乗用車3台、商用車4台を追加
フォードは、2024年までに欧州で7台の新型EVを発売すると発表した。フォルクスワーゲンのMEBプラットフォームを使用した新型クロスオーバーを筆頭に、乗用モデル3台と商用モデル4台を新たに展開する。
【画像】加速するフォードの電動化【現行EVやプーマを写真で見る】 全94枚
フォードの欧州責任者であるスチュアート・ローリーは、2035年までにCO2排出量を実質ゼロにする目標と、同年以降はEVのみを販売する計画を発表。フォードの約120年の歴史において「極めて重要」なものであると説明した。
3台の乗用モデルは既存のフォード・マスタング・マッハE、Eトランジットに続く完全EVとなる予定だ。この3台は、今月初めに行われた組織改革の一環として、バッテリーEV事業を内燃エンジン事業から分離するために設立された新部門「モデルe」から展開する。
最初に発売される乗用モデルは、フォルクスワーゲンID.4をベースにしたもので、マスタング・マッハEの下に位置することが予想される。2023年に発売され、ドイツ・ケルンにあるフォード最新鋭のEV製造施設で製造される予定。公式には「ミディアムサイズのクロスオーバー」と説明されている。
トルコにバッテリー工場新設
これに続く2台目のEVは2024年に発売予定で、「スポーツクロスオーバー」と表現されている。フォルクスワーゲンID.5をベースにした、より性能重視のクーペSUVになる可能性が高い。
3台目は、フォード・プーマEVだ。2024年から発売される予定で、生産能力の調整の結果、フォード・エコスポーツは今年末に生産を終了することとなった。
さらに、4台の商用モデルが2023年から発売される。2023年に1トンクラスの商用バンとしてトランジット・カスタムとトルネオ・カスタム、2024年に小型のトランジット・クーリエとトルネオ・クーリエが発売される予定である。
フォードによると、これら新型車7台の投入により、2026年までに年間60万台のEVを販売し、6年間で120万台がケルンで製造される見込みだという。そのため、工場の開発に20億ドル(約2360億円)の追加投資を行っている。
さらにSK On Co Ltdおよびコチ・ホールディングと合弁で、トルコにバッテリー工場を新設する。また、ルーマニアのクライオバ工場の所有権をフォード・オトサンとの合弁会社に移管することも発表している。
フォードはこうした取り組みにより、2035年までに全車両販売におけるゼロ・エミッションと、施設、物流、サプライヤーなど欧州全体におけるカーボン・ニュートラルを達成できるとしている。
人気モデルの「プーマ」もEVに
新型プーマEVについて、詳細はほとんど明らかにされていない。スチュアート・ローリーは、「EV仕様を販売するということ以外に、今日プーマについて言うことは何もありません」と口を閉ざした。
しかし、ローリーは、プーマEVがフォルクスワーゲンのMEBプラットフォームを使用しないことを認めた。MEBは、フォルクスワーゲンのIDシリーズに広く使われているプラットフォームで、提携の一環としてフォードと共有することになっている。
MEBを使わないということは、既存のプラットフォームの改良版か、まったく別のものを採用する可能性がある。
しかし、現行のプーマがベースとするフォード・フィエスタの将来性については疑問が残る。理論的には両モデルでプラットフォームを共有できるはずだが、サイズやボディスタイルの違いを考えると簡単なことではないだろう。
この点についてもローリーは明言を避け、次のように述べた。
「当社は2024年までのモデルについて、非常に重要な発表を行っています」
「もちろん、これで終わりというわけではありません。2030年までに乗用車を、2035年までに商用車をすべてEVにします。今後の計画の策定を楽しみにしています」
プーマは昨年、英国でフォードのベストセラー車となるなど人気の高いモデルだ。半導体不足と工場閉鎖の影響を大きく受け、販売台数が減少したフィエスタを引き離している。この影響は非常に大きく、フィエスタは販売台数ランキングの上位から姿を消しつつある。
2024年に計画されているプーマの電動化は、欧州フォードにとって重要なマイルストーンとなる。フォードはすでに、マスタング、F-150、トランジットなど、複数のモデルを電動化している。
また、パリ協定に基づき、2035年までに欧州でカーボン・ニュートラルを実現することも目標としている。その戦略の一環として他の自動車メーカーとも緊密に連携し、EVの新興企業であるリビアンには5億ドル(約590億円)を出資する。
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