トヨタ ヴォクシー 「ノアとの兄弟車でエアロモデルのみ設定」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
2
走行性能
3
乗り心地
4
積載性
4
燃費
4
価格
3

ノアとの兄弟車でエアロモデルのみ設定

2022.11.28

年式
2022年1月〜モデル
総評
容積型ミニバンのもっとも優れた点はスペース効率にある。だから、多人数乗車や荷物をたくさん積み込み移動する際にその真価を発揮する。ただ、ヴォクシーのように個性を大切にするモデルでは、よりパーソナルな移動のために使うというユーザーも多くなる。この先、人ひとりあたりが移動する際のCO2排出量云々がさらに問われる時代に、果たして能力の半分も使わない容積型のミニバンのパーソナルユースがどれだけ求められるのか。冷静な検証も大切だ。
満足している点
走行性能、居住性能、快適性能、積載性能のすべてにおいてノアと共通だ。唯一にして最大の違いは外観デザインにあるわけだが、ここに重きを置くのであればヴォクシーを選択する手はある。その昔から兄弟車関係のクルマは一般的であるため、個性で選ぶという意味では賛同できる。また、ノアよりも実質的な販売台数は抑えられるだろうから、「ノアに強く惹かれるけれど、乗っている人が多いから選びたくないな……」というユーザーにヴォクシーはおすすめだ。
不満な点
ここはひとつ、ミニバンにこれだけきつい顔付きが必要なのか、という点が気になる。乗ってしまえばオーナーや同乗者は気にならないが、道路上でバックミラーにこのアグレッシブな顔が映り込むことで、少なからず威圧感にも似たものを意識する、そんな人も多いのではないか。個性的なことは大いに認め合うとして、混合交通ではなるべく他車とのコミュニケーションがスムースにいくほうが安全な運転環境継続の上からも当然良い。
デザイン

2

ヴォクシーはこれまでも、ノアと比較して強烈な個性を打ち出した別デザインを採用していた。新型となって、ノアのノーマルモデル、エアロモデルともアグレッシブ寄りになったことから、ヴォクシーはさらに押し出しを強めた外観デザインでまとめあげた。個人的には薄型ライトからの2段構えは新しいトヨタデザインとして歓迎するものの、ファミリーユースを考えたミニバンとしては疑問符をつけたくなる。存在感を誇示するのは大切だが、粋すぎると上品さに欠けると考えるからだ。
走行性能

3

走行性能についてはノアの2.0Lガソリンモデルと全く同じだ。CVTは発進用ギヤ付きタイプとなり、発進時にはトルコン型ATのような力強さと、発進時のレシオを考慮せずとも成立するレシオカバレッジ(7.5)の採用によって、とくに高速域での走行性能と燃費数値の両面を伸ばせた。熱効率40%以上のダイナミックフォースエンジンは実用域でトルクフル。高回転域で若干、透過音が大きく鳴る傾向にあるが、角のない音域にまとめられ快適性は保たれる。
乗り心地

4

乗り心地もノアのガソリンモデルとまったく同一。運転席での乗り心地はソフトな傾向で、アクセルワークに対して過敏に反応しないため、2列目、3列目シートであっても乗り心地は快適志向だ。高速走行時の風切り音もよく抑えられている。80km/hを越えたあたりから若干、風切り音も増え出すが、法定速度内であれば1〜3列目での会話明瞭度も高く保たれている。乗り味、快適性は十分に満足できる。
積載性

4

ノアと全く同じ積載能力だから、たいていの荷物は積み込める。ノアと同じくバックドアスイッチが車両後方の左右にある。これを操作すれば、ドアの正面に立たずともバックドアの開閉ができるので重宝だ。一部グレードの装備となるが、SUVのようにリヤバンパー下部に足をキックするように入れると、ハンズフリー機能よりバックドアが自動で開閉する。これの使い勝手がとても良い。便利な機能なので、可能であればボトムグレードへの標準装備化をぜひ望みたい。実用的なアイテムだ。
燃費

4

ノアのガソリンモデルと同様。市街地走行ではやはりCVTのレシオの関係もあり燃費数値はそれほど伸びない。おおよそ11km/L/台に留まる。低負荷域では低回転を多用するが、少し踏み込むと積極的に高回転域までを使って走る特性にかわる。ただ、熱効率は高回転域まで高めで多用するシーンでは40%台となるため10km/Lを割るような値になることはない。一方、高速域になると緻密な回転制御が功を奏し、実用的な燃費数値は15㎞/l台に。
価格

3

ノアと比較するとヴォクシーはエアログレードのみとなることから、最低価格そのものが高い。具体的には3,090,000円〜となる。ノアで同じエアログレードでは3,040,000円だからヴォクシーとなって50,000円高くなる計算だ。グレードを揃えれば主な装備に違いがないが、外装デザインで差別化を大きく図ったこと、さらには、月販基準台数がノア8,100台に対して、ヴォクシー5,400台と2,700台少ないことから採算点の相違も最低価格の違いに関係しているようだ。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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