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もう二度と出てこない!? オーテックから生まれた尖った名車5選

掲載 更新 39
もう二度と出てこない!? オーテックから生まれた尖った名車5選

 日産車のカタログモデルを大人びた雰囲気にカスタマイズした「AUTECH」仕様や、福祉車両をはじめとした特装車を手掛けるオーテックジャパン。特にカスタマイズモデルは、マニアックなモデルを求める日産ファンの受け皿となっている。

 そして「AUTECH」仕様は、ノートやセレナ、キックス、エクストレイルなど、日産車の人気モデルを中心に設定車が年々増えている。

しつこいけど言いたい 欧州マイクラ カッコいいのになぜ入れない??

 それは歓迎すべきことなのだが、エンジンに抜本的な手を加えるなどした過激なモデルはオーテックジャパンの設立30周年を記念して、2016年に30台限定で販売された「マーチボレロA30」が最後。

 しかし、オーテックジャパンが手掛けた過去のモデルにはマーチボレロA30のほかにも、スペシャルで過激なモデルがいくつかある。当記事ではそんなクルマたちを振り返ってみた。

文/永田恵一  写真/オーテックジャパン

【画像ギャラリー】今年で35周年のオーテックジャパンが手掛けた尖ったクルマを写真でチェック!!

■スカイラインオーテックバージョン(R32) [1992年登場]

 1989年にスカイラインとしては8代目モデルとなるR32型で復活したGT-Rは2ドアのみだった。しかし、ハコスカと呼ばれた3代目モデルから誕生したスカイラインGT-Rは4ドアセダンから設定されたことにも影響されたのか、R32型の4ドアGT-R的なモデルとして1992年に登場したのがオーテックバージョンである。

スカイラインは本来、GT(グランツーリスモ)的要素が強いクルマ。そこで『スカイラインオーテックバージョン(R32)』はロングドライブにおけるドライバーの疲労低減を目指して作られた

 R32スカイラインのオーテックバージョンは、ボディから見ていくとGT-R同様のグリルは持つものの、GT-Rのようにワイドボディ化はされていない5ナンバーサイズの全幅。

 インテリアもシートの表皮こそエクセーヌに変更されているが、シートの形状はGT-Rに付くホールド性に優れた一体型ではなく基準車のものだった。

 パワートレーンはGT-RのRB26DETT型を6連スロットルはそのままに、ピストンなどにも手を加えてノンターボ化したRB26DE型エンジン(220馬力/25.0kgm)を搭載。これにテールスライドした際など必要な時だけ4WDになるアテーサET-S、トランスミッションは4速ATが組み合わされた。

オーテックオリジナルのカムシャフトとピンストンを組込んだRB26DEエンジン。ECUチューンも相まって、ふけあがりの軽いNAらしいエンジンに仕上がっている

 つまり今になって振り返ると、R32スカイラインのオーテックバージョンは、基準車のR32スカイラインに設定されていた2L直6ターボ搭載の4WDグレードであるGTS-4の4ドア+AT車を、RB26DEのエンジンに変更したモデルだったことがわかる。

 そのような成り立ちだったこともあり、先に筆者は「4ドアGT-R的なモデル」という言葉を使った。

 R32スカイラインのオーテックバージョンはコンセプトやボリュームの小さくない甲高い音を奏でながら加速していく点などインパクトは強かった。

 しかし、1480kgという車重に対し「動力性能という意味での刺激やパンチに欠ける」というところも否めず、「GT-Rをそのまま4ドアにして欲しかった」、「2.6LのNAエンジンを搭載するならMTのFRにして欲しかった」といった声も少なくない。

■ステージアオーテックバージョン260RS [1997年登場]

 1993年に登場したC34型ローレルとR33型スカイラインをベースにしたステーションワゴンとして1996年に登場した初代ステージアは、ローレルやスカイラインも含め低迷していた4ドアセダンが多かった当時の日産車では、堅調に売れていたモデルだった。

 という背景もあったためなのか、初代ステージアに広い目で見れば遠くない関係のあるR33型スカイラインGT-Rの中身をほぼそのまま移植したのがステージアオーテックバックバージョン260RS(以下260RS)である。

獰猛でいながら、ドライバーの右足に忠実に答える280頭の馬、それが『オーテックバージョン260RS』(カタログより一部抜粋)

 260RSはR33型スカイラインGT-RのRB26DETT型エンジンと4WDのアテーサET-Sというパワートレーン、それにブレンボ製ブレーキなどを搭載。つまり、簡単に言えば見えないところは初代ステージアからR33型スカイラインGT-Rになっており、パワーアップに対応するための各部バーを追加するなどのボディ補強も施された。

 ただし、タイヤはR33型スカイラインGT-Rほど太くはなっていない。

 インテリアの変更は3連メーターや1万回転まで刻まれたタコメーターが目立つ程度だったが、エクステリアは専用の大型ルーフスポイラーをはじめとしたエアロパーツが装着されるなど迫力あるものとなっており、歴代日本車最強ステーションワゴンはおそらくコイツである。

■スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー(R33) [1998年登場]

 GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーは、1998年にスカイラインの誕生40周年を記念して作られたモデルだ。

スカイライン誕生40周年記念に製作された『スカイラインGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー』。R33GT-Rをベースに4ドア化してチューンされたこのクルマは、わずか422台のみ製作された

