リアスポイラーをポルシェデザインがデザイン、監修しました。
スバルとボルシェといえば、水平対向エンジンを作り続けている両雄ですが、その2ブランドのコラボということで、当時話題になりましたね。その他、公表されていないが関与をウワサされた日本車もいくつかありました。


ポルシェデザインの名作時計を現代向けにリファイン

さて、そんなポルシェデザインですが、1972年に創業して最初の仕事が、ポルシェAGから依頼された「クロノグラフの腕時計」でした。
今でこそクルマと時計などのライフスタイル商品を併売することは、主に高級ブランドで盛んに行われているのですが、そのようなクルマとライフスタイルの融合を、この時期に考えていたのは驚きです。
最初に出した腕時計「クロノグラフ1」は、ケースやブレスレット含めて完全にブラックの腕時計でした。ポルシェ911のコックピットのように、機能性と最適な読みやすさに重点を置く事で、時計業界に革命を起こしたそうです。911のメーターがそのまま腕についているような、とてもアイコニックなデザインでした。
そのデザインを、最新の技術で甦らせたのが「クロノグラフ1-Hodinkee2024エディション」です。世界有数の時計プラットフォームである「ホディンキー(Hodinkee)」とのコラボレーションで生まれたこの時計は、オリジナルの「クロノグラフ1」を再現しただけでなく、エイジングされたようなヴィンテージ感あるインデックス部や、曜日を漢字で表示するなど(英語表記と切り替え可能)、新たな試みもあり大変魅力的な時計に仕上がっていました。
ちなみに私の仕事仲間であるカーデザイナーも、時計好きな方が多かったですね。昔からクルマと時計は親和性が高いプロダクトだと思います。


現在、プロダクトデザイン事務所は日本、海外問わず、メーカーからの依頼が少なくなっているのではないでしょうか? 私の肌感覚として、特にカーデザインはその傾向が強いと感じます。
理由としては、社会のトレンドの流れが早すぎるので、どのメーカーも開発日程を短縮しており、メーカーが時間をかけてデザイン事務所に外注するメリットが無くなった事ですかね。純粋なデザインの提案だけでは難しい時代だと感じます。
一方ポルシェデザインは、デザインだけでなく開発、製造、販売まで手がける、いわばデザイン事務所自体がメーカーであり、ブランドになっているという稀有な会社です。
そのような事業形態を70年代初頭に作り出したのは、やはり起業家一族であったF.A.ポルシェの才覚なのだろうと思いました。


INFORMATION
ポルシェデザイン クロノグラフ1 ホディンキー 2024 エディション|Porsche Design Chronograph 1 Hodinkee 2024 Edition
ケース:40.8mmチタン製ケース
ムーブメント:クロノグラフ、曜日・日付表示
パワーリザーブ:48時間
ブレスレット:チタン製
限定:350個
161万7000円(税込)
https://www.hodinkee.jp/articles/porsche-design-chronograph-1-limited-edition-hodinkee

