日産 スカイラインＧＴ‐Ｒ 「アテーサという不思議な駆動システムが癖になる車」のユーザーレビュー

アテーサという不思議な駆動システムが癖になる車

2022.2.6

総評

自分が乗ってたのはBNR32なので、これはR32GT-Rの評価です。33と34は乗ったことがありません。

RB26という直6エンジンが楽しめるずっと日本に残って欲しい車だと思う反面、評価されすぎて中古市場の高騰化により購入や維持へのリスクが跳ね上がってしまった複雑な事情の名車。

性能とかレースでの評価などは色んなところで取り上げられていると思うので、折角なので持ち主から側から見たなるべく忖度無しの評価をしていきます。
オススメ度は現時点だと★5では無いんですが、一度でも乗ってみて欲しいという気持ちと、自分の採点で車の評価そのものを下げたくない配慮で★5にしてあります。

満足している点

30年以上も前に作られた車でありながら、走る能力においては一線級の性能。

純正部品の再販や、NISMOショップのサポートによって今でも（お金をかければ）ずっと乗っていられる奇跡の車。

前期車は安全装備が付いて無いので四駆なのに1.5tを切る軽さ。
真鍮の鍵に刻まれたGT-Rの赤文字がすごく所有欲を満たしてくれる。
純正シートのホールド性がいい感じで後ろに穴も開いてるので4点式シートベルトも付ける事ができる。

不満な点

電装系の弱さ。
時計がちゃんと表示される車を見たことがない。
エアコンの表示が欠ける。
ハイキャスは時間が経つと警告灯が出る（もちろん効かなくなる）
変な位置でハンドルを切って停めてしまうと、鍵を
回せなくてエンジンがかけられない。
そのまま使ってる人はいないと思うけど、純正のヘッドライトは暗すぎて視界が悪い。

純正リアスポイラーは取付部分が錆びてトランクと塗装面がボロボロになる。
エンストすると一人では動かせない。
車検が通るマフラーがほとんどなくてクソ高い。
純正ブレーキが小さすぎて何かしらの強化をしないと乗れない。
当時の値段であったとしてもインパネはスープラやＲＸ7よりしょぼい。
街乗りで渋滞だとリッター3kmしか走らない。
パワーありすぎて家の前の側溝の蓋が割れた。
ウィンドウォッシャーが車の挙動に耐えきれなくてよくボンネットにお洩らしする。

デザイン

4

飛び抜けたかっこいいデザインではなく、あくまでも普通のクーペにちょっと普通じゃないフェンダーーやGT-Rのエンブレム。
ドアの部分では凸面なのがリアフェンダーに来ると凹面になるサーフィンライン。
後ろからGT-Rだと一発でわかる丸目のテールランプ◎◎とエンブレム。
分からない人には分からないけど、分かる人には分かる車というポジションがとても良かった。

内装は当時にしてもなんか普通の車で、他の同クラスの車に比べるとガッカリする。
特に前期型はプラスチック面にシボ加工もしてないのでツルツルのプラスチックは安っぽい。
ヘッドライトとワイパーの速度を調整するボタンが変にボコボコしていてゴミが溜まりやすい。掃除が大変。

走行性能

5

雪道も走れないとこはない四駆。
山道と高速を走るのが楽しくなる高回転のエンジン音。
後輪が滑った時にフロントに駆動配分するアテーサが挙動に慣れると面白い。
でもタイヤは前後のローテーションができないので高くなる。

ブレーキの容量が低すぎるので、何らかの強化をしないと止まらない。
自分はスープラのブレーキを移植するキットがあったのでそれを組み込みました。
踏むとあっという間に100kmを超えるので高速でも本気で踏めないむず痒さ。
サーキット行きたくなる気持ちがよく分かる。

いくら馬力があっても車は重いので、初速は若干いじってる軽にも負ける。
煽られてもムキにならない心の余裕が必要。

乗り心地

3

乗り心地は求めるものでは無いと思って乗らないとダメ。特に今の車と比べたら最悪って言われても仕方ない。
それでもTEINの車高調は結構柔らかめに設定できて乗りやすくなりました。
高速乗ってるときは安定感があるので舗装がしっかりした所では乗ってて気持ちいい。

引っ越しで借りた年式新しい軽トラのほうが乗り心地良かったのはショックが大きかったです。

積載性

3

後部座席が結構広いので頑張れば折り畳み自転車も入る。トランクにも一応折り畳み自転車入ったのでこういうタイプの車にしては物は入ると思う。
あくまでもクーペとしての話で。

燃費

3

街乗りはリッター3〜4km。燃料タンクが60リットルぐらい入るので満タン入れると一万円札が消える、怖い。
それでも高速だとリッター8〜9km走るので長距離は結構燃費悪くはない。と言ってる時点でもう感覚が麻痺してる。

RB26エンジンはオイルが汚れやすいのでこまめに交換してあげないとダメ。
オイルが汚れてくるとエンジンの音も悪くなってくるので、交換時期はすぐ気づきます。

価格

5

今から程度の良いR32を相応の値段で買うのはほぼ無理。
中古評価が急激に上がってきたので、ガレージで管理できる環境があるなら持ってるだけで財産になる。

それでも車両保険がまったく今の市場価格に追いついていないので天災による傷や故障、自爆や盗難で全然お金がおりない。
中の人は無事だったとしても、事故によるリスクがとても高い車になってしまいました。
今の中古に同じ値段出すならエンジンのフィーリング以外は代わりになる車はいくらでもあると思うので、相当の思い入れが無い限り買わないほうが良いと思います。
一度でも乗り心地を体験したいってのはよく分かるので体験できるなら是非試乗を。
でも、今の車でも楽しい車はいっぱいありますよ。

故障経験

エンジンルームがギッチギチでバッテリーが大きい容量のものを積めないので、セキュリティーなどを入れてるとすぐバッテリーが切れます。
古い車なのであちこちガタが〜となったので一度NISMOでエンジン&シャーシリフレッシュやりました。
それ以後はそんな大きなトラブルは無いです。

故障というかもう車の癖なので仕方が無いけど、HICASの警告灯が運転の途中で灯る。
ディーラーさんの方で対策してもらう前はABSの警告灯もよく灯って困った。エンジン再起動すると消える。

オイルパンがアルミなのでネジ山が弱く、インパクトで締めたりしたら一発で逝く。
ちゃんとした所でオイル交換頼まないと交換になります。ディーラーではない某所でオイル交換したら壊されてしまった。

ドライブシャフトのブーツがよく切れる。
ディーラーさんも構造的にちょっと無理してるって言ってました。
車検前にいつも交換する部位。

ダイナモとセルの故障は絶対どこかで起きるので、ヤバそうなら先にリビルド品に交換をしておくことをおすすめします。