 見た目は、一見フロントマスク以外に強い迫力は感じないものの、写真を見てのとおりR33型スカイラインGT-Rを4ドアセダンにしたモデルである。

 GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーは中身がGT-Rであるということ以上に凄いのが、インテリアとエクステリアの仕上がりだ。

 インテリアはフロントシートをGT-Rと同じ一体型バケットシートとしたのに加え、リアシートも左右独立のバケット風となった2人掛けに変更されているのだった(乗車定員4人)。

 エクステリアも2ドアのGT-R同様にワイドボディ化され(特にリアのフェンダーのワイド化は大変な手間だ)、タイヤも2ドアのGT-R同様の245幅を履く。

 なお、GT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリーの価格は約500万円と2ドアのGT-Rの標準車と同等だった。GT-Rを4ドアにするという手の込んだ作りのモデルだったことを考えると、価格は超リーズナブルだった。

■シルビアオーテックバージョンK’s MF-T [1997年登場]

 1993年登場の6代目シルビアであるS14型はボディサイズの拡大などにより、クルマ自体のポテンシャルは高かったものの、売れゆきでは大ヒットした先代モデルのS13型のような勢いは失ってしまった。

 それでもポテンシャルの高さにより、チューニングのベース車としてはFR車ということもあり魅力的ではあった。

 だたし、その点に関しては「現在のトヨタ86やスバルBRZ(どちらも次期型が出るまで生産終了となっている)と違って、ノーマルのまま乗るのは厳しいため、買ってからチューニングにお金が掛かる」という声も当時は多かった。

 このような声に対する日産の回答ともいえたのが、S14型シルビアの末期モデルに設定されたオーテックバージョンK’s MF-Tである。

走りの正統派チューンが施された『シルビアオーテックバージョンK’s MF-T』。IHI製ターボチャージャーやフジツボ製専用エキゾーストシステムを採用し、専用サスペンションも奢られた

 オーテックバージョンK’s MF-Tは機能面をエンジンから見ていくと、専用タービンとマフラーの採用、それに伴うコンピューターやインジェクターの変更により最大トルクは基準車と同じ28.0kgmながら、最高出力は220馬力から250馬力に向上。

 足回りも専用スポーツチューンドサスペンションに、ホイールはサイズこそ16インチのままながら専用品を採用し、タイヤも205幅から215幅となったリプレイスのブリヂストンポテンザRE710Kaiを組み合わせた。

 インテリアはステアリングがエアバッグ付きのモモに変更されたくらいだが、エクステリアでは巨大なリアスポイラーが装着されたのが大きな特徴。

 価格は299万円とターボエンジンを搭載する標準のK’sのMTが239万5000円だったのを考えると、「差額で自分好みにチューニングしたほうがいいか」とも感じるものだったが、それでもメーカーからS14シルビアのポテンシャルを引き出したモデルが出たという意義は大きい。

 また今になるとS14シルビアのオーテックバージョンK’s MF-Tは、ノーマル状態での性能をS14型から大きく向上したシルビアとしては、シルビア最後のモデルとなった1999年登場のS15型の予告編的なモデルだったのかもしれない。

■オーテック ザガートステルビオ [1989年登場]

 ザガートステルビオは2代目レパードをベースにした車体に、イタリアのザガート(イタルデザインのようなデザイン工房)がデザインしたエクステリアを組み合わせた、今のところオーテックジャパンが市販したなかでは唯一となるオリジナルボディを持つラグジュアリークーペである。

唯一無二のデザインの『オーテック ザガートステルビオ』。このクルマの形は1986年に製作されたアストンマーティンV8ヴァンテージ・ザガートに似ている

 エクステリアはフェンダーに埋め込まれたサイドミラーを持つ点など、全体的にイタリアのデザインらしいアヴァンギャルドなもので、ボディはアルミ製、ボンネットはカーボン製だった。

 インテリアは2代目レパードに近いものながら、ウッドとレザーを多用した高級感溢れるものだった。

オーテック ザガートステルビオの内装。インパネやシートは本革張りで豪華なつくりとなっていた

 また、エンジンは2代目レパードと同じ3LのV6DOHCターボながら、オーテックジャパンの手により255馬力から280馬力にパワーアップされ、タイヤサイズも拡大されていた。

 200台限定、1870万円という価格で販売されたオーテックザガートステルビオは、当時のバブル時代を象徴するクルマたちの究極だったのかもしれない。

■今年9月でオーテックジャパンは35周年

 ザガートステルビオを除くここに挙げた4台が地味ながら凄かったのは販売期間こそ短かったにせよ、限定車ではなかった点でもある。

 効率が求められる現代においてこういったクルマを今後発売するのはオーテックジャパンでも難しそうなだけに、現在も乗っているユーザーには例年なら秋に大磯ロングビーチで行われるファンイベントである里帰りミーティングに参加できるよう、大切に乗ってほしいと強く思う。

 そして、オーテックジャパンは今年9月で創立35周年を迎え、2026年には創立40周年になる。

 特に40周年記念車の登場は充分に可能性がありそうなだけに、その時には35台、40台限定という少量でもいいし、価格が高くてもいいから、オーテックジャパン史上もっとも尖ったモデルの登場を期待したい。

【画像ギャラリー】今年で35周年のオーテックジャパンが手掛けた尖ったクルマを写真でチェック!!

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みんなのコメント

39件
  • 名車っても個々人で違うがプリメーラは入ってても良いと思うのだが。
  • オーテックバージョンといえばA31セフィーロを一番に思い浮かべる。当時ちょっとだけ流行りましたよね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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