社内のゴタゴタに加えて、車種のモデルライフの長期化などにより、新車販売に危機感がある日産。
その逆風の日産車のなかで、2019年の登録車の年間新車販売台数でコンパクトカーの「ノート」が第2位、ミニバンの「セレナ」が第6位にランクイン。この次となると、24位に「エクストレイル」なので、現在日産はノート、セレナに加えて、軽自動車の「デイス」「ルークス」が販売の中心車種という寂しい現状だ。
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しかし、セレナはトヨタ「ヴォクシー/ノア/エスクァイア3兄弟」、ホンダ「ステップワゴン」という強豪ひしめくクラスで最上位というのは、それだけ魅力があるということは間違いない。そこで、今回は販売開始から間もなく4年を迎える現行型セレナの中古車事情を紹介しよう。
文/萩原文博
写真/編集部、NISSAN
【画像ギャラリー】検討している人はもう一度チェックしておきたい! 現行型セレナの詳細
■機能性とバリエーションが豊富な優等生
5代目となる現行型セレナは2016年8月に登場した。ライバル車のヴォクシー/ノアが2014年1月、ステップワゴンが2015年4月なので、後発モデルということになる。その甲斐あって、高いユーティリティや先進装備などライバル車をリードしているのが特徴だ。
まずはクラスNo.1の室内長と室内幅を実現した広い室内空間。先代モデルより180mm室内長が長くなったことで、1~3列目まですべてのシートでニースペースの空間が拡大。3列目シートでも快適に移動できるようになっている。
2019年8月にマイナーチェンジした日産「セレナ」。e-POWERなども追加し、一時減速した販売台数を復調させることに成功した
セレナの2列目、3列目。5ナンバー枠に収まるミニバンのなかでは居住性が最も優れている
続いて高いユーティリティでは、足先をクルマの下に入れて動かすとリアスライドドアが自動で開閉するハンズフリースライドドア。お子さんを抱っこしていたり、買い物をして両手が塞がっていたりする時に便利な機能だ。
そして、狭い駐車場などで、重宝するデュアルバックドア。ガラスとガーニッシュ部分のバックドア上部だけで開閉可能となっている。
そして、先進性では、ミニバンで世界初となる同一車線自動運転技術「プロパイロット」を搭載。高速道路などの自動車専用道路において、先行車両との車間距離を一定に保つように速度を調整するだけでなく、車線中央を走行するようにステアリング操作も支援する機能で、ロングドライブなどでのドライバーの負担を軽減する機能だ。
現行型セレナに搭載されているパワートレインはデビュー当初は2L 直列4気筒ガソリンエンジン+CVTそして、スマートシンプルハイブリッドという2Lエンジンにモーターアシスト機能を追加した2種類だった。
そして、2018年2月に搭載する1.2L ガソリンエンジンで発電し、その電力でモーターを駆動させて走行するシリーズハイブリッドの「e-POWER」を搭載。JC08モードで26.2km/Lという圧倒的に優れた燃費性能によってライバル車を販売台数で大幅にリードした。
そして、2019年8月にマイナーチェンジを行い、内外装を一新。売れ筋モデルのハイウェイスターは日産のアイコンであるダブルVモーショングリルをベースとした大きなフロントグリルを採用した押し出し感を強めた外観デザインとなった。
同時に、アクティブLEDヘッドライトシステムや踏み間違い衝突防止アシスト、後側方衝突防止支援システムなど、360°の安全を提供する「全方位運転支援システムを標準装備とした。
セレナはカタログモデルに加えて、カスタマイズモデルが多いのも特徴のひとつ。ワークスブランドのオーテックが手がけており、パーツのフィット感やクオリティの高さはお墨付きで、中古車となってからも人気が高くなっている。
