トヨタのフラグシップSUV「ランドクルーザー」。現行モデルである300系は2021年に登場となったモデルだが、発売前から受注が殺到し、バックオーダーが山積みとなった結果、現在(2023年4月末)受注停止となっている。
しかし中古車市場には、中古の300系が徐々に流れてきており、しかもその相場は、徐々に下落をしはじめている。中古の現行300系ランクルを購入しよう!! という方に向けて、現行300系ランクルに賢く乗るワザをご紹介しよう。
長引くオーダーストップ…「なら中古を!!」な人に薦めるランクル300賢い買い方と売り方
文:吉川賢一
写真:TOYOTA
高いリセールを狙うならば、「ガソリンツインターボのZX」を選ぶべし!!
300系ランクルのパワートレインは、3.5L V6ツインターボガソリン(VJA系)と、3.3L V6ツインターボディーゼル(VJA系)の2種類。ガソリン車には最上級の「GRスポーツ」のほか、「ZX」「VX」「AX」とエントリーの「GX」、ディーゼル車には、「GRスポーツ」と「ZX」がラインアップされている。駆動方式は全車4WD、トランスミッションは全車10ATで、ガソリンGXとディーゼルは5人乗り仕様のみとなっている。
燃費性能は、ガソリン車がWLTCモードで7.9km/L(ZX 7人乗り)、ディーゼル車は9.7km/L(ZX 5人乗り)と、パワートレインの違いで約2割も異なる。ランクルにどこまで燃費を求めるのかはユーザーの価値観次第となるが、ロングドライブならばリッター10km/L超えも余裕で狙える「ディーゼル」という選択があるのは嬉しいところ。車両価格はディーゼル車のほうが高めの設定で、税込760~800万円、ガソリン車は510~770万円だ(2023年4月末時点)。
ランクルの流通に詳しい中古車買取店の担当者によると、ランクルの売れ筋グレードは、先代の200系ランクルのときと同じく、300系もガソリンの「ZX」だそう。20インチアルミホイールや、LEDシーケンシャルターンランプ、電動ムーンルーフ、パワーバックドア、カラーヘッドアップディスプレイ、その他内外装のメッキ加飾などが標準装備となるラグジュアリー仕様であり、これを選んでおけば300系の魅力を余すことなく体験できる。
GRスポーツや、ディーゼルのZXのほうが定価は高いのだが、中古車市場で需要がより高いのは、ガソリン車のほう。人気グレードを選んでおくといいリセールが期待できることは、クルマを購入する際には覚えておきたいこと。300系ランドクルーザーでは、ガソリンツインターボの「ZX」がテッパンのグレードだ。
2021年8月に発売開始となった300系ランドクルーザー。一時期は4年待ちという納期がホームページに表示されていたが、現在は受注停止となっている
ガソリン車には7人仕様があるが、ディーゼル車には5人仕様だけしかない
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中古車相場は下落基調、手頃な価格で登場するまで継続的にリサーチを
ランクルのリセールが高いのは、海外からの熱烈な需要があるから。もちろん海外でも、トヨタディーラーで新車のランクルを購入することはできるそうだが、非常に高額かつ長納期になってしまっているそう。そのため、高い関税を払ってでもすぐに手に入る(船便で1か月程度)上質の中古車を、日本から輸入したほうがいい、という理由で、海外のバイヤーから人気があるのだという。
ちなみに、ランクルが多く輸出されているのは、アラブの富豪の住むパキスタンや、お金持ちが多いマレーシア。パキスタンもマレーシアも、日本と同じ左側通行(右ハンドル)の国であり、左ハンドルに直さないと輸入できない国もあるなか、そのままの仕様で輸出ができるのだ。
そんな現行300系ランドクルーザーの4月末時点の中古車相場は、2年落ちの2021年製造車が約1056万円~1460万円(25台)。1年落ちの2022年製造車が約1060万円~1800万円(56台)、当年モノの2023年製造車が約1098万円~1530万円といったところ。昨年は新車価格を遥かに超える水準まで上昇したこともあったが、現在は落ち着いてきており、下落基調となっている。新車価格(ガソリンZXの新車販価は税込730万円)を下回るのはまだ少し時間はかかりそうだが、継続的にリサーチを続け、納得できる価格で入手してほしい。
●「300系ランドクルーザー、2021年式、3万キロ未満」
●「300系ランドクルーザー、2022年式、3万キロ未満」
●「300系ランドクルーザー、2023年式、3万キロ未満」
300系ランクルの業者向け中古車オークション相場は2月中旬では1200万円程。半年前までは1500万円を超えていたが、相場は目まぐるしく変動している
売却のポイントは「2度目の車検前」と「どこに売却するか」
ランクルに限ったことではないが、中古車相場は、海外への輸出事情に大きく左右される。ランクルの主な輸出先であるパキスタンやマレーシアには、それぞれ、輸入に対して規制をかけているため、その規制にかからない年式のうちに売りぬくことがポイントとなる。ちなみに2023年4月末時点、パキスタンは中古車輸入が禁止となっている(外貨流出防止のため政府が調整しているという説)ので、いま現在は主にマレーシアが輸出先となっている。
マレーシアの輸入規制は、「初度登録月から12か月~59か月」だ。つまり、日本で初度登録されてから1年経った個体は輸入OKとなり、その後は、5年目(2度目の車検)を迎える前までの車両であれば輸入可能となる。そのため、その手前で売却するのがベストのタイミングだ(輸送時間がかかるため2度目の車検を迎える2~3か月前には手放したい)。たとえば、初度登録が2021年の中古ランドクルーザーを手に入れて、2025年にやってくる2度目の車検の前に手放すというやり方だと、上記の輸入条件にあてはまり、高い下取りが狙える。
ただ、「どこに売却するのか」も同じくらい重要だ。中古車相場は日々変動するため、相場を毎日チェックする買取店とそうではない買取店とでは、買取価格に差が生じる。大手の買取店でも、中古車相場を毎日追いかけているとは限らない。面倒でも、複数の買い取り店で査定してもらい、より高い価格で買い取ってくれる店を探すのが「賢い売り方」の鉄則だ。
◆ ◆ ◆
もちろん、ガソリンZXでなくとも、また、5年目を越えたとしても、ランクルの中古車相場は常に高い。先代200系ランクルの中古車も、ロシア、ケニア、タイ、タンザニア、インドなど、世界中に輸出されており、中古車価格は絶えず高い状況にある。現行300系ランクルは(盗難対策に気を使う必要があるが)、その性能を存分に堪能したあとに売却する最後まで楽しめる、非常にありがたいクルマだ。ぜひ本稿を参考にして、お得にランクルを楽しんでほしい。
モデリスタのエアロパーツは海外で人気のオプションの一つ。ランクルの中古車査定で大きなプラスとなりうるアイテムだ
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