CT110ハンターカブを楽しく修理!
イラストレーターでDIYが大好きな阿部忠雄さんが、26年所有するホンダCT110 ハンターカブ。キャンプツーリングの相棒として、自分好みにカスタマイズを続けている。そんな阿部さんがこれまでいじってきたなかで、「これはオススメ!」なモディファイをお伝えしよう。今回は、腐食した「ある部分」を自分で修理!
「ソロキャンプ」の相棒「ハンターカブ」! ツーリングを「楽チン」にするDIYカスタム
オフロードを想定して設計されているハンターカブだけど
海外の広大な牧場などで活躍するハンターカブ。牧草がエンジンやチェーンなどにからみ付くのを防ぐために、しっかりとしたエンジンガードやチェーンケースが装備されています。そのため林道ツーリングでジャリ道や草やぶに分け入るようなシーンでも躊躇なく走ることができるのです。そのうえ乾燥した牧草などが、高温になる排気系に接触しないようにという配慮からなのでしょうか、エキパイの始まり部分からアップマフラーの排気口付近まで、少し長すぎるくらいのヒートガードで覆われています。このヒートガードをエキパイに留めている金具と断熱材にサビが目立ってきたので、サビを落としてエキパイの再塗装をしようと思い分解しました。
8年ノーメンテだったエキパイは劣化していた
金具を外してビックリ、サビサビの断熱材といっしょにエキパイの壁まで剥がれ落ちてしまいました。エキパイの始まり部分を挟んでいるヒートガードを開いてみると、やはりここもサビだらけで断熱材の下はもう少しで穴が開くギリギリの状態です。写真の日付けが 2003年ですから、新車で購入してから8年ほど過ぎたころのことです。まさかエキパイに穴が開くほどまでになっているとは思いもしなかったのでショックでした。もっと早くにメンテしていればここまで酷くはならなかったのに……。
ビニールハウス用のパイプを「手曲げ」
エキパイとマフラーが別体式ならエキパイの交換だけで済みますが、溶接されていて一体化しています。マフラー部分にはダメージもなくてまだまだ使えますから、自分でエキパイを作ることにしました。車庫の物置を探すと、ビニールハウス用のパイプと思われるφ26mmほどの鉄パイプを発見! このパイプの内径とエキパイの外径がほとんど同じサイズでピッタリとハマるので、これを加工することで決まりです。エキパイの始まりの曲がりのキツいR部分はサビてはいるものの、まだ肉厚が十分残っているので使えます。ここがダメなら自作は諦めていました。
パイプをバイスに固定したらバーナーで全体を加熱します。一部分だけを加熱して曲げようとしても熱が逃げてしまい上手くいきません。全体を加熱しながら曲げたいポイントの周囲を赤く発光させます。炎を動かして赤さを保たせたままパイプの先端に力を加えて少しだけ曲げます。Rの外側が多めに赤くなるようにバーナーの炎を当てるのがコツ。Rの内側だけ赤い状態で曲げると縮みシワになりやすいので要注意です。曲げる位置を移動させながら、エキパイのカーブと同じになるように仕上げます。腕力が必要な作業ですが、赤くなりさえすれば少しの力で「ググーッ」と曲がるので、曲がりすぎないように加減します。作業場を少し暗めにすると、赤く変化するタイミングを見極めることができます。ほぼ正確にコピーできたと判断したところで曲げ作業を終えて、エキパイとの重なり代を入れた長さでパイプをカットします。エキパイ側も同じようにカットします。差し込みジョイントの切り込みを入れます。耐熱塗料をスプレーしてから仮組みをして、無理なくフィットしていることを確認したら耐火パテを塗布、本組みしてホースバンドで締結します。次にヒートガードの金具の溶接部をドリルで削り取って金具を外します。代わりの固定金具を作り、ビス留めしたらエキパイにセットします。ガード裏のサビにはサビチェンジャーを塗布しておきました。
作業後も自作エキパイはいまだ健在
走行テストの結果、排気漏れなどもなく修理は成功でした。マフラー交換かというピンチを、材料費ゼロ円で切り抜けることができました。しかも楽しい作業内容でしたから、得した気分と達成感も満点です。あれから18年ほど経ちますが、耐熱塗料を塗り替えたり、耐火パテをシリコンコークで代用したりしただけで自作エキパイやマフラー、ヒートガードもいまだ健在です。今回リポートしたエキパイの腐食は、CT110 ハンターカブではよくある持病です。外見でサビが確認できないからといっても油断は禁物、断熱材で隠されたところで致命的な腐食が進行しているかもしれません。
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