デビュー当初はライダーが設定されていたが、2017年11月にライダーに変わって「セレナNISMO」が登場。続いて、プレミアムスポーティを追求した「セレナオーテック」が2018年1月に登場。マイナーチェンジの際にセレナNISMOは絶版となったが、2019年10月にセレナオーテックも標準車に続いてマイナーチェンジを行っている。それでは、現行型セレナの中古車相場を見てみよう。
オーテックジャパン創業の地である湘南・茅ヶ崎の「海」と「空」のイメージから想起したブルーが特徴の「セレナオーテック」。ワンランク上の仕立てを求める層に人気となっている
■中古車価格は依然下落傾向 お得な登録未使用車も多数流通
2020年6月現在、現行型セレナの中古車は約2730台流通している。3カ月の2020年3月の時点では約2200台で、3月の大需要期が終わると流通台数が増加し、ゴールデンウィーク明けにはピークの約2900台になるなど、豊富な流通量を誇っている。
中古車の平均走行距離は3カ月前から現在まで目立った動きはなく、約1万kmをキープしている。そして、気になる平均価格の推移だが、3カ月前は約257万円でゴールデンウィーク明けまでは横這いで推移していたのが、6月に入り値落ち傾向となり現在は約251万円と緩やかな値落ち傾向となっている。
流通台数が増加しても、平均走行距離が延びないということは走行距離の少ない中古車が市場に多く出回ったことを示している。さらに調べてみると、2019年~2020年式、走行距離500kmという条件で検索すると、登録未使用車と呼ばれる中古車が約580台もヒットしたのだ。
マイチェン前のハイウェイスター。このモデルの未使用中古車が多く出回っている
◆こちらをクリックすると「セレナ(前期型)」の中古車情報が見られます
一般的な販売店だけでなく、ディーラー系販売店でも多く見られるので、試乗車だけでなく在庫車を中古車として市場に流通されたということだ。これもコロナウイルス拡大の影響といえるだろう。
セレナな緩やかな値落ちで収まっているが、ライバル車はどうだろうか。新車の販売台数が肉薄しているヴォクシーは中古車の流通台数は約3750台で、こちらもゴールデンウィーク明けに約4000台まで増えたが、すでに3カ月前の水準に戻っている。そして平均価格は3カ月前が約228万円で、2020年6月は約218万円と10万円の値落ちだ。
また、ステップワゴンの流通台数は約1900台と新車の販売台数のとおり少なめで、ヴォクシー同様にピークを過ぎて現在は減少傾向だ。平均価格は3カ月前の約230万円から現在は約220万円と10万円の値落ちと3モデルともに値落ち傾向となっている。
現行型セレナの中古車のグレード構成はデビュー当初からある「2.0ハイウェイスターV」が約544台で最も多く、第2位が「e-POWER ハイウェイスターV」の約425台。そして第3位の「2.0ハイウェイスター」が約312台で続く。
さらに、e-POWERが追加された2018年式以降に絞ってもその順位に変動はなく、現行型セレナの中古車は「2.0ハイウェイスター」が中心だ。一方、カスタムモデルではライダー系が約71台、ニスモが約18台、そしてオーテック系が約24台となっており、絶版車のニスモは高値安定傾向が続きそうだ。
◆こちらをクリックすると「セレナ(後期型) 登録未使用車」の中古車情報が見られます
それでは、現行型セレナは流通台数の多い「2.0ハイウェイスターVセレクション」と「e-POWERハイウェイスターV」の2018年式の平均価格の動きを比べてみた。
2.0ハイウェイスターVセレクションの3カ月前の平均価格は約238万円で、現在は約224万円と14万円の値落ち。一方のe-POWERハイウェイスターVは3カ月前の約314万円から今月は約300万円とこちらも14万円の値落ちとなった。
これまでe-POWERは人気のため高値安定傾向が続いていた。しかし、未使用中古車が出回るなどの効果でe-POWERも値落ちが進み買い時を迎えている。まだ値落ち傾向は続いているので、じっくりと探して吟味することがオススメだ。
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