トヨタ カローラクロス 「ある意味12代目カローラシリーズの“本命”」の専門家レビュー ※掲載内容は執筆日時点の情報です。

ある意味12代目カローラシリーズの“本命”

2022.2.12

年式

2021年9月〜モデル

総評

コンパクトクロスオーバーに求められる要素を全て盛り込んだ、ある意味“王道”のコンセプトのモデルと言っていい。これまでカローラは王道のセダン／ワゴンに加えて様々な派生モデルが登場してきた歴史があるが、カローラツーリングは単なる派生モデルではなく、ある意味12代目カローラシリーズの“本命”が登場したと言ってもいいかもしれない。

満足している点

実は様々な項目を見ていくと突出した特長はないが、全ての性能に隙が無いモデルに仕上がっている事。つまり、良くも悪くも「普通」だ。ただ、昔のトヨタ車のような「そこそこのレベルでの総合力」ではなく、「100点を目指した中での総合力」と意味が全然違うと言うこと。戦略的なプライスも含めて売れない理由が見当たらない。

不満な点

強いて言えば、2021年発売されたモデルにも関わらず、安全・運転支援デバイス（TSS）は最新スペックが与えられていない所。この辺りはカローラセダン／ツーリングに準ずるので仕方ないが、そこかのタイミングでアップデートされるかもしれない。

デザイン

4

エクステリアは「アーバン・アクティブ」をコンセプトに、兄貴分のRAV4、弟分のヤリス・クロスと共通イメージのデザインを採用。フロントマスクは日本仕様独自で、バンパーやヘッドライト、グリル周りなどが、カローラシリーズの一員である事がより解りやすいデザインで、SUVのたくましさに加えて、洗練／質の良さをアピールしている。

走行性能

4

ガソリン車はスペック以上に元気で小気味よい。ハイブリッドはモーターならではの力強さははあるものの発進時などはおっとり系。フットワークは全高が高さを感じさせない身のこなしの軽快さや操作に対する確かな応答性、ロールを抑えながらも自然なクルマの動きなど、素性の高さを実感。普通に乗っている限りは目線が高く、穏やかなカローラツーリングと言った印象。

乗り心地

5

FFモデルはカローラシリーズ初のトーションビーム式だが、乗り心地に関してはそのネガはほとんど感じない。路面からの入力の少なさ、アタリの優しさだけでなく入力の少なさだけでなく、体の揺すられにくさは同クラスのライバルよりも優位性は高い。まさに開発陣が目標に掲げた「気持ちいい乗り心地」に仕上がっている。

積載性

4

ラゲッジ容量は5人乗車でもクラストップレベルの487Lを確保。シートアレンジはそれほど凝ったものではないが深さも十分確保されている。ディーラーOPのラゲージアクティブボックスはラゲッジがフラットになる上に、荷室を上段／下段に分けて収納可能となる優れ物。利便性向上だけでなく防犯上も助かるアイテムなので、購入時は是非セレクトしてほしい。

燃費

5

一見、車両重量が重そうに見えるが、実はカローラツーリング＋20k（パノラマルーフ付きは＋40kg）と軽量設計なので、燃費性能はカローラとほぼ同等レベル。ハイブリッドは言うまでもないが、ダークホースはガソリンで高速だと20km／Lに迫る値も。何てことない1.8L-NAだが、制御の最適化とCVTとの協調が上手なのだろう。

価格

5

ベースモデルは199.9万円と言う戦略的な価格設定だが、ビジネスユースに割り切られているのでおススメはしない。売れ筋モデルは250万円前後とそれなりになるが、装備内容を考えるとライバルより少しリーズナブルな設定だ。個人的には「S」グレード以上をセレクトすれば、必要なアイテムはほぼ装着されるのでおススメ。