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

伝説の名車カウンタックって、結局何が凄かったの?
伝説の名車カウンタックって、結局何が凄かったの?
ベストカーWeb
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれなアイテムから悪趣味なものまで 34選 前編
AUTOCAR JAPAN
彼女のトヨタ「86」は320馬力のターボ仕様! 実はスーチャーから乗り換えた2台目…日本全国の峠を巡るのがライフワークです
彼女のトヨタ「86」は320馬力のターボ仕様! 実はスーチャーから乗り換えた2台目…日本全国の峠を巡るのがライフワークです
Auto Messe Web
約79万円! 高級「“ビンテージ風”バイク」発表! “ゴツかわ”デザイン&専用装備がイイ! まさかの“世界的ブランド”とコラボした「ユニモークMK」発売!
約79万円! 高級「“ビンテージ風”バイク」発表! “ゴツかわ”デザイン&専用装備がイイ! まさかの“世界的ブランド”とコラボした「ユニモークMK」発売!
くるまのニュース
ジャガーが衝撃的「次世代モデル」初公開 見たことのない斬新デザインの大型セダン、2026年発売へ
ジャガーが衝撃的「次世代モデル」初公開 見たことのない斬新デザインの大型セダン、2026年発売へ
AUTOCAR JAPAN
よく聞く「海外専売の日本車を国内導入して」の声! パッと見売れそうだけそうはいかない理由とは
よく聞く「海外専売の日本車を国内導入して」の声! パッと見売れそうだけそうはいかない理由とは
WEB CARTOP
第1回「CCGってなんだ?」──新連載:CCGとクルマでどうする?
第1回「CCGってなんだ?」──新連載:CCGとクルマでどうする?
くるくら
6速MT搭載の日産「悪魔の“Z”」実車初公開! 旧車デザインで「伝説のブルー」採用! 直6L搭載した「ワイドなデビル240Z」 ENEOSなぜ展示? 米で披露
6速MT搭載の日産「悪魔の“Z”」実車初公開! 旧車デザインで「伝説のブルー」採用! 直6L搭載した「ワイドなデビル240Z」 ENEOSなぜ展示? 米で披露
くるまのニュース
【羨望のSUV】ランドローバーの原点「ディフェンダー」が躍進中。その原点といまを解説
【羨望のSUV】ランドローバーの原点「ディフェンダー」が躍進中。その原点といまを解説
カー・アンド・ドライバー
欧州の新世代ユーザーは「未知のブランド」も恐れない?──パリ・モーターショー2024<外国車編>【Movie】
欧州の新世代ユーザーは「未知のブランド」も恐れない?──パリ・モーターショー2024<外国車編>【Movie】
くるくら
【現役デザイナーの眼:日産ノート/オーラ】今後のトレンドは『小さな高級車』?
【現役デザイナーの眼:日産ノート/オーラ】今後のトレンドは『小さな高級車』?
AUTOCAR JAPAN
ミニ・クーパー:英国車のアイコン ランドローバー・レンジローバー:醸し出す特別感 誇らしきUK製モデル(1)
ミニ・クーパー:英国車のアイコン ランドローバー・レンジローバー:醸し出す特別感 誇らしきUK製モデル(1)
AUTOCAR JAPAN
後ろ姿って気にならない? デザインに時代が追いつかなかった…[見返り美人]なクルマたち
後ろ姿って気にならない? デザインに時代が追いつかなかった…[見返り美人]なクルマたち
ベストカーWeb
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれアイテムから悪趣味な改造まで 34選 後編
海外で話題を集めた「クルマの流行」 おしゃれアイテムから悪趣味な改造まで 34選 後編
AUTOCAR JAPAN
フランスが世界をリードした時代 坂道発進が苦手 S600クーペの思い出【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】
フランスが世界をリードした時代 坂道発進が苦手 S600クーペの思い出【復刻・徳大寺有恒「俺と疾れ!!」】
ベストカーWeb
BMW 「4シリーズ グランクーペ」がマイナーチェンジ! LEDヘッドライトの変更で精悍さが向上。【新車ニュース】
BMW 「4シリーズ グランクーペ」がマイナーチェンジ! LEDヘッドライトの変更で精悍さが向上。【新車ニュース】
くるくら
ロータスのハイパー電動SUV「エレトレR」が体現する近未来のクルマ造り
ロータスのハイパー電動SUV「エレトレR」が体現する近未来のクルマ造り
@DIME
超カッコいい! 1000万円超えのレクサス「スゴいセダン」 精悍エアロ×V8 5.0L採用!? 「IS500 F SPORT 1st仕様」とは
超カッコいい! 1000万円超えのレクサス「スゴいセダン」 精悍エアロ×V8 5.0L採用!? 「IS500 F SPORT 1st仕様」とは
くるまのニュース

みんなのコメント

3件
  • tom********
    ポルシェデザインの時計やステアリングやヘルメット
    どれも高価で個性的でしたが
    単体で見ると優れたデザインなのかもしれないが
    どう合わせるの?と悩むデザインでした
    あのステアリングが似合う車って何?
    あのヘルメットでどんなオートバイに乗る?
    あの時計にどんな服装を合わせるのか?
    結局は調和がとれなくて浮いてしまうデザインでした。
  • zer********
    まずポルシェを所有するところから始めないとw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村