ホンダは2023年8月3日、2023年秋発売予定の新型N-BOXの内外装を公開した。発売に先駆けて、先行予約の受け付けを8月に開始する。
新型で3代目となるN-BOXは、軽自動車市場で半数弱を占める軽スーパーハイトワゴンで30%超をマークし、登録車を含む新車販売台数は2年連続で1位、軽四輪車販売台数では8年連続で1位に輝くビッグネームである。初代のコアユーザーである子育て中の30代主婦層に加え、2代目では20代独身女性や50代子離れ男性、60代シニア男性などあらゆる世代にユーザー層を広げ、3代目でもそれらをキープ。従来モデルが持つ総合力の高さに対して、ホンダコネクトを加えてさらにもう1段階高い次元へと進化させた。
型N-BOXはなぜ「変われなかった」のか? 開発責任者に聞いた
プラットフォームは先代からの流用。ボディの骨格も基本は流用しているが、衝突対策などの改良で手を加えている。パッケージは2代目で好評の空間を守りながら、前席の頭上空間を5mm広げ、前席のショルダールームを左右で5mm拡大。後席は左右のドリンクホルダー上部の形状を見直すことで左右併せて55mmショルダールームを拡大している。
外観はボディ外板が新作だが、ウインドーまわりがリヤクオーター部、バックドア部を除き、先代を流用。従ってボディサイドのガラスと鉄板部分の比率は先代と同じで、ミニバンのような安心感を表現。また、広いキャビンを包み込むようなデザイン表現でも安心感をもたらしている。バンパーコーナー部分には段差を設けて走りのよさを感じさせる踏ん張り感をアピールする。
■街になじむデザインの標準系
標準系は「ハッピーリズムボックス」のコンセプトを象徴するモデルとして、「ハッピーリズム」をキーワードに開発。一目でN-BOXとわかる骨格とシンプルで街に自然と溶け込むような親しみやすさを追求。ヘッドライトは安全と信頼の瞳をテーマに灯体としての機能を集約させつつ、瞳を思わせるデザインに仕立てた。黒目のバランスや人のまぶたで瞳が隠れる量を参考にして、親しみやすさをもっとも感じるデザインをミリ単位で吟味し、どの角度からでも瞳らしさが感じられる造形としている。フロントグリルは昨今、フィンやメッシュタイプが多いなか、ボディカラーと同色を採用。シンプル家電のような丸穴デザインとし、新鮮な見え方と清潔感、日常の暮らしに寄り添ったイメージを目指した。
リヤはライセンスランプを含めてフルLED化。華美な主張やギミックを排したスッキリと素直な配置と、ボディ面と一体感を持たせつつ、グラフィックでメリハリのあるデザインを目指した。
標準系のファッションスタイルは、新色のオータムイエローパールを含む全3色を用意。ドアミラーとアウタードアハンドルをオフホワイトとし、ボディ同色のホイールを組み合わせ、さり気なくおしゃれなコーディネートとしている。
■品格とハイパフォーマンスをテーマにしたカスタム
カスタム系のキーワードは「プラウドリズム」。今までの軽カスタムのように他車に対して威圧感や力強さといった表現をするのではなく、自分を高める特別なもの、自分自身に誇りがもてるものにしたいという考え方から「プラウドリズム」をキーワードとして開発。スタイリングの考え方は2代目以上の品格とハイパフォーマンスを感じさせるデザインを目指し、フォーマルでありながらアグレッシブな走りを予感させるものとした。フロント、サイド、リヤはそれぞれロー&ワイドなスタンスとエアロダイナミクスを考慮した専用のデザインとした点が特徴である。
顔まわりは左右のポジションランプと中央のグリルライトをつなげ、全幅いっぱいに横一文字で光らせるのが特徴。これによって加飾に頼らずにワイド感や存在感を強めるこれからのカスタムにふさわしい演出としている。また、ヘッドライトはレンズ周辺のメカニカルな形状により、精緻で高性能感のある表情としつつ、ホンダで初めて採用したダイレクトプロジェクション式LEDによって既存のリフレクター式に比べて光源の輪郭が鮮明になっている。2代目が軽で初めて採用したシーケンシャルターンシグナルは、さらになめらかに流れるようにLEDを増やした。フロントグリルは標準系の丸穴デザインに対してカスタム系では一体感のある精緻な造形に。光沢のあるブラック仕上げによって光の当たり方で表情が変化する見え方を実現した。
リヤコンビランプは標準系と形状は共通だが、アウターレンズはカスタム系伝統のクリアタイプとしている。
今回、カスタムのエンブレムを刷新。2代目のアグレッシブな筆記体から時代に合わせたモダンで落ち着いた活字体に変更している。デザインはNのロゴマーク同様に、Nシリーズの広告・宣伝の監修を行っている佐藤可士和氏によるものだという。
カスタム系はコーディネートスタイルとして全3色をラインアップ。モノトーンまたはブラックルーフの2トーンが選択可能。ダーククロームメッキパーツとブラックアルミホイールによって精悍さを高めている。
■優しく包み込むようなインテリア
インパネは最新のホンダ車に通じるノイズを減らしてスッキリとした視界を実現。メーターは先代がステアリングの上側に配置していたが、ステアリングの内側への配置(インホイールメーター)となり、インパネ上面をフラットでスッキリとさせた。ステアリングホイールを2本スポークタイプとして、水平基調を引き立てるとともに、視覚的にも爽快感を高めている。
メーターはホンダの軽自動車としては初めてフルグラフィックメーター(7インチ)を採用。全面フルグラフィックメーターならではの表現力を生かし、今まで小さく表示されていたホンダセンシングの表示を見やすく分かりやすくしている。毎日が楽しくなる表示として、カレンダー表示やバースデー表示なども追加。特にカレンダー表示については日付の背景に都道府県の名所写真がクルマに乗る度に100パターンのなかからランダムに表示され、家族や仲間とどこかに出かけたくなる演出としている。
シートアレンジでは、助手席のロングスライド機構(スーパースライドシート仕様)を廃止。その代わりに助手席のグローブボックスの容量を先代に対して約2倍に増やし、使い勝手を向上させた。
荷室は自転車の積載安定性を向上。前輪を乗せやすい荷室床面地上高や、積み下ろし時に自転車のハンドルが干渉しにくい開口高さは守りつつ、荷室ボードの一部をくぼませることで自転車の前輪が通りやすくすると同時に、自転車のスタンドを立てた際の安定性を高めた。女性でも積みやすくしている。
ちなみに、先進安全装備については、先代のマイナーチェンジで全車速追従タイプの追従クルーズコントロール(ACC)を採用してライバルに追いついたが、今回はさらに進化。カメラを広角度カメラに変更して1つのカメラで物体と距離を認識できるようになった。さらにソナーを前後に4つ装着して近距離衝突軽減ブレーキにも対応。N-WGNから採用している急アクセル抑制機能もオプションで設定する。
〈文=ドライバーWeb編集部〉
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みんなのコメント
運転席前の一等地にメーターよりティッシュBOX置きたいって人には運転して欲しくないからね。
新型カスタムのヘッドライトも、手抜き感が漂う。