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【BMW R1300GSアドベンチャー 試乗】「ASA」でエンストの不安から解放!その完成度に大きく驚かされた…鈴木大五郎

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【BMW R1300GSアドベンチャー 試乗】「ASA」でエンストの不安から解放!その完成度に大きく驚かされた…鈴木大五郎

コーナーに向けてフロントブレーキを握り込む。スピードが急減速しているなかでシフトを1つ、そして2つ目はエンジンブレーキが過度にかかりすぎないように空吹かしを入れてから落とす。コーナーを回り、出口が見えたらスロットルをワイドオープン。我ながら完璧だ!素晴らしいテクニック!? しかし残念ながら、その繊細な操作の多くは私の行った操作ではなかった…。

『R1300GSアドベンチャー』に新採用(オプション)された「ASA」はオートメイティッド・シフト・アシスタントの略。クラッチレバーはないものの、シフトペダルは存在し、それによる変速が可能なことからオートマチックとは言わないそうではあるが、やはり注目はその自動変速システムの出来栄えだろう。

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◆アクセル操作によってジェントルにも、またアグレッシブにも反応
この巨体をクラッチを使わずコントロールする。とくに極低速域での走りはどうなのか?やや不安感を覚えながらマシンを走り出させるが、Uターン等でも違和感がないどころか、エンストの不安から開放されるというのがどれほどのメリットが有るのかを実感する。これは大柄なマシンだからこそより有り難みを感じるものだ。

そのアクセル操作によってジェントルにも、またアグレッシブにも反応し、途切れることなく気持ち良くシフトアップがされていく。選択されたライディングモードによってタイミングは若干異なるものの、それを駆使すればより自分のイメージとのマッチング具合はさらに高められる。走行前には少し懐疑的だったこのシステムであるが、ホテルをスタートした10分後にはその恩恵をはっきりと感じ、1時間もすると完璧にその動作に馴染んでいた。

ブレーキングにおけるマシンの動きにも注目だ。フロントブレーキレバーへの入力量やリーンアングル、回転数によって(その他にも前後のホイールスピード差や加速度等様々な情報を拾っているそうだが、メインとなるのはこの3項目とのこと)最適なシフトダウンをおこない、イメージ通りにコーナーに入り、クリアしていくサポートをする。

ワイドなパワーバンドや扱いやすいエンジンキャラクター。そしてバラエティに富んだライディングモードが備わることで、懸念されたショックやネガを打ち消してくれている事実があるにせよ、その完成度には大きく驚かされたのであった。

◆よりアドベンチャーマシンらしいフィーリング
ASAの衝撃が大きかったことで解説するのが遅れたが、ハンドリングを含めた車体面も素晴らしい。大柄に見えるが、跨った際の印象は同じマシンかと思われるほどフィット感も良好だ。『R1300GS』に対してストローク量が増大した足回りの効果もあって、よりアドベンチャーマシンらしいフィーリングを得ている。

今回テストした仕様は自動車高調整機構を備えているため、停車時には840mmのシート高に。165cmの身長ではマシンの引き起こしや傾斜地で不安がないとは言い切れなかったものの、オプションでローシートがラインナップされることに加え、日本に導入される予定となるコンフォート仕様はさらに20mmシート高が低い820mmであるから、その間口はなかなかに広い(ライディングポジション写真はコンフォートで今回は未走行)。

いっぽうで、一度走り出してしまえばコンパクトと言うのは語弊があるかもしれないが、その尻込みしてしまいそうな迫力のボディからすると、想像を遥かにこえた一体感を備える。速度が50km/hを超えると車高が30mm上昇するものの、その設定変更を認識することはなくあくまで自然に乗り心地の良さや運動性に貢献している。

今回は2日間で約500km。その行程はタイトなワインディングあり、オフロードあり、もちろん市街地も高速走行もある。まさにアドベンチャーのキャラクターに相応しいルートが設定されていたのであるが、頼もしさと快適性。そして、しっかりと操る楽しさも備わっていたことがなによりも嬉しかった。

そしてR1300GSアドベンチャーの完成度の高さに水を差すことなく、より輝かせていたのがASAであったことに驚かされた2日間であったのだ。

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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