トヨタ カローラツーリングハイブリッド 「カローラの正統派ステーションワゴン」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

西村 直人
西村 直人(著者の記事一覧
交通コメンテーター
評価

4

デザイン
3
走行性能
3
乗り心地
3
積載性
5
燃費
4
価格
3

カローラの正統派ステーションワゴン

2022.12.21

年式
2019年9月〜モデル
総評
カローラブランドのステーションワゴンとして幅広い層から支持されている。5ナンバーサイズで軽量ボディの「カローラフィールダー」も併売されており、こちらにも1.5Lのハイブリッドモデル(FFモデルのみで2,330,400円)がある。装備の違いを差し引いた価格差は大きくないが、ボディサイズに制約がないのであればカローラツーリングをおすすめする。フィールダーの燃費数値も27.8 km/Lと良好だが、走行性能が段違いだ。
満足している点
3ナンバーになったとはいえ、全幅は1745㎜、トレッドにしても前後1500㎜ちょっとでタイヤ幅も広過ぎないので、都市部の立体駐車場に駐車しやすい。それでいて、しっかり荷物が積めて、燃費もすこぶる良好。そしてなにより、世界100カ国以上で販売されている信頼と実績による安心感、これに尽きる。セダン以上に長距離走行が多くなることが考えられるが、後席の居住性とラゲッジルームとのバランスが良く、乗員全員の疲労度が少ない。
不満な点
全般的にハイブリッドモデルの動力性能に不足はないものの、ラゲッジルームに荷物を満載し、しかも4名以上の乗車となるとやはり余裕が少ない。また、ミニバンの空間に慣れていると、やはり乗員が増えた際に、室内の狭さ、具体的には足元スペースや頭上空間に不満を感じるかもしれない。デザイン面ではオーソドックスなサイド&リヤのシルエットに対して、顔付きがややアグレッシブ。ここが気になるユーザーも多いようだ。
デザイン

3

2019年にフルモデルチェンジを行なったカローラシリーズ(セダン/スポーツ/ツーリング)の一モデルだ。ツーリングとはステーションワゴンのことで、デザインは見るからにラゲッジルームの使い勝手を優先したもの。フロントマスクには、大型台形のロアグリルフレームとメッシュグリルを装着し軽快感と躍動感を演出。リヤゲートには先代同様に樹脂ゲートを採用し、複雑なラインを描くデザイン性と軽量化、そして省資源を両立させた。
走行性能

3

エンジン型式2ZR-FXEを名乗る1.8LにTHS-Ⅱを組み合わせたハイブリッドシステムを搭載する。駆動方式にはFFモデルのほか、独立した後輪モーターをもつ4WDモデルのE-Fourを設定した。サスペンションはフロントにストラット式、リヤにはダブルウイッシュボーン式を用いる。カーブ走行時にアクセルの踏みすぎによるアンダーステア傾向を検知すると車体内側ブレーキをかけて走行をアシストするACA制御を採用し安定した走りをみせる。
乗り心地

3

2019年当時のE-Fourが抱えていた特有の症状として、FFモデルと4WDモデルの乗り心地の差…端的に言うと、FFモデルは後輪からの突き上げがやや大きい傾向にある。さらにツーリングの場合、ステーションワゴンであることからセダンと比較して、ラゲッジルームへの荷物積載を考慮したリヤサスペンション設定になる。よって、1名乗車時だとさらに突き上げは大きくなる傾向に。もっともこれは比較論だから、絶対値ではまったく問題はない。
積載性

5

ラゲッジルームは非常に使いやすい。いわゆる各部の数値だけでなく、大きな荷物を積み込む際に問題となる出っ張りや床面の凹凸がない。後席は6:4の分割可倒式で倒した際に前部がややや盛り上がるものの、荷物を積めば後席の座面と背もたれ部分が沈み込み、自ずとフラットに近い床面になる。ちなみに床面は幅が1464mm、奥行きが1953mm、高さは最大で755mmある。樹脂素材のゲート自体も軽く、開閉時の操作力も少なくて済む。
燃費

4

ハイブリッドのFFモデルとしてカタログに記載されているWLTC値は総合で29.0km/Lと優秀だ。じつはこの値、セダンと同一である。筆者が試乗したのは郊外の一般道路だったが、1名乗車で積荷なしの状態で、25〜27km/L台をいったり来たりしていた。比較試乗したガソリン1.8LのFFモデルが同一条件で12〜13km/Lだったのでほぼ倍の値。レギュラーガソリン指定なのでランニングコストも安価。高速走行でも悪化率は非常に少ない。
価格

3

2019年当時の価格は、「HYBRID G-X」のFFモデル/2,480,500円〜「HYBRID W×B」の4WDモデル(E-Four)/2,997,500円だ。1.8LガソリンモデルがFFモデルの「G-X」/2,013,000円で、最上位モデルが1.2LガソリンターボでFFモデルの「W×B」/2,458,500円。単純にHYBRID G-XとG-Xの比較では、467,500円がハイブリッドシステム&専用装備代となる。
西村 直人
西村 直人
交通コメンテーター
WRカーやF1、MotoGPマシンのサーキット走行をこなし、4&2輪のアマチュアレースにも参戦。物流や環境に関する取材を多数。大型商用車の開発業務も担当。国土交通省「スマートウェイ検討委員会」、警察庁「UTMS懇談会」に出席。自動運転技術の研修会(公的/教育/民間)における講師を継続。警視庁の安全運転管理者法定講習における講師。近著は「2020年、人工知能は車を運転するのか」(インプレス刊)。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員日本自動車ジャーナリスト協会会員
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