現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 輸入車の大定番!! VWゴルフが日本で長年愛されてきた理由は?

ここから本文です

輸入車の大定番!! VWゴルフが日本で長年愛されてきた理由は?

掲載 更新 25
輸入車の大定番!! VWゴルフが日本で長年愛されてきた理由は?

 本国のデビューから遅れること約1年半、ようやく日本でも6月15日にVWゴルフの新型が発売された。

 8代目となる新型も歴代モデルのように輸入車のベストセラーになるのか注目されるが、それにしても歴代のゴルフがこれまで輸入車の“大定番”として君臨してきた理由はどこにあるのか?

新型も好評らしいけど…… なぜVWゴルフはそんなに高く評価されるのか?

 ゴルフが日本で長い間高い人気を維持してきた要因を、モータージャーナリストの石川真禧照氏が解説する。

文/石川真禧照 
写真/フォルクスワーゲン、ベストカー編集部

【画像ギャラリー】VWゴルフ8代目参上!日本の輸入車の定番的地位はいつ定着したのだろう?

■VWゴルフは45年以上も日本の輸入車の頂点

 2021年6月1日、東京・竹芝のホールで、VWゴルフのオフライン・プレス・プレゼンテーションが開催された。時節柄のオンライン発表会だったが、会場周辺でのミニ試乗会もプレス向けに開催された。

 今回のゴルフは8代目ということでゴルフVIIIと呼ばれているが、そのボディデザインは7代目ゴルフとよく似ている。もちろんフロントグリルや内装などは異なっているのだが、それはクルマ好きの人や専門家が見てのこと。一般の人には見分けがつくかは微妙。

 それはVWも承知しており(?)、「とにかく試乗してもらわないと新型のよさはわかってもらえない」販売店関係者。

6月に発売された8新型の新型ゴルフ。ひと目でゴルフだ! とわかるデザインだ。1Lと1.5Lともマイルドハイブリッドとの組み合わせで環境性能も申し分ない

 これが関係者の共通認識だった。しかし、VWゴルフといえばJAIA(日本自動車輸入組合)が資料を公開している2003年以降の「外国メーカー車モデル別新車登録台数順位の推移」を見ても2015年まで連続して1位を独占してきた。

 さらに調べてみると、初代ゴルフが日本に上陸した1975年(本国発表は1974年)からでも、常に販売台数では上位をキープしてきたことが判明した。

初代ゴルフの出来は世界を驚愕させた。その結果大衆車(ファミリーカー)のベンチマークとなり現在に至る。故徳大寺先生の評論もこのゴルフとの出会いが原点となって、日本車を叱咤激励し続けた

 実に45年間以上も、日本の輸入車の頂点に君臨してきたクルマということになる。

■欧州、日本とも丁度いいサイズに高い信頼性の組み合わせで、大人気になった

 なぜゴルフがここまで日本だけではなく、欧州をはじめヨーロッパなどで人気になったのか。その理由は、まずセグメントのよさにある。

 ゴルフがデビューした当時、ヨーロッパの自動車メーカーのカタログを見てみると、2ボックス+リアゲート付のクルマというのがほとんど見当たらない。わずかにルノー、フィアット、フォードにそういうモデルが存在したぐらいだった。

 しかし、世の中の若い世代は、セダンタイプでは、荷物が積めない。FR車では室内が狭い。安価なクルマは信頼性に欠ける、などの不満を持っていた。

 そこに、FF、2ボックスのゴルフが登場した。信頼性に関しても、もともとゴルフの設計と開発コンセプトは、ビートルに代わる安価で、量産、量販できるモデルということだった。

 そのために、エンジンはVW社が1964年に傘下に入れたアウディ(当時はアウディUSUアウトウニオン)のものを用い、そのほかをビートル開発の経験があるVWが受け持った。このクルマづくりの手法が、いまのVW=ゴルフにもあてはまり、信頼性にもつながっている。

ゴルフをさかのぼればビートルとなる。シンプルで安価であるコンセプトはゴルフに受け継がれた。ドイツではゴルフにバトンタッチ後も、ブラジルなどでは2003年まで生産を継続! 累計2153万台と驚異の生産台数を記録した

 初代ゴルフは、すでに量産されていたアウディとビートルの技術を生かして生産された。この手法こそ、ゴルフが信頼性において、世界のユーザーに認知された理由だ。

 つまり、ゴルフはこれまでに、多くの新技術を実用化してきたが、その技術は大半が、まず系列のクルマに搭載し、信頼性があると判断してから、本家にも使用する、という手法だ。

 VW社は、アウディグループだけでなく、チェコのスコダ、スペインのセアトなど欧州ではそれなりに人気車を生産する子会社が存在する。それらの子会社の新型を開発・生産・販売するにあたり、VWの新技術などを導入する。そこである程度熟成させたものを新型ゴルフに投入するのだ。

 当然、初期トラブルは子会社のクルマで発生するが、スコダもセアトも、小型の安価なクルマがメインなので、ユーザーも多少の不具合は許してくれるという環境が幸いしたのだ。

 こうしてゴルフは欧州でもベストセラーの地位を長年、キープしてきた。

■日本市場への初輸入は1975年。瞬く間に輸入車のメジャーに成長した

 一方、日本に目を移すと、初代ゴルフが輸入された1975年の、JAIAが主催する外車ショーでの「外国車ガイドブック」を見てみると、状況は欧州と変わらない。

 ゴルフクラスのクルマは、トライアンフ、オースチン、モーリス、フォード、オペル、ルノー、シトロエン、フィアット、アルファロメオなどが出品していたが、いずれもトランクが独立した3ボックスが多く、ライバルは不在といってもよいほど。

 しかも、ゴルフを扱うディーラーは、ヤナセだった。当時、アメリカ車から欧州まで7ブランドを販売していたヤナセの販売力は輸入車業界でトップ。ゴルフはたちまち、輸入車ファンの間で、話題のクルマになった。

■現在はゴルフ以外にもポロやT-CROSSといったニーズの多様化が進んだ

 しかし絶対王者の存在だったゴルフがなぜ、現在は登録台数でBMWミニの後塵を拝しているのか。

 先代ゴルフ(ゴルフVII)がデビューしたのは2013年。もちろん2013年、2014年、2015年はゴルフが登録台数で1位だった。デビュー4年目ともなると、新車効果は薄れてくる。

7代目の登場は2013年。当初は輸入車No.1の地位をキープしたが、ミニ、ベンツ、BMWもこのクラスで存在感を示すようになり、次第に後退。最終年となった2020年度はT-Crossにも抜かれた

 2位のBMWミニは、ミニシリーズに加えてクロスオーバーシリーズなど多彩な車種で販売台数を伸ばしてくる。本来ならVWのセールスもゴルフを売って、1位をキープしたいと、販売に力が入るハズなのだが、7代目ゴルフデビューと同時期あたりから、ポロが順調に登録台数を伸ばしはじめたのだ。

 2014年4位、2015年5位、2016年5位とベスト5の一角にポロが食いこんできた。VWのセールスにすれば、すでにメルセデスやBMWがコンパクトクラスを投入し、競争が激しくなったゴルフだけに集中しなくても、ポロがある。

 さらに昨年は、SUVのT-Crossが4位に躍進してきたのだ。ちなみにポロも7位に入っている。

 これだけVWのクルマが売れていれば、モデル末期のゴルフに力が入らなかったのも当然。しかし、ゴルフが新型になった。

 新型はエンジンを1Lと1.5Lのマイルドハイブリッドにし、巻き返しを図っている。とくに1Lモデルはバランスもとれており、ベストゴルフともいえる出来栄えだ。車両本体価格も291万6000円~と、エントリーグレードは300万円を切る設定になっている。

本国の発表より1年半遅れで日本で発売された新型ゴルフ。全車マイルドハイブリッドとなったが、扱いやすさを重視した1Lモデルが好バランス! 再び輸入車のトップに返り咲くのかに注目だ


 再びゴルフ(メキシコ湾から押し寄せる暖流の意)のように、日本市場に熱い流れがやってくるのだろうか。

【画像ギャラリー】VWゴルフ8代目参上!日本の輸入車の定番的地位はいつ定着したのだろう?

こんな記事も読まれています

ヤマハのスクーター『NMAX』に「ターボ」登場!? 新型のキモは新技術の「電子制御CVT」
ヤマハのスクーター『NMAX』に「ターボ」登場!? 新型のキモは新技術の「電子制御CVT」
レスポンス
横浜ゴム、2024年パイクスピーク参戦車両にADVANタイヤを供給。3年連続の総合優勝を狙う
横浜ゴム、2024年パイクスピーク参戦車両にADVANタイヤを供給。3年連続の総合優勝を狙う
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、幼少期はアロンソのファンだった?「カートに乗っていた頃、彼を応援していたんだ」
フェルスタッペン、幼少期はアロンソのファンだった?「カートに乗っていた頃、彼を応援していたんだ」
motorsport.com 日本版
「ボンネットの閉め方」間違っていませんか?「丁寧なつもり」は逆に危険! クルマが壊れてしまう可能性も…
「ボンネットの閉め方」間違っていませんか?「丁寧なつもり」は逆に危険! クルマが壊れてしまう可能性も…
くるまのニュース
イタリア最古のメーカー発「最新なのに旧車の味わい」のバイクとは? モト・グッツィがこだわる“Vツインエンジン”の魅力は何か
イタリア最古のメーカー発「最新なのに旧車の味わい」のバイクとは? モト・グッツィがこだわる“Vツインエンジン”の魅力は何か
VAGUE
1050馬力のハイブリッドトラック、ゴルフボールに着想のディンプルが空気抵抗を低減…中国長城汽車が発表
1050馬力のハイブリッドトラック、ゴルフボールに着想のディンプルが空気抵抗を低減…中国長城汽車が発表
レスポンス
スカイグループとアウトモビリ・ピニンファリーナがハイパーカー 「Battista Cinquantacinque」と「B95」を公開
スカイグループとアウトモビリ・ピニンファリーナがハイパーカー 「Battista Cinquantacinque」と「B95」を公開
@DIME
F1ドライバーでも、ル・マン挑戦は一筋縄ではいかない? オジェ、挑戦を大歓迎も「簡単じゃないぞ!」
F1ドライバーでも、ル・マン挑戦は一筋縄ではいかない? オジェ、挑戦を大歓迎も「簡単じゃないぞ!」
motorsport.com 日本版
日本限定30台!メルセデス・マイバッハから特別仕様車「S 580 Night Edition」が登場
日本限定30台!メルセデス・マイバッハから特別仕様車「S 580 Night Edition」が登場
@DIME
<新連載>[サウンドシステム設計論]超基本形の「パッシブシステム」を組んでライトに楽しむ!
<新連載>[サウンドシステム設計論]超基本形の「パッシブシステム」を組んでライトに楽しむ!
レスポンス
マクラーレン、LMDhマシンでのル・マン参戦計画が現実的に。規則延長で“余裕”生まれる「あとはタイミング次第」
マクラーレン、LMDhマシンでのル・マン参戦計画が現実的に。規則延長で“余裕”生まれる「あとはタイミング次第」
motorsport.com 日本版
ミラノ デザイン ウィーク2024リポート──自動車ブランドが描き出すモビリティの未来とは?|CAR
ミラノ デザイン ウィーク2024リポート──自動車ブランドが描き出すモビリティの未来とは?|CAR
OPENERS
約230万円! トヨタ新型「スポーツコンパクトカー」発表! 6速MTのみの「“ガチガチ”モデル」に熱視線! 「超良心価格」の声も
約230万円! トヨタ新型「スポーツコンパクトカー」発表! 6速MTのみの「“ガチガチ”モデル」に熱視線! 「超良心価格」の声も
くるまのニュース
BMW新型「M2」欧州登場! 3リッター直6エンジンは20馬力アップの480馬力の強心臓に進化
BMW新型「M2」欧州登場! 3リッター直6エンジンは20馬力アップの480馬力の強心臓に進化
VAGUE
ル・マンデビュー果たしたドルゴビッチ。F1目指す若者の未来はどこにある……?「この経験がいくつかのドアを開くかもしれない」
ル・マンデビュー果たしたドルゴビッチ。F1目指す若者の未来はどこにある……?「この経験がいくつかのドアを開くかもしれない」
motorsport.com 日本版
アウディの高性能EVスポーツ、『RS e-tron GT』に改良新型…856馬力に強化
アウディの高性能EVスポーツ、『RS e-tron GT』に改良新型…856馬力に強化
レスポンス
ランボルギーニが男女平等に最も配慮した企業の認証を取得! スーパーカーブランドが取り組むダイバーシティ活動とは
ランボルギーニが男女平等に最も配慮した企業の認証を取得! スーパーカーブランドが取り組むダイバーシティ活動とは
Auto Messe Web
フォルクスワーゲン新型ゴルフRは、まずは足元からチェックすべし!デビュー直前に新型アルミホイールの魅力を公開
フォルクスワーゲン新型ゴルフRは、まずは足元からチェックすべし!デビュー直前に新型アルミホイールの魅力を公開
Webモーターマガジン

みんなのコメント

25件
  • 不幸なひとがネガティブな投稿しては更に不幸になっていく。
    当たり前のことが不当だと認識してりゃそりゃそうだわなあ。
  • ヒネクレ者コメント三着
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0838.0万円

中古車を検索
ゴルフ Rの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

691.2792.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

20.0838.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村