飛ぶ鳥を落とす勢いのSUV。2017年はスバルXVやマツダCX-5の新型が登場するなどますます活況だ!! そんなSUVが好調に売れる理由は、居住性&ユーティリティとカッコよさの両立。『SUV悪路走破性ランキング』では、XVとCX-5が高評価を得たが、今回は居住性&ユーティリティを渡辺陽一郎氏が評価。採点はボディサイズの違いを加味しつつ、クラスレスで行った。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
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ベストカー2017年5月26日号
コンパクトSUV最良はヴェゼル、次いでXV
まずはコンパクトクラスだが、最も優れているのはヴェゼルだ。ボディサイズのわりに後席の足元空間が広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る同乗者の膝先空間は握りコブシ2つ半を確保している。後席はLサイズセダン並みの余裕を持つ。
しかも、ヴェゼルは燃料タンクを前席の下に搭載するから、後席を床面へ落とし込むように小さく格納できる。この状態では、床の低いフラットで大容量の荷室になる。
リアゲート開口部は下側の地上高が650mmと低く、重い荷物も積みやすい。後席を跳ね上げると、車内の中央に背の高い荷物も積める。
続いてコンパクトクラスではスバル XVだ。荷室の広さとアレンジはヴェゼルに比べて平凡だが、ベースがインプレッサスポーツだから、後席の頭上と足元の空間はヴェゼルと同様に広い。座面をもう少し柔軟にするといいが、5ドアハッチバックがベースだから視線と座る位置は適度だ。
さらに続いては三菱RVR。発売から7年を経過して設計は古いが、空間効率は優れている。全長は4295mmと短いが、後席の膝先空間は握りコブシ2つ弱。荷室の面積も広く、機能はシンプルだが使いやすい。
なお上記の3車種は、ボディは短くてもホイールベースは2600mmを上まわり、空間効率の優れたボディ形状だから、居住性が快適で荷室も使いやすい。街中で運転しやすいコンパクトなSUVながらファミリーカーにも適する。合理的な設計だ。
ミディアムクラスで傑出するのはエクストレイルとCX-5
ミディアムクラスではエクストレイルがトップ。車内が広く、後席の膝先空間はヴェゼルと同じ測り方で握りコブシ3つ弱に達する。SUVの中でも特に余裕があり、床と座面の間隔も適度で快適だ。
荷室の容量も大きく、防水処理を施した。汚れた遊びのグッズも気兼ねなく積める。この気配りはSUVの気分も盛り上げるから、荷室を使う機会が少ないユーザーも楽しめるだろう。
これに続くのがCX-5だ。現行型になって内装の質を高め、シートの座り心地も向上させた。特に注目されるのが後席で、先代型は作りが少し粗かったが、現行型は座面を適度に柔軟に仕上げている。
少し硬めながらも乗員をしなやかに支え、欧州製のSUVやワゴンに似た座り心地だ。長距離の移動も快適に楽しめる。膝先空間は握りコブシ2つぶんだから特に広くないが、前席の下に足が収まってリラックスできる。前席も肩まわりのサポート性がよく、荷室の機能は平凡ながらシートをしっかりと作り込んだ。
続いてハリアー。車内は広く、後席の膝先空間もエクストレイルと同程度になる。座り心地は平均的でCX-5に比べると少し見劣りするが、売れ筋グレードに使われる上級ファブリックと合成皮革のシート生地は、肌触りがよくて見栄えも上質だ。視覚的な面で居住性を向上させた。
さらに続くのがフォレスター。最低地上高は220mmで余裕があり、なおかつ床が低めだから乗降性がいい。後席は床と座面の間隔が充分に確保され、膝先空間はエクストレイルと同等に確保した。
以上のように、ミディアムサイズのSUVはボディが相応に大きく、レクサスNXやアウトランダーを含めて、前後席ともに頭上と足元の空間に余裕がある。差がつくのは、広さよりもシートの座り心地と、荷室の防水処理などユーティリティの気配りだ。
そこでファミリーユーザーが購入する時は、特に後席に注意したい。前席に比べて開発する時の優先順位が低く、広さ、座り心地ともに、前席に比べると車種ごとのバラツキが大きいからだ